システィーナ礼拝堂の天井画は、ルネサンス期を代表する芸術家ミケランジェロ・ブオナローティによって創作された壮大な作品です。
その美しさと緻密さは、今なお世界中の人々を魅了し続けています。
しかし、一体なぜこの作品がこんなにも特別なのでしょうか。その謎に迫りながら、システィーナ礼拝堂の天井画を解説していきます。
本記事のコンセプト上、最初にじっくり鑑賞からしていますが、すぐ解説をご覧になりたい方は目次で気になる個所をクリックすれば直ぐに飛べるので、ご活用ください。
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探してみてね!!
『システィーナ礼拝堂天井画』を鑑賞
下の解説を見る前に皆さんもぬいと一緒に作品をじっくりと鑑賞してみてください。
凄い。細かくいろいろ描いてある!!
あれ中央ちょい左にあるこれ、サイゼリヤで見たことあるよ!
中央の絵はなんだろう?
命乞い???
てか、立体感凄いね!!!
『システィーナ礼拝堂天井画』を解説
皆さん、十分に鑑賞できたでしょうか?
システィーナ礼拝堂はバチカン市国内に位置する、カトリック教会の重要な礼拝堂です。
システィーナ礼拝堂と言えば、今は新教皇選挙「コンクラーベ」で使われているよね!
そのシスティーナ礼拝堂の天井画は、ミケランジェロによって1508年から1512年にかけて制作されました。
天井全体にわたって描かれたのは、9つの場面からなる物語性のある絵画で、神話や聖書の物語を描いています。
ここからは、ミケランジェロの『システィーナ礼拝堂天井画』を詳細に解説していきます。
『システィーナ礼拝堂天井画』の詳細
題名 :システィーナ礼拝堂天井画(Volta della Cappella Sistina)
作者 :ミケランジェロ・ブオナローティ(Michelangelo Buonarroti)
製作年:1512年
種類 :フレスコ画
寸法 :間口1338cm×奥行3600cm×高さ1463cm
所蔵 :システィーナ礼拝堂(ヴァチカン宮殿)
制作背景
1506年、システィーナ礼拝堂の天井を絵画で飾る計画が教皇ユリウス2世によって立てられました。
礼拝堂の側壁には既に「キリスト伝」と「モーセ伝」を描いた壁画群がありました。
もともと描かれていた壁画は、当時の有名なルネサンス期の画家であるペルジーノ、ボッティチェッリ、ギルランダイオによって制作されたものでした。
ミケランジェロは、天井画の制作を命じられましたが、彼自身は画家ではなく彫刻家であると考えていたため、この仕事にはあまり乗り気ではありませんでした。
さらに、当時のミケランジェロは既に教皇ユリウス2世のために壮大な墓碑の制作に忙しかったのです。
既に大仕事依頼しているのか!!!
しかし、教皇はミケランジェロに天井画を描かせることを諦めず墓碑の制作は一度中断させ、ミケランジェロには天井画を描くように命じました。
相手が教皇ということもあり、ミケランジェロには仕事を引き受ける以外の選択肢はありませんでした。
そして1508年5月10日、ミケランジェロが33歳の時に天井画の契約にサインしました。
こうして、ミケランジェロはシスティーナ礼拝堂天井画を描くことになりました。
権力者のお願いって大変だね。
でもどうやって、描いた絵を天井に運んだんだろう?
そんなことはしません。
天井に直接描くのです。次は制作方法について解説します。
制作方法
上記の通り、ミケランジェロはシスティーナ礼拝堂天井画を天井に直接描いています。
そのためには、天井に直接絵を描ける足場を用意する必要がありました。
ミケランジェロは、自ら天井画制作用の足場を設計しました。
さすがルネサンスの天才のひとり。。。
足場の設計まで自分でこなせるとは。。。
この礼拝堂は、頻繁にミサが行われるため、制作には工夫が必要でした。
通常の天井画制作では、真下の床面から足場を高く組む必要がありますが、それではミサの妨げになってしまいます。
そこで、ミケランジェロはかまぼこ型の天井の半円カーブが始まるところから上部に、一定の幅の足場を天井面に沿って設置する方法を採用しました。
下から見上げると、帯状の足場が天井面を横切る形になります。
そして、その帯状部分の壁面を描き終わったら、帯状足場をずらして移動させていきます。
この方法で、礼拝堂の入口側の天井面から作業を開始しました。
また、聖書の説話の時間軸を逆に辿る順序で描かれました。
ヴァザーリによれば、「ミケランジェロは非常に困難な状況で天井画を描かなければならず、天井の方を見ながら首を曲げて描いた」とのことです。
描いていくごとに体勢にも慣れて、後半に描いた側の方が出来がいいしスムーズに描けたって話聞いたことある。
描かれている内容
ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂天井画には様々なものが描かれています。
人物の数だけで見ても300人を超える数が描かれています。
描かれている主な内容を人ずつ紹介します。
『創世記』の物語
中央、緑の枠で囲んである部分には旧約聖書の『創世記』の物語が描かれています。
①光と闇の分離
②天体と植物の創造
③空と水の分離
④アダムの創造
⑤エヴァの創造
⑥原罪と楽園追放
⑦ノアの燔祭
⑧大洪水
⑨ノアの泥酔
詳細は下記記事をご覧ください♪
預言者と巫女
下記画像の部分には7人の預言者と5人巫女が描かれています。
この部分は、構想段階では、十二使徒が描かれる予定でした。
注文者の教皇が、カラフルな天井画を所望していたため、ミケランジェロは、地味な仕上がりになりそうな十二使徒ではなく、カラフルな仕上がりにできそうな巫女と預言者に変更したと言われています。
①預言者エレミヤ
②ペルシアの巫女
③預言者エゼキエル
④エリュトレイアの巫女
⑤預言者ヨエル
⑥預言者ザカリヤ
⑦デルフォイの巫女
⑧預言者イザヤ
⑨クマエの巫女
⑩預言者ダニエル
⑪リビアの巫女
⑫預言者ヨナ
詳細は別記事で開設予定だよ♪
イスラエル救済の諸場面
天井画の四隅にはイスラエル救済の諸場面も描かれています。
①ハマンの懲罰
②ダヴィデとゴリアテ
③ユディトとホロフェルネス
④青銅の蛇
詳細は別記事で開設予定だよ♪
ミケランジェロを簡単に解説
ここで、『システィーナ礼拝堂天井画』の作者について軽く紹介します。
生没年
1475~1564年
出身
フィレンツェ共和国、カプレーゼ
代表作
・『ピエタ』
サン・ピエトロ大聖堂(バチカン市国)
・『ダビデ』
アカデミア美術館(イタリア)
・『最後の審判』
システィーナ礼拝堂(バチカン市国)
同世代の画家
・ボッティチェリ(1444/45~1510年)
・レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452~1519年)
『システィーナ礼拝堂天井画』の魅力
ここからは、個人的に感じている『システィーナ礼拝堂天井画』の魅力を語っていきます。
ミケランジェロの技術的な驚異
ミケランジェロは、この天井画において、驚くべき技術を駆使しています。
彼は、天井の曲線的な形状に合わせて、人物や風景を緻密に描き込んでいます。
また、彼の優れた彫刻技術を活かし、人物の筋肉や表情を細部まで再現しています。
ミケランジェロの技術的な驚異は、この天井画を鑑賞する者を圧倒し、感動させる要因の一つとなっていると思います。
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感情的な表現力による物語性の魅力
ミケランジェロは、単なる絵画ではなく、物語性を持った作品を作り上げることに成功しています。
彼は、創世記の物語の中で、神と人間の関係や人間の苦悩を表現しています。
特に、天井画に描かれているアダムと神の指先が触れ合う『アダムの創造』は、その感情的な表現力によって多くの人々の心を捉えてきました。
ミケランジェロの作品は、ただ美しいだけではなく、深い思索を促し、鑑賞者に感情的な共感を与える力を持っています。
まとめ
ミケランジェロのシスティーナ礼拝堂の天井画は、彼の天才的な芸術表現の集大成とも言える作品です。
その壮大なスケールと技術的な驚異によって、多くの人々を魅了してきました。
また、彼の作品には物語性と感情的な表現力があり、それによって鑑賞者は深い思索と感情的な共感を得ることができます。
ミケランジェロの天井画を見ることは、彼の芸術の素晴らしさを理解し、感動する絶好の機会です。
ぜひ、システィーナ礼拝堂を訪れ、その壮大な作品を眺めてみてください。
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それでは、また別の記事でお会いしましょう。
アディオス。
コメント
[…] これは、システィーナ礼拝堂の天井画に描かれている『創世記』の一部に描かれている創造主のオマージュとなっています。 […]
[…] 『システィーナ礼拝堂天井画』を解説!ミケランジェロの工夫の宝庫!ミケランジェロ・ブオナローティの作品『システィーナ礼拝堂天井画』を一緒に鑑賞し、その後徹底解説をしてい […]