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《モナ・リザ》を解説!なにがすごい?どこにある?大きさは?盗難された?

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イタリア・ルネサンス
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《モナ・リザ》は、レオナルド・ダ・ヴィンチが残した小ぶりな肖像画です。
それにもかかわらず、いまや「世界で最も知られた絵画」と言われ、毎年数百万人がルーヴル美術館に押し寄せてこの一枚を一目見ようとします。

けれど、じっくり眺めてみると不思議な感覚にとらわれます。
笑っているようで、どこか憂っているようでもある口元。見る位置を変えると視線が追いかけてくるような目。背後には現実とも空想ともつかない、どこか夢の中のような風景が広がっています。

この「何とも言えない感じ」を作り上げたのが、レオナルド独特の技法や構図、そして当時としては新しかった肖像の考え方でした。さらに20世紀に起きた盗難事件や数々のパロディが重なり、《モナ・リザ》は単なる一枚の絵を超えて「文化そのもの」のような存在になっていきます。

この記事では、まず作品の基本情報を押さえたうえで、「モデルは誰なのか」「なぜ微笑みがこんなに謎めいて見えるのか」「どうしてここまで有名になったのか」というポイントを、美術史の知見にもとづきながら解説していきます。

ぬい
ぬい

“知ってるつもりの名画”ほど、ちゃんと教えてもらう機会って逆に少ないんだよね。

分かる。モナ・リザも、写真で見過ぎて“分かった気”になってる代表格だと思う。

レゴッホ
レゴッホ
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《モナ・リザ》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

・作品名:モナ・リザ
・作者:レオナルド・ダ・ヴィンチ
・制作年:1503年ごろに着手し、1506年頃まで描き続け、その後1517年頃まで手を入れていた可能性があると考えられています。
・材質・技法:ポプラ材の板に油彩。レオナルド特有のスフマート技法が用いられています。
・サイズ:縦約77cm × 横約53cm。意外と小ぶりな肖像画です。
・所蔵:フランス・パリ、ルーヴル美術館(18世紀末から展示)。
・モデル:一般にはフィレンツェの富裕な商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リザ・デル・ジョコンド(リザ・ゲラルディーニ)と考えられていますが、異説も残っています。

ぬい
ぬい

数字で見ると“教科書サイズのちょっと大きい版”くらいの感覚だね。

そうそう。実物を見に行って“意外と小さい!”ってびっくりする人が多いのも、このサイズ感を知らないからだと思う。

レゴッホ
レゴッホ

<作者についての詳細はこちら>

レオナルド・ダ・ヴィンチを解説!代表作と発明、性格、名言に迫る

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モデルは誰か?リザ・デル・ジョコンド説とその背景

《モナ・リザ》のモデルについては、いくつかの説が語られてきました。
最も広く受け入れられているのが、「フィレンツェの商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リザ・デル・ジョコンドの肖像画」という説です。16世紀の美術家伝を記したヴァザーリは、レオナルドがフィレンツェでこの夫婦のために妻の肖像画を描いたと書き残しています。

2000年代には、当時の資料から「リザの名が記された覚え書き」が見つかり、この説を裏付ける重要な手がかりとして注目されました。もちろん、レオナルド自身が「これはリザ・デル・ジョコンドの肖像だ」と明言した文書が残っているわけではないので、学問的には「有力説」という扱いになります。

一方で、画家の愛人説や、自画像説、さらには理想化された女性像だとする説など、ロマンのある解釈もたくさん登場しました。ただ、現時点で歴史的な証拠が比較的そろっているのは、やはりリザ・デル・ジョコンド説です。レオナルドが生涯手元に置き続け、フランス王フランソワ1世のもとに持ち込んだと考えられていることから、単なる依頼仕事を超えて、画家にとっても特別な作品だった可能性が高いと見られています。

ぬい
ぬい

“誰か分かってるけど、100%確定ってほどじゃない”っていうグレーさが、また想像をかき立てるね。

そうなんだよな。モデルが具体的な人だと分かった上で、“でもここにはレオナルドの理想も混ざってるよね”って思いながら見るとおもしろい。

レゴッホ
レゴッホ
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微笑みはなぜ謎めいて見えるのか|口元と視線のトリック

《モナ・リザ》を語るとき、必ず話題になるのがあの「謎めいた微笑み」です。
笑っているようで、真顔にも見え、どこか寂しげにも感じられる。この曖昧さは、単なる印象の問題ではなく、レオナルドが計算しつくした描写によって生み出されたものです。

まず、口元の輪郭線がほとんどはっきり描かれていません。レオナルドはスフマートという技法を用い、口角や頬の影を非常に薄い層で何度も重ねることで、硬い線を消し去っています。明確な線がないため、見る人の目はわずかな陰影を「笑っている」とも「そうでない」とも読み取ることができ、その結果、表情が定まらないように感じられるのです。

さらに、モニターや図版では分かりづらいのですが、近くで見ると微笑みの印象は意外と薄く、少し離れて全体を見ると急に柔らかな笑みが浮かび上がってくるように感じられます。これは、人間の視覚が細部よりも全体の明暗バランスで表情を読み取る性質を持っていることを, レオナルドが経験的に理解していたからだと考えられています。

視線についても工夫があります。瞳の焦点はやや右側に振られていて、見る位置を変えると「こちらを追いかけてくる」ような錯覚が生じます。背景の遠近や、上半身を斜めに構えつつ顔だけ正面に向けるポーズも相まって、鑑賞者との距離感が不思議に揺さぶられる構図になっています。

ぬい
ぬい

近づくと“あれ、そんなに笑ってない?”ってなるのに、ちょっと離れるとニッてしてくるのずるい。

人間の視覚のクセまで利用して表情をデザインしてるあたり、レオナルドの理系っぽさ全開だよね。

レゴッホ
レゴッホ
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レオナルドの技法スフマート|肌も風景も「煙のように」溶けていく

《モナ・リザ》を近くで見ると、肌の境目がどこにも見つからないことに気づきます。
顎の輪郭も、鼻筋も、頬のふくらみも、はっきりした線ではなく、ごく薄い色の重なりで表現されています。この、輪郭線を排した描写こそがレオナルドの代名詞ともいえるスフマートです。イタリア語で「煙のような」という意味を持つこの技法は、色と色の間にわずかなグラデーションを積み重ねることで、三次元の立体感と柔らかさを同時に生み出します。

スフマートは肌だけでなく、背景の山々や空にも使われています。遠くへ行くほどコントラストが弱くなり、青みが強くなる「空気遠近法」と組み合わさることで、画面の奥行きがぐっと深く感じられるようになっています。これは、軍事技術者や科学者としても活動していたレオナルドが、大気中の光の散乱や人間の視覚の仕組みに強い関心を持っていたことと無関係ではありません。

レオナルドの《白貂を抱く貴婦人》を解説!モナリザの前段階の絵画

また、レオナルドは肖像画の領域でも多彩な才能を発揮しました。若い女性を描いた《白貂を抱く貴婦人》や、《ジネヴラ・デ・ベンチの肖像》などでは、それぞれまったく違う性格の人物像を創り出しつつ、スフマートによる肌の柔らかさや、背景とのつながり方は共通しています。《モナ・リザ》はそうした肖像の研究の集大成として位置づけることもできます。

ぬい
ぬい

輪郭線がないのに、ちゃんと立体的に見えるのって、やっぱり何度見ても不思議だよね。

レオナルドのスフマートって、絵の具で描いたっていうより“空気ごとそこにある”感じがする。

レゴッホ
レゴッホ
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背景の風景と構図|現実とも空想ともつかない「もう一つの世界」

《モナ・リザ》の魅力は、人物だけでなく背景の風景にもあります。彼女の背後には、曲がりくねった小道や橋、険しい岩山、遠くに霞む湖や川が見えますが、特定の実在の場所とは言い切れない、不思議な地形が続いています。

興味深いのは、左右で地形の高さや視点がわずかに違っている点です。右側の地平線は左側よりも少し低く設定されており、そのため見る側の目線が自然と人物の顔に集まるようになっています。上半身を少し斜めに構え、椅子の肘掛けに手を置くポーズも、肖像画の歴史の中では革新的でした。正面と横顔の中間のようなこのポーズは、その後のヨーロッパ肖像画に大きな影響を与えます。

背景の空想的な風景は、レオナルドが山岳地帯の地形や水の流れを観察していたこととも関係していると考えられています。科学的な興味と、幻想的な想像力が一枚の肖像画の中で結びついた結果、《モナ・リザ》は単なる「人の顔」ではなく、「人間と世界の関係」まで感じさせる作品になっているのかもしれません。

ぬい
ぬい

よく見ると、背景がRPGのマップみたいに入り組んでて、ちょっと冒険したくなる景色なんだよね。

分かる。あの道の先に何があるのかとか、勝手にストーリーを妄想したくなるタイプの風景。

レゴッホ
レゴッホ
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モナ・リザが「世界一有名な絵」になった理由|1911年の盗難とメディアの力

《モナ・リザ》が今のような知名度を得たのは、実は20世紀に入ってからです。
19世紀末まで、ルーヴルにはほかにも名高い作品が数多くあり、《モナ・リザ》はその中の一枚として評価されてはいたものの、現在ほど「特別なスター」ではありませんでした。

状況を一変させたのが、1911年に起きた盗難事件です。イタリア人の元ルーヴル職員ヴィンチェンツォ・ペルージャが、月曜日の休館日に絵を壁から外して盗み出し、そのまま2年以上も姿を消しました。新聞は連日この事件を報じ、絵がない壁だけを見に来る人でルーヴルはいっぱいになったと伝えられています。

1913年になってペルージャがイタリアで売ろうとしたところを発見され、作品はルーヴルに戻りましたが、この騒動をきっかけに、《モナ・リザ》は世界規模のニュースとなりました。その後も日本やアメリカへの貸し出し、ガラス越しの展示、さまざまなパロディ作品などが続き、現在では「最もよく知られ、最も訪問され、最も語られた絵画」とまで言われています。

レオナルド自身が意図したわけではありませんが、科学者でもありエンジニアでもあった彼の幅広い活動や、「万能の天才」というイメージも相まって、《モナ・リザ》は「ルネサンスを象徴するアイコン」として世界中で消費される存在になりました。

ぬい
ぬい

要するに、ペルージャが“勝手にPR担当”みたいなことしちゃった結果なんだね。

そう。もし盗まれてなかったら、今ほど“世界一有名な微笑み”にはなってなかったかもしれないと思うと歴史っておもしろい。

レゴッホ
レゴッホ
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おすすめ書籍

このサイトの参考にもさせて頂いている本を紹介します。

まとめ|一枚の肖像画に凝縮されたレオナルドの“全部盛り”

《モナ・リザ》は、小さな板の上に描かれた一人の女性の肖像画です。
しかし、その中には、人物研究、表情の心理学的な観察、光学的な知識にもとづくスフマート、空想的でありながら観察にも根ざした風景表現など、レオナルドが追い求めてきた要素がぎゅっと詰め込まれています。さらに20世紀の盗難事件とメディアの拡散によって、この絵は「美術史上の重要作」であると同時に、「現代文化の記号」そのものにもなりました。

モデルがリザ・デル・ジョコンドだったのか、それともレオナルドの理想が強く混じった像なのか。
微笑みは本当に幸せを表しているのか、それとも何かを耐える表情なのか。
明確な答えは最後まで提示されませんが、その“答えのなさ”こそが《モナ・リザ》を500年以上にわたって見つめ続けられてきた理由の一つと言えるでしょう。

ルーヴルで実物を見るときは、人ごみの向こうに小さく浮かぶ顔にまず圧倒されてしまいますが、少し落ち着いて、口元のぼんやりした輪郭や、左右で微妙に違う背景の高さ、スフマートで溶け合う肌と空気を意識して眺めてみてください。教科書で見慣れた一枚が、意外なほど「生きた人間」としてこちらに向き合っていることに気づくはずです。

ぬい
ぬい

モナ・リザって、情報を知れば知るほど“結局よく分からないからこそ、また見たくなる”タイプの絵だよね。

うん。レオナルドの理系オタクっぽさと、ロマンチストなとこが全部混ざってるからこそ、500年経ってもまだ“答え合わせ中”って感じが続いてるのかも。

レゴッホ
レゴッホ
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