今回はマネの『草上昼食』を解説します。
この絵は大スキャンダルを巻き起こした名画として有名ですが、何故スキャンダルになった理由や他作品への影響について解説していきます。
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前提
マネとは?
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エドゥアール・マネ(1832-1883)は、19世紀フランスの画家で印象派の先駆者と見なされています。彼は伝統的な絵画スタイルに挑戦し、「草上の昼食」や「オランピア」などでその斬新なアプローチを示しました。
マネの作品は写実主義と印象主義を融合させ、光の効果や色彩の表現に焦点を当てました。彼は時折社会的なテーマや都市の風景も描き、その作品は当初は議論を巻き起こしましたが、後に芸術界に大きな影響を与えました。
彼の手法は個性的でありながらも、印象派の仲間たちとの交流を通じて、芸術の進化に寄与しました。マネの死後も、彼の芸術的遺産は続く世代の画家たちによって称賛され、重要視されています。
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おすすめ書籍
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印象派とは
印象派は、19世紀末のフランスで興った芸術運動で、主に風景や日常生活の瞬間的な印象を捉えることを目指した画家たちのグループです。
このスタイルは写実性よりも光や色彩の変化、筆致の断片化に焦点を当て、絵画に新しい視点と印象をもたらしました。
代表的な画家にはクロード・モネ、エドゥアール・マネ、ピエール=オーギュスト・ルノワールなどがいます。
印象派は従来の芸術概念に挑戦し、独自の美学を確立しました。
写実主義とは
写実主義は、19世紀の美術や文学における美学の潮流で、具体的で客観的な現実の描写を追求する運動です。
物事を忠実に再現し、現実の詳細を最大限に捉えることが特徴で、社会の変化や人間の行動を客観的に描き出すことが目的です。
エミール・ゾラやギュスターヴ・フローベールなどの作家や、ギュスターヴ・クールベやエドゥアール・マネなどの画家が代表的で、彼らは細部にわたり事実に基づいた描写を通じて深い洞察を提供しました。
写実主義はその後も影響を残し、芸術や文学において現実の表現に対する重要性を示す基盤となりました。
解説
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1863年当時、ピクニックはお金がかからないので、とりわけ庶民階級のレジャーとして好まれました。マネ《草上の昼食》も水辺のピクニックをしている場面を描いた作品です。
しかし、1863年のサロンに上の作品を出品すると、大不評で歴史に残る大スキャンダルに発展しました。
サロンで落選したため、落選展に出品するも、批評家からも世間からも大バッシングを受けます。
この絵のサイズが歴史画で使われるような大きなサイズだったことも問題になりました。
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この絵が大スキャンダルになった絵なんだね。
どこが問題んだったかぱっと見じゃわからないけど。。。
スキャンダルの理由
スキャンダルの理由は、普通の女性の裸がいるからです。
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裸の女性が描かれている絵なんてサイゼリヤに沢山ない???
裸の女性が描かれている作品は当時も沢山ありました。
でもそれらは批判されることはありませんでした。
その理由は、当時主流であったアカデミック絵画及びそれ以前の西洋絵画史の暗黙のルールとして「意味もなく女性の裸を描いてはいけない」というものがあったからです。
女性の裸を描いてよいのは「神話や寓話、歴史上の出来事を描いた作品」の時だけでした。
よって、この作品は神格化された美しい女性の裸体を描いた数々の名画を冒涜するとして、サロンから激しい反発を招きました。
このような理由からマネが当作品で描いた「裸体の一般女性」は画期的なものであり、同時に批判の対象となった。
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なるほど。一般の女性を裸で描くこと自体が前代未聞だったからスキャンダルが起こったのね。
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モデルとなった人物
裸体の女性はモデルとなった人物がいます。
それはヴィクトリ―ヌ・ムーランという女性で当記事前提に貼ってある『オランピア』などの1860年代~1870年代前半のマネの多くの作品でモデルを務めていました。
男性2人にもモデルとなった人物がおり、右の男性はマネの弟のギュスターヴ・マネ、中央の男性はマネの妻の弟のフェルディナン・レーンホフがモデルです。
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奥のかがんでる人のモデルは???
フェルディナンド・レーンホフの妻スザンナがモデルです。
参考にした作品
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一般女性が裸だから批判されたのはわかったんだけど、
どうして女性だけが裸なわけ???
マネがこの絵を描くにあたり、参考にした作品が2つあると言われています。その元ネタを知ると女性だけが裸で描かれている理由が分かるかもしれません。
田園の奏楽
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まず1つ目がティツィアーノ・ヴェチェッリオの「田園の奏楽」です。1509年の絵なのでマネの時代からみても古典絵画でした。
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思いっきり、女性だけ裸だけど???
ルネサンスでは問題にならなかったの???
この絵は、寓意画だから問題ないです。
裸の女性も一般女性ではなく、ガラスの水差しを手にした女性は悲劇的な詩歌の女神であり、フルートを手にした女性はのどかな田園を詠った詩歌の女神だと考えられています。
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なるほど。そういえば女神様はセーフだったね!
マネは「田園の奏楽」の自然の中に服を着た男性2人と裸に近い女性2人の描写にインスピレーションを得ました。
パリスの審判
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2つ目はマルカントニオ・ライモンディの「パリスの審判」です。
この作品はラファエロのデッサンをもとに制作された銅版画です。これもルネサンス期の作品でありマネの時代からみても古典絵画でした。
マネがこの作品のどこを参考にしたかというと、右下の3人の構図です。
ちなみにこの絵もギリシャ神話を描いているものなので、女神が裸でも問題ありませんでした。
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わあ!!!!めっちゃ一緒!!!
マネがやりたかったこと
マネは上記2つの古典絵画を現代風にアレンジしたかっただけなのですが、左下に女性が脱いだものとみられる服が描かれていることから、女神でもニンフでもなく一般の女性。
しかも描かれている場所も売春エリアのイメージが強い森の中だったため大批判を浴びてしまったのです。
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なるほど。マネは古典を現代に落とし込みたかっただけだったのか。
本作に影響を受けた作品
大批判されたことによって、この作品は有名になり美術史にとって重要な作品となったことは言うまでもありません。
マネの「草上の昼食」はモネ、ピカソ、セザンヌ等様々な画家にオマージュ、パロディされました。これは現代の『リサとガスパールのピクニック』まで続いています。
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まとめ
今回はマネの「草上の昼食」を解説しました。様々な論争を巻き起こしたこの作品は、「近代美術の始まり」と称されています。
歴史的に大切な1枚であるこの作品のことを少しでも知っていただけていたら幸いです。
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