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フィリッポ・リッピについて解説!愛と信仰の間で揺れた初期ルネサンスの人気画家

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アーティスト解説
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フィリッポ・リッピ(1406年頃〜1469年)は、フィレンツェ初期ルネサンスを代表する画家の一人です。
修道士として修道院に入りながらも、繊細で人間味あふれる聖母子像を数多く描き、メディチ家をはじめとするパトロンから大きな支持を集めました。

代表作《聖母子と二天使》では、若い聖母マリアと幼子イエス、そして二人の天使が窓辺に寄り添うように描かれます。
透明感のある肌、細い線で縁取られた輪郭、ふわりと風をはらんだベール。
背景には岩山や町並みが遠くまで続き、家庭的な親密さと神聖さが同時に感じられる作品です。

修道士でありながら尼僧と恋に落ちて子どもをもうけるなど、私生活はかなり自由奔放。
その息子こそ、のちに有名になる画家フィリッピーノ・リッピです。
「敬虔」と「世俗」を行き来した彼の人生は、作品の柔らかな魅力と切り離せないものと言えるでしょう。

ぬい
ぬい

修道士で恋多き男で人気画家って、設定盛りすぎじゃない?

ほんとだよね。その全部が絵の“甘さ”にちゃんと反映されてるのがまたおもしろい。

レゴッホ
レゴッホ
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フィリッポ・リッピ

ここで簡単に人物紹介。

作品詳細

生没年:1406年頃生まれ〜1469年没

出身地:フィレンツェ生まれと考えられている

身分:カルメル会修道士として出家するが、のちに修道院を離れて活動

主な活動地:フィレンツェ、プラート、スポレートなどトスカーナ地方

代表作: 《聖母子と二天使》(ウフィツィ美術館)/《聖母戴冠》(ウフィツィ美術館)/プラート大聖堂洗礼堂のフレスコ、《聖母の生涯》を描いたスポレート大聖堂のフレスコ など

家族:弟子でもあった息子フィリッピーノ・リッピも、ルネサンス期の重要画家

ぬい
ぬい

親子二代で有名画家って、なかなかのサラブレッド感。

そうね。父の“線の美しさ”と母譲りと言われる面差しが、フィリッピーノにもちゃんと受け継がれるんだよ。

レゴッホ
レゴッホ
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初期ルネサンスのなかでのリッピ|フラ・アンジェリコの次の世代

フラ・アンジェリコを解説!何者?受胎告知の人?修道士画家?

リッピは、少し年長のフラ・アンジェリコと重なる時期に活動し、同じく修道士出身の画家として最初は修道院の仕事からスタートしました。
やがてフィレンツェのメディチ家に見出され、世俗の祭壇画や家庭用の聖母子像の注文も多く受けるようになります。

彼の絵には、アンジェリコのような厳粛さよりも、親しみやすさと日常感が強く表れます。
マリアや聖人たちは、どこかフィレンツェの市民に似た顔立ちで、髪型や衣装も当時の流行を思わせます。
それでいて、人物をとりまく光はやわらかく、輪郭線は滑らかに整理されているため、俗っぽくなりすぎることはありません。

ルネサンスの「人間中心の視線」を、もっとも穏やかなかたちで聖母子像に反映させた画家、と言ってよいでしょう。

ぬい
ぬい

教会用の絵なのに、ちょっと「街のアイドル」っぽい雰囲気があるんだよね。

わかる。だからこそ市民からもパトロンからも愛されたんだと思う。

レゴッホ
レゴッホ
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代表作《聖母子と二天使》の魅力|家庭的な聖性

フィリッポ・リッピ《聖母子と二天使》を解説!微笑む天使と物憂げなマリア

リッピの代名詞とも言えるのが、《聖母子と二天使》です。

画面の左側には、横顔に近い角度で描かれた若いマリア。
控えめに伏せたまつげや細い鼻筋、透きとおるような肌は、気高いけれどどこか現代的な美しさを持っています。
彼女の前には幼子イエスが立ち、腕を伸ばしてマリアのヴェールに触れようとしています。
下から支える二人目の天使は、いたずらっぽい笑みを浮かべながらこちらを見つめています。

背景には、岩山と町並みが遠くまで連なり、淡い青の空が広がっています。
大きなドラマは起きていないのに、家族のあいだに流れる空気のようなものが静かに伝わってくる作品です。

聖母と子どもという伝統的な主題に、現実の母子のしぐさや感情を重ね合わせたことが、この絵を特別なものにしています。

ぬい
ぬい

天使がちょっと「やんちゃな弟」みたいなのが好き。

うん、神話というよりホームドラマ寄りなところが、リッピらしさ全開だね。

レゴッホ
レゴッホ
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祭壇画とフレスコ画|プラートとスポレートでの大仕事

リッピは板絵だけでなく、大規模なフレスコ装飾でも活躍しました。

プラート大聖堂の洗礼堂では、洗礼者ヨハネの生涯を描いた連作を手がけています。
そこでは、城壁や階段、群衆の配置が建築的に整えられ、人物の動きもリズミカルに構成されています。
劇的な場面であっても、色彩はやや落ち着いており、人物の表情はどこか柔らかさを残しています。

晩年には、スポレート大聖堂のアプスに、聖母の死と被昇天を主題とする大きなフレスコを制作しました。
ここでも、空に上げられるマリアを取り囲む天使たちが軽やかに舞い、下に集う使徒たちの表情には驚きと敬意が入り混じっています。

こうした公共空間の仕事を通して、リッピは「物語をわかりやすく、しかも美しく見せる」能力を証明しました。

ぬい
ぬい

家庭的な聖母だけじゃなくて、ちゃんと“壮大な物語”もさばけるのね。

そうそう。親しみやすさと大掛かりな構図力、両方持ってるのが強いところ。

レゴッホ
レゴッホ
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修道士と恋人と家族|波乱だらけの人生

リッピの人生で有名なのが、修道士でありながら尼僧ルクレツィア・ブーティと恋に落ち、子どもをもうけたエピソードです。
彼女はある修道院に所属していましたが、祭壇画制作のモデルを務めたことが縁となり、二人は深い関係になります。

最終的には彼女は修道院を離れ、リッピとのあいだに息子フィリッピーノが生まれます。
当時としてもかなりスキャンダラスな出来事でしたが、パトロンであるメディチ家の仲介もあり、二人は事実上夫婦として扱われました。

晩年の死因については、毒殺説などさまざまな噂が残っていますが、確実な証拠はなく、実際のところははっきりしていません。
ただ、自由奔放な性格と恋多き私生活が、こうした伝説を生みやすい人物だったことは確かです。

ぬい
ぬい

人生そのものがドラマすぎて、もはや作品世界と地続きって感じ。

だね。こういう「世俗の熱量」が、絵のあたたかさにつながってるんだろうな。

レゴッホ
レゴッホ
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おすすめ書籍

このサイトの参考にもさせて頂いている本を紹介します。

まとめ|なぜ今フィリッポ・リッピを見るのか

フィリッポ・リッピは、修道士としての信仰と、現実の感情豊かな人間関係のあいだで揺れながら、初期ルネサンスの聖母子像を決定づけた画家です。

《聖母子と二天使》に見られる家庭的な親密さ、プラートやスポレートのフレスコにあらわれる物語性、そしてフィリッピーノへと続く画家一家の物語。
どれを取っても、「人間の生活と信仰が交差する場面」をあたたかく描き出そうとする姿勢が一貫しています。

ルネサンスのなかでも、とくに「優しい絵」が好きな人にとって、リッピは必ずチェックしておきたい存在です。
聖母と子どもの表情に注目していくと、600年近く前の作品なのに、驚くほど身近な感情が見えてくるはずです。

ぬい
ぬい

結論、リッピは“人間くさい聖母画”の最高峰って感じだね。

うん、ドラマも含めて知っておくと、ウフィツィでの感動が二倍になると思う。

レゴッホ
レゴッホ
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