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ブリューゲルの《ネーデルラントの諺》を解説!様々なことわざが詰まった一枚

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北方ルネサンス
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ピーテル・ブリューゲル(父)の《ネーデルランドの諺》は、村の光景を描いた風景画に見えますが、実は100個以上のことわざ・慣用句をギュッと詰め込んだ「ことわざ図鑑」のような作品です。
川辺の村で人々が忙しそうに動き回る様子は、一見すると牧歌的でにぎやかな日常のようですが、よく見ると誰も彼もがどこかおかしな行動を取っています。

屋根の上にタルトが敷き詰められ、川では男が「流れに逆らって泳ぎ」、橋のたもとでは誰かが「頭を石壁に打ち付けて」います。どの場面にも、愚かさ・欲深さ・だらしなさといった人間の弱さを風刺するメッセージが込められており、「世界はひっくり返っている」というブリューゲルの視線が貫かれています。

同じ画家の《農民の婚宴》などと並んで、庶民の日常をユーモラスかつシニカルに描いた代表作として、美術館でも常に人気の高い一枚です。

ぬい
ぬい

一見ほのぼのした村の風景なのに、よく見ると全員ヤバいことしてるのがジワる。

そうなんだよな。ブリューゲル、ちゃんと笑わせつつ刺してくるから油断できない。

レゴッホ
レゴッホ
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《ネーデルラントの諺》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

・作品名:ネーデルランドの諺(Netherlandish Proverbs)
・別名:フランドルの諺、青い外套(The Blue Cloak)、世界の愚行 など
・作者:ピーテル・ブリューゲル(父)
・制作年:1559年
・素材:板に油彩
・サイズ:約117 × 163 cm
・所蔵:ベルリン絵画館(ゲマルデギャラリー/ドイツ・ベルリン)

ぬい
ぬい

ベルリンに行ったら、まずこの一枚は絶対押さえたいね。

わかる。ブリューゲルの大作は、実物の情報量がえげつないから生で見たい。

レゴッホ
レゴッホ

<作者についての詳細はこちら>

ピーテル・ブリューゲルを解説!農民画と風刺で読み解く生涯と代表作

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村全体がことわざまみれ:画面構成の特徴

この作品の舞台は、川沿いに広がる小さな村です。
画面左には大きな家と広場、中央には小さな東屋と橋、右側には水車小屋や小屋が建ち並び、遠くには海と船も見えます。視線をどこに向けても、何かしらの出来事が起こっていて、画面全体がひとつの巨大なパノラマのように構成されています。

しかしそこに描かれている人々は、普通の生活風景とはほど遠い行動ばかりをしています。
屋根の穴から身を乗り出してカード遊びをする者、ブタを引き回す者、水路に飛び込もうとする者、家の前でひたすら鍋をかき回す者……。どのシーンも、当時のネーデルランドで使われていた諺や俗言を、文字通り絵にしたものです。

研究者の数え方にもよりますが、絵の中には120を超えることわざ・慣用句が埋め込まれているとされます。
一枚の絵が、まるでことわざ辞典をそのまま可視化したような状態になっているわけです。

ぬい
ぬい

“ウォーリーをさがせ!”みたいに、どこを見てもネタがあるやつだ。

しかも全部ことわざのネタっていうのがすごい。ブリューゲルの頭の中どうなってたんだろ。

レゴッホ
レゴッホ
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ブリューゲルと16世紀ネーデルラントのことわざブーム

ブリューゲルが生きた16世紀のネーデルラントでは、ことわざ集や諺をちりばめた文学作品が大流行していました。エラスムスによるラテン語のことわざ集『アダギア』や、フランソワ・ラブレーの『ガルガンチュアとパンタグリュエル』に見られるように、知識人たちは諺を博識の証として楽しんでいたのです。

絵画の世界でも、諺を主題にした版画や挿絵が盛んに作られました。ブリューゲルの少し前には、フランス・ホーヘンベルフが43の諺を一枚に描いた版画を制作しており、構図の作り方などが本作とよく似ていることが指摘されています。

ブリューゲル自身も、《大きな魚は小さな魚を食う》《十二の諺》といった諺シリーズの版画を手掛けており、《ネーデルランドの諺》は、そうした試みを油彩の大作として結実させた作品と考えられています。

ぬい
ぬい

ことわざって庶民の口ぐせってイメージだけど、当時はインテリの遊び道具でもあったんだね。

そうそう。だからこの絵も、農民だけじゃなくてお金持ちのコレクターに向けた“教養系ジョーク作品”って感じなんだと思う。

レゴッホ
レゴッホ
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代表的な諺モチーフをいくつかピックアップ

すべての諺を網羅すると本一冊分になってしまうので、ここでは特に有名なモチーフだけを取り上げます。
いずれも、今日でも意味が通じるものが多く、ブリューゲルの人間観察の鋭さがよく表れています。

まず画面中央付近、青いマントを着せられている男性に注目です。妻と思しき女性が、夫の肩に青い外套をかけている場面で、これは「青い外套を着せる=夫を欺く」という当時の諺を表しています。つまり、夫は平然と浮気されている「世界の愚か者」の象徴なのです。このモチーフから、作品はかつて《青い外套》や《世界の愚行》とも呼ばれていました。

画面右下では、男が大きな車輪に縛り付けられながらも、平気な顔で用を足しています。これは「処刑台の上でも気にしない=どんな罰も怖れない大馬鹿者」という諺の視覚化と解釈されています。

川の中ほどでは、男が明らかに流れに逆らって泳いでいます。これは今でもよく使われる「流れに逆らって泳ぐ(to swim against the tide)」という表現と同じく、無駄な抵抗や周囲に逆らう愚かさを示すものです。

家の壁に頭を打ち付けている人物は、「石の壁に頭をぶつける=不可能なことにしつこく挑み続ける」こと。屋根の上にタルトがずらりと並んでいるのは「屋根にパイが敷き詰められている=何もかも贅沢三昧」という諺の視覚化です。

こうして眺めていくと、絵の中の村人たちは、欲深く、怠け者で、浅はかで、時には残酷です。けれども、その姿はどこかコミカルで、私たち自身の日常と重なる部分も少なくありません。

ぬい
ぬい

“頭を壁にぶつける人”とか、“流れに逆らってる人”とか、現代にもいそうで笑えない。

SNS見てると、ブリューゲルの世界まだ続いてるなって思うことあるもんな。

レゴッホ
レゴッホ
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「世界はひっくり返っている」——ブリューゲルのメッセージ

《ネーデルランドの諺》の根底にあるテーマは、「人間は根本的に愚かである」という冷静な観察です。
画面には善人も悪人もほとんど登場せず、全員が何らかの愚行に手を染めています。タイトルのひとつである「世界の愚行」が示すように、ブリューゲルは個人ではなく「世界そのもの」の在り方を描こうとしたのでしょう。

一方で、彼は説教臭い宗教画家でもありません。人物たちはあくまで日常の中で失敗を重ねる普通の人々として描かれ、見る側は彼らの滑稽さに笑いながらも、「自分も同じことをしていないか」と振り返らずにはいられません。

同時代のネーデルラントは、宗教改革や政治的緊張が高まる不安定な時代でした。そんな中でブリューゲルは、壮大な歴史画ではなく、どこにでもいる村人たちの諺を通して、人間社会の不条理や世界の混沌を表現したと言えます。

ぬい
ぬい

全員バカに見えるけど、“自分もこの中のどこかにいるかも”って思うと笑ってられないね。

そうそう。だから何百年たっても刺さるんだと思う。ブリューゲル、優しい顔してかなり容赦ないよね。

レゴッホ
レゴッホ
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おすすめ書籍

このサイトの参考にもさせて頂いている本を紹介します。

まとめ:ことわざで読み解く、ブリューゲル版「人間喜劇」

《ネーデルランドの諺》は、ただの“面白い寓意画”にとどまらず、16世紀ネーデルラントの言葉文化、庶民の暮らし、そして人間の愚かさを一度に映し出した、非常に野心的な作品です。

ことわざを知れば知るほど、画面の中に新しい発見が生まれ、ブリューゲルの観察眼とユーモアに何度でも驚かされます。そして、そこに描かれた愚行の多くが、現代社会にもそのまま当てはまってしまうことに気づくと、この絵は単なる古典ではなく、「今の私たちの世界」を映す鏡として見えてきます。

ぬい
ぬい

結局、人間のダメさって500年たってもあんまり変わってないんだなあ。

だからこそ、この絵が今もウケるんだと思う。ブリューゲルに“お前も同じだろ?”ってツッコまれてる気がするよね。

レゴッホ
レゴッホ
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