ヨハネス・フェルメールといえば、静かな室内画や「真珠の耳飾りの少女」で知られていますが、
初期には意外にも宗教画にも挑戦していたことをご存じでしょうか?
その代表例が、今回ご紹介する『聖プラクセディス』です。
本記事では、フェルメールの『聖プラクセディス』について、初心者にもわかりやすく解説します。
作品の背景、見どころ、フェルメールらしさの萌芽、さらには「真作か否か」の議論まで、丁寧にひも解いていきます。
静かな祈りの中に宿る勇気と信仰──
若きフェルメールが描いた、知られざる宗教画の魅力を一緒に探っていきましょう。
作品基本情報

タイトル:聖プラクセディス(Saint Praxedis)
制作年:1655年頃
サイズ:101.6 cm × 82.5 cm
技法:油彩/キャンバス
所蔵先:個人蔵

かつてはコレクターによって所有
・殉教者の血を壺に集める少女・聖プラクセディス。
・強い宗教的感情がこもった、珍しい主題の作品。
・フェルメールの初期作と考えられ、模写説も存在。
作品概要|フェルメール初期の異色作
「聖プラクセディス」は、フェルメール初期の極めて珍しい宗教画です。
主題は、古代ローマの聖女プラクセディス。
迫害されたキリスト教徒たちの血を集め、埋葬し、祈りを捧げたという伝説的な人物です。
若いフェルメールが、なぜこの題材を選んだのか?
そして本当にフェルメール自身が描いたのか?
いまだに研究者の間で議論が続いています。

血を集めるって、すごく勇気がいることだよね…。
プラクセディスさん、かっこいい!
どこを見たら面白い?|静かな英雄の姿
プラクセディスの表情

→ 落ち着き、悲しみ、そして揺るぎない決意。
彼女の顔に宿る感情の深さが、絵全体に静かな緊張感を与えています。
光の使い方
→ 柔らかい光が、聖女の手元と祈りの姿勢を際立たせます。
フェルメールらしい「光の演出」がすでに始まっていることに注目!
宗教的シンボル

→ 右手に持つ十字架、血を受ける壺、静かにたたずむ背景。
すべてがプラクセディスの聖なる行為を象徴しています。
この作品、フェルメール作なの?
実は「聖プラクセディス」は、
「フェルメールの真作なのか?」という議論が長く続いた作品でもあります。
理由は
イタリア画家フィリッピーノ・リッピの作品を直接模写した可能性が高いこと。
フェルメールにしては異例の、非常に宗教的・感情的なテーマであること。
しかし、近年の技術分析で
・使用されている絵の具
・筆致の特徴
・サイン(VERMEERと読める文字)の存在
から、フェルメール真作とする意見が有力になっています。

フェルメールさん、若いころはいろんな挑戦をしてたんだね!
フェルメールらしさの芽生え
この作品には、後のフェルメールに通じる特徴も見え隠れしています。
・柔らかい自然光の表現
・人物の内面に深く迫る描写
・目立たないけど丁寧に作り込まれた空間
特に「外からの光を受けて人物を浮かび上がらせる」手法は、
「牛乳を注ぐ女」や「真珠の耳飾りの少女」などへと発展していく基礎になったと考えられます。
豆知識|『聖プラクセディス』ってどんな人?
プラクセディス(Praxedis)は、
・2世紀ローマの裕福なキリスト教徒の娘。
・迫害で亡くなった同胞たちを弔い、血を集めて神に捧げたという伝承があります。
・「殉教者を支えた者」として、カトリックでは聖人として崇敬されています。
つまり、彼女の行動は単なる献身ではなく、信仰を生き抜く強さの象徴だったんですね。

勇気って、目に見えないけどすごく大きな力なんだね!
まとめ|フェルメールが描いた静かな勇気
「聖プラクセディス」は、
フェルメールの若き日の宗教的な情熱と、
静かに、しかし強く生きる信仰者への敬意を込めた一枚です。
華やかさや劇的な演出はありません。
けれど、聖女プラクセディスのそっと祈る姿から、
静かだけど確かな「勇気」と「信仰の力」を感じ取ることができるでしょう。
若きフェルメールが、自らの内なる声に従って筆を取った
そんな物語を想像しながら、ぜひこの作品を味わってみてくださいね。