こんにちは!今回はエドモンド・ブレア・レイトンの『影』を解説していきます。
インスタグラムでフォロワーさんからリクエストがあったので、記事を書いてみました!
エドモンド・ブレア・レイトンはイギリスの画家で、彼の作品はヴィクトリア朝特有の甘美な画風と中世の騎士をモチーフにしたもので知られています。『影』は、レイトンの作品の中でも特徴的な一枚です。
本記事のコンセプト上、最初にじっくり鑑賞からしていますが、すぐ解説をご覧になりたい方は目次で気になる個所をクリックすれば直ぐに飛べるので、ご活用ください。
ぬいと一緒に絵画を学ぼう!
エドモンド・ブレア・レイトンの『影』を鑑賞
綺麗な絵だね!
ふざけてイチャイチャ影をなぞってるのかな?
緊張しすぎだぜ★
エドモンド・ブレア・レイトンの『影』を解説
皆さん隅々まで作品鑑賞は出来ましたでしょうか?
ここからは、グエルチーノの『アトラス』の解説をしていきますので是非最後までご覧ください!
楽しみすぎて目回ってきた
作品詳細
題名 :影
作者 :エドモンド・ブレア・レイトン
製作年:1909年頃
種類 :油彩画
エドモンド・ブレア・レイトンの作品はしばしば、過去の時代、特に中世やリージェンシー時代に焦点を当てています。『影』もその一例で、物語性のある一瞬を捉えています。
絵画は恋人同士の悲劇的な別れを描いている可能性が高いです。
陽光が美しい風景を照らす中、影が二人の間にあることで、別離の悲しみや運命的なものを示唆しています。
作者紹介:エドモンド・ブレア・レイトン
ここで作者のエドモンド・ブレア・レイトンについて簡単に紹介します!
生没年:1852年~1922年
出身:イギリス・ロンドン
代表作:
・『ゴダイヴァ夫人』
・『ペレアスとメリザンド』
・『トリスタンとイゾルデ』
同世代の画家:
・フィンセント=ファン=ゴッホ
(1853~1890年)
・アントニ=ガウディ
(1852年~1926年)
エドモンド・ブレア・レイトンは1852年にロンドンで生まれ、1922年にその生涯を閉じたイギリスの芸術家です。
彼の絵画は、歴史的でロマンティックな場面を描き、ヴィクトリア朝の美学と中世の雰囲気を巧みに融合させました。父親を早く亡くした後、学校教育から離れ、美術の道を追求しました。
1878年から1920年まで定期的に王立芸術院で作品を展示しましたが、会員となることはありませんでした。レイトンのキャンバスには、騎士道精神や当時の社会の甘美さが見て取れます。
結婚して二人の子どもを持つ一方で、彼の芸術的遺産は息子のによっても引き継がれました。
今日でも、彼の作品はその情感豊かな描写と歴史的細部へのこだわりで評価されています。
肖像画の起源を描いた作品
前述の通り、レイトンは歴史的でドラマティックな場面を描きヴィクトリア朝の美学と中世の世界観に融合させるのが得意な画家でした。
本作『影』も古代ローマのプリニウスが著した『博物誌』で記載されている肖像画の起源となる逸話を主題に描かれています。
『博物誌』それによれば、ある娘が出征する恋人の影を松明の光で壁に映し、その輪郭を線でなぞったことが肖像画の始まりだとされています。この話は、技術的な美術の起源というよりは、個人の記憶や愛情を永遠に残すための手段としての肖像画の重要性を象徴しています。
写真が存在しない時代において、肖像画は人々が自分自身や愛する者を「生きた証」として後世に残す唯一の方法でした。
そんなドラマティックな起源があったなんて。
それを踏まえてもう一度『影』をご覧ください。
絵の中には男性と女性が描かれています。
男性は騎士や貴族のようで、伝統的な服装を身に着けています。
一方、女性はより控えめな服装で、男性の表情から見て、別れの瞬間を示していると推測できます。
恐らく背景に少し見えている舟に乗って戦いにでも行くのでしょう…。
ふざけてる訳じゃなさそう
男性の表情に注目すると戻って来られるかもわからず、愛する人と会えるのはこれが最後になるかもしれないと悟っている様な表情にも見えてきます。
とても切ないお顔をしているね…。
一方女性は表情はわからないが、逃れる事の出来ない男性との別れの中で何とか「彼がここに居た」という事を残すために悲しみを推しこらえながら彼の影を壁に描いている様に感じられます。
目から汗が…。
影の輪郭しか残らず何も知らない人から見たらただの落書きに見えるかもしれませんが、彼女にとては「彼を感じられる大切な壁」になる事でしょう。
頼むから無事に帰ってきてね…。
このように、『影』はレイトンの技術と彼が描く歴史的な物語性が融合した作品であり、視覚的な美しさと深い情緒を持っています。
まとめ
今回はエドモンド・ブレア・レイトンの『影』を鑑賞,解説していきました。
最初見たときは男女がふざけて壁に落書きをしている絵に見えた方も多いと思いますが、ふたを開けてみたらとても切ない作品でしたね。
個人的には、主役として描かれている2人は最愛の人との別れで絶望的な気分であることが推測されますが、背景に描かれている空はそんなこと知ったことかと言わんばかりの快晴なところが「リアルだなぁ」と思いました(笑)
自分だけが最悪な気分の時って、空ムカつくくらい晴れている時ありますよね!