
こんにちは、美術愛好者の皆さん。
今回は、ルネサンス期の画家ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』を解説していきます。

このサイトのどこか1記事にピンク色の僕がいるよ!
見つけたらラッキー!ぜひ探してみてね!!!!
鑑賞
下の解説を見る前に皆さんもぬいと一緒に、作品をじっくりと鑑賞してみてください。



『ヴィーナスの誕生』ってタイトルから察するに真ん中がヴィーナス。
なんでこの人貝殻の上で生まれてるんだ?

そして、貝付近の水面を見た感じ海から出て来たばかりだね。
海の底から貝に乗って来たのかな?エレベータみたいに。


貴方達は何をなさっているのぉぉぉぉ!
貝の上乗った裸の女性に息を吹きかけてるよ!?


登場人物の過半数が全裸or半裸なせいで
服着てて当然なのに、何故この人は服を着ているの?って思っちゃったよ。
解説
皆さん、思う存分鑑賞は出来ましたでしょうか?
ここからは、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』を解説していきます。

早く知りたい!
教えてーーーー!
『ヴィーナスの誕生』の概要
『ヴィーナスの誕生』はギリシア神話がモチーフの作品です。
女神ヴィーナスは、大地の神クロノスによって切断された天空の神ウラノスの男根が海に投げ出されたときにできた泡から生まれたとされています。

誕生秘話が思ったよりぶっ飛んでいて開いた口がふさがらない
『ヴィーナスの誕生』では、彼女が西風の神ゼフュロスによってキュプロス島に運ばれる場面が描かれています。
ヴィーナスが乗っているホタテ貝は「豊穣」「再生」のシンボルで、彼女が海の泡から生まれたことの証でもあります。

ごめん。まだ開いた口が塞がらない。。。
時代背景
『ヴィーナスの誕生』が描かれた1486年は初期ルネサンスの時期です。
まさに、神や教会を中心とした中世的世界観から、人間中心の世界観へと文芸・思想の大転換期が起こっている真っ只中でした。

文芸・思想の大転換期?
例えばどんなふうに変わったの?
西洋の中世美術では、特に宗教的な文脈において裸体表現は慎重に取り扱われまていました。
キリスト教の道徳観念に基づいて、裸体が罪深いと見なされ、避けられる傾向がありました。
ただし、一部の宗教的なコンテクストや古代ローマの影響を受けた作品では、裸体が描かれることもありました。
また、一神教のキリスト教では、複数の神が存在する古代ギリシア・ローマ文化は認められていませんでした。

なるほど。
中世の絵画の人が裸じゃないか別記事も見てみよーっと。
しかし、ルネサンス期になると、芸術家たちは古代ギリシャ・ローマの美術に傾倒し、裸体表現が再び注目されるようになりました。
この『ヴィーナスの誕生』で描かれたギリシア神話の女神はキリスト教世界で生きていた人々に衝撃を与え、以後、解き放たれたかのように多彩な裸身が生まれていきました。

裸で話題になった作品といえばマネの『草上の昼食』が面白いから
ぜひこの記事読んでみてwwwwww
登場人物
まずは、『フォニーニョの聖母』に描かれている登場人物を紹介します。
ヴィーナス

概要
ヴィーナス(Venus)は、古代ローマ神話における愛と美の女神で、ギリシャ神話ではオリュンポス十二神のひとりアフロディーテ(Aphrodite)に相当します。
軍人アレスや美青年アドニスなどと数多くの恋のエピソードで知られている神です。
また、愛と美以外にも4月の女神としても知られています。

アフロディーテ=ヴィーナスなのか!
アトリビュート
ヴィーナスのアトリビュートにはいくつかの特定の象徴的な要素が含まれています。
例えば、ヴィーナスは海の泡から生まれてホタテ貝に乗り、漂ったと伝えられていることから貝殻や
美と愛の象徴する薔薇、美と外見への興味から、ヴィーナスは時折、鏡を持って描かれることがあります。

あ、神話でホタテ貝に乗ってるんだ!
他にも、白鳥やつがいの鳩もヴィーナスのアトリビュートとして知られていますが、それぞれ由来が神話の話になり記事が進まないので機会があったら別でまとめます。
これらのアトリビュートは、ヴィーナスを祀る神殿や芸術作品において、彼女の神性と美的な要素を象徴的に表現するために使用されています。
『ヴィーナスの誕生』では、周りにあるバラの花とホタテの貝殻の上に乗っていることからヴィーナスであると断定できますね。
本作での役割
ヴィーナスは海の泡から生まれたと言われており、『ヴィーナスの誕生』では生まれ出たばかりの姿を描いています。
生まれたばかりであるためかどこか戸惑いの表情をしているように感じられますね。

僕には何も考えていないように見える( ´∀` )
ゼフュロス

概要
ゼフュロス(Zephyros)は、古代ギリシャの神話において西風の神であり、アネモイ(風の神々)の一員です。
主に西風や穏やかな風を司り、花を運ぶ風としても知られ、春の訪れをもたらす役割があります。
アトリビュート
ゼフュロスのアトリビュートは、通常、彼が持つ西風や穏やかな風が挙げられます。
また、花と自然の女神であるクロリスの旦那でもあります。
『ヴィーナスの誕生』では、花と自然の女神であるクロリスを抱きかかえ西風を送っていることからゼフュロスであると断定できますね。
本作での役割
ヴィーナスに西風を吹きかけ、ヴィーナスをキュプロス島へとヴィーナスを運ぶ役目を担っています。
西風は春(生命)を呼ぶものとされています。

風の神様で、ヴィーナスを島に運んであげていたのか!
不審者だと思ってごめんなさい。
クロリス

概要
クロリスは古代ギリシャ神話に登場する女神で、花と自然の女神とされています。
彼女は風の神ゼフュロスの妻です。
ゼフュロスと結婚したことにより、クロリスは花々や美しい自然を生み出す力を手に入れました。
伝説によれば、クロリスがゼフュロスと結ばれることで、春の訪れと共に花々が咲き誇り、自然が豊かになったとされています。
アトリビュート
アトリビュートとしては、クロリスが手にする花や花冠が挙げられます。
これらの花は春の訪れや自然の再生を象徴し、クロリスが豊かな美と生命力をもたらす存在と見なされています。
『ヴィーナスの誕生』では周りの薔薇の花とゼフィロスに抱きかかえられている点からクロリスだと断定できますね。

絶対この夫婦、仲良いと思います!!
本作での役割
ゼフュロスに抱きかかえられて、ヴィーナスに薔薇の花を吹きかけています。
ホーラ

概要
ホーラ(Horae)は、古代ギリシャ神話に登場する季節の女神で、時間や季節の流れを司ります。
三姉妹で、それぞれ春、夏、秋を象徴しています。美しさと秩序を表す女神たちであり、神話や芸術作品において季節の変化や時間の概念を象徴的に表現されることがあります。

冬はいないんだ。
そしてこの絵のホーラは春、夏、秋のうちどれだ?
アトリビュート
アトリビュートとしては、季節の変化や時間の進行と関連しています。
例えば、春を表すホーラの場合だと花や芽吹きが挙げられます。
また時間の流れや太陽、月などが、彼女たちのアトリビュートとして描かれることがあります。
これらのアトリビュートは、ホーラが季節や時間を司る存在として理解され、芸術や詩などでその象徴的な要素が表現されています。
『ヴィーナスの誕生』では花柄の服やマントを持っていることから、春のホーラであると断定できますね。

春のホーラでしたぁ~
本作での役割
ゼフュロスによってキュプロス島へ運ばれた裸体のヴィーナスの身をくるむためにマントを持って駆けつけている姿が描かれています。
花柄の服やマントを持っているのは、『ヴィーナスの誕生』が春であることを強調するものと言われるています。
ヴィーナスの2つのモデル
本作のヴィーナスを描くにあたってポーズと顔面それぞれにモデルとなったものが存在すると言われています。

ヴィーナスだけでそんなにモデルが。。。
顔のモデルはシモネッタ・ヴェスプッチ
まず、ヴィーナスの顔を含む全身のモデルをしたと言われているのが、シモネッタ・ヴェスプッチです。

シモネッタはフィレンツェの美女で、ボッティチェリがよくモデルとして起用していました。
上記の肖像画を見ると、『ヴィーナスの誕生』のヴィーナスにどことなく似ている感じがしませんか?

似てる。
似てるけどごめんシモネッタが気になりすぎてる。
素敵な名前だと思います。
ポーズのモデルとなった『はじらいのヴィーナス』
このヴィーナスのポーズは、マサッチオの『楽園追放』のイヴのポーズと同じです。


ホントだ!
じゃあこの『楽園追放』のイヴのポーズがモデルってことか!
いいえ。『ヴィーナスの誕生』のヴィーナス、『楽園追放』のイヴこの二つの絵画で共通するポーズは、古代ギリシア彫刻の『カピトリーノのヴィーナス』をモデルにしたと言われています。

彫刻系は著作権の関係で画像は貼れないけど、ほぼ同じポーズしてたから
みんな調べてみて!
構図の元となった『キリストの洗礼』
『ヴィーナスの誕生』は、ヴェロッキオとレオナルド・ダ・ヴィンチによる合作であるとされている『キリストの洗礼』を構図の参考としているのではないかと考えられています。

イエスを中心にして右に洗礼者ヨハネ、左に二人の天使がいます。
この『キリストの洗礼』の構図、形式をボッティチェリは『ヴィーナスの誕生』に取り入れたと言われています。

確かに人の配置と人数と組み合わせは一緒だけど
そんな絵画探せばいくらでもありそうな気がする。
サイゼリヤの絵
本作はサイゼリヤの絵としても知られてた方も多いのではないでしょうか?
他のサイゼリヤで鑑賞可能な作品に記事についてまとめてある記事もありますので、興味のある方は是非見てみてください。
おすすめ書籍
この記事の参考にもさせて頂いている本を紹介します。
理由がわかればもっと面白い!西洋絵画の教科書
作品から入りたい人にも知識から入りたい人どちらにもお勧めできる一冊です。
というのも、本書の冒頭で自分に合った西洋絵画の楽しみ方に合うように章を読む順番の例を示してくれているので自分に合った順番で学ぶ事が出来ます。
西洋絵画の流れが簡単にまとまっているページや各時代の代表的な作家の紹介もわかりやすくおすすめです。各章の直前は漫画形式になっており入り込みやすいうえ、章の間のコラムもマニアックなものが多く個人的に非の打ち所がない一冊です。
世界でいちばん素敵な西洋美術の教室
文字よりも絵が多い本を望んでいる人にお勧めの一冊です。
というのも、この本は本当に文字に対して絵の割合が非常に多く様々な絵が掲載されています。
しかし、決して文字の情報も少ないわけではなく知りたい情報はすべて乗っていると言っても過言ではありません。著者さんが 淡々と面白いことを言う方のようで、Q&Aの雰囲気が個人的に最高なので、皆さんにもぜひ知ってもらいたいです。
面白すぎてあっという間に読み終えてしまうが、何度でも読めてしまうとてもおすすめの本です。
まとめ
今回は、ボッティチェリの『ヴィーナスの誕生』を解説しました。
他の絵画に興味がある方は別の記事もご覧ください。

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