スポンサーリンク

コレッジョの『聖母被昇天』を解説!パルマ大聖堂の天井に広がる天国

アフィリエイト広告を利用しています。
マニエリズム
スポンサーリンク
スポンサーリンク

ヨーロッパ美術史の中でも、空間を突き抜けるような天井画として知られるのが、コレッジョによる《聖母被昇天》です。

舞台はイタリア・パルマ大聖堂。天井いっぱいに描かれたこの作品は、見る者を「天国の只中」に引き込むかのような壮大な錯視効果で、後のバロック美術に大きな影響を与えました。

本記事では、そんな《聖母被昇天》について、作品の概要から主題、登場人物、見どころ、豆知識までを詳しく解説します。

なぜこの作品がマニエリスムとバロックの橋渡しと呼ばれるのか、一緒に紐解いていきましょう。

ぬい
ぬい

マニエリスムとバロックの橋渡し作品…
かっこいい

スポンサーリンク

作品基本情報

作品詳細

タイトル:聖母被昇天(Assunzione della Vergine)
制作年:1526-1530年
サイズ:1093 × 1155 cm
種類:フレスコ

所蔵先:パルマ大聖堂天井画(パルマ)

簡単に紹介

・天井いっぱいに渦巻く雲と光の中を昇る聖母の姿を描いたバロックの先駆け的作品。

・ダイナミックな構成の中で、聖母や天使の肌や衣服の陰影が非常に柔らかく仕上げられている。

・明確に「スフマート」と言えるかは議論があるが、光の拡散と空気感の表現には類似点が多い。

ぬい
ぬい

天井画って書くの大変そうだよね。

スポンサーリンク

作品概要|空に開かれた天国の門

この作品《聖母被昇天》は、1526年から1530年にかけてアントニオ・アッレグリ・ダ・コレッジョ(通称コレッジョ)によって制作された、イタリア・パルマ大聖堂のドームを飾る天井画です。フレスコ技法で描かれたこの壮大な作品は、聖母マリアが死後、天に召される瞬間を描いています。

驚くべきはその構図。八角形のドーム全体を使い、マリアが天に引き上げられていく様を、無数の天使と聖人たちが取り囲みながら見守るという大胆な視点で描いています。見上げた視線に呼応するような奥行きのある構成は、後のバロック芸術にも影響を与えました。

ぬいのコメント:

ぬい
ぬい

お空が…まるで本当に開いてるみたい!ずっと見てたら、吸い込まれそうになる!

スポンサーリンク

主題の解説|マリアの被昇天とは?

本作のテーマはカトリックにおける重要な信仰概念である「聖母被昇天」。これは、マリアがその生涯の終わりに肉体と魂をともに天に引き上げられたという教義に基づいています。福音書には明確な記述はありませんが、中世以降この出来事は多くの芸術家たちによって描かれてきました。

コレッジョはこの主題を、聖母が天国のまばゆい光の中へと引き上げられる瞬間にフォーカスしています。マリアは中心の光の中にほとんど溶け込むように描かれ、観る者の目線は自然とその頂点へと導かれます。まさに「天国への通路」を具現化したような視覚体験を提供する作品です。

ぬい
ぬい

マリアさんがふわ~って天にあがっていくの、なんだか夢みたいでキレイ…!

スポンサーリンク

登場人物と描かれ方の解説

この壮大な天井画には、数多くの人物が登場します。ドームの下層には旧約・新約の聖人たちや使徒たちがマリアの昇天を見上げ、中央にはマリアを囲む天使の群れ、さらにその中心に輝く天の光とともにキリストの姿が描かれているとされます。

人物たちは上昇するマリアの動きに呼応するように、渦を巻くような配置で配置されており、それぞれの身体や衣服のひるがえりが、ドラマチックな動勢を作り出しています。また、下部にいる人物たちは、実際にドームを見上げる人々の視点と一致するよう、遠近法と短縮法が極めて巧みに使われています。

ぬい
ぬい

みんなでマリアさんを見上げてるの、ちょっと感動しちゃう…
あったかい気持ちになる!

スポンサーリンク

見どころ①|圧巻の短縮法と遠近表現

本作最大の見どころのひとつは、何と言っても建築的制約を超えた遠近法の活用です。コレッジョは「ディ・ソット・イン・スー(下から上への視点)」と呼ばれる表現技法を極限まで発展させ、まるでドームの天井がそのまま天へと抜けているかのような錯覚を生み出しました。これは当時としては非常に革新的で、後のイリュージョニズム的天井画の源流とも言える存在です。

スポンサーリンク

見どころ②|光の表現と構図の躍動感

マリアが昇天する光源を頂点に据えた円形構図は、見る者の視線を自然に上方へと導きます。この中心から放射されるように描かれた天使たちと雲は、単なる装飾を超えた劇的な効果を生み出しています。絵画全体に光が拡散する様子は、まさに「天の祝福」がドームに降り注いでいるかのような印象を与えます。

スポンサーリンク

見どころ③|身体表現の巧みさ

人物たちのポーズや動きは、どれも重力を感じさせない軽やかさを持っています。宙を舞うように配置された体は、見る角度によって表情が変わる巧妙な配置になっており、ドーム下を歩くことで異なる印象を与えます。こうした動きのある人物表現は、コレッジョがルネサンス期からバロックへの橋渡しをした存在であることを実感させます。

ぬい
ぬい

ぐるぐる渦を巻くみたいに人が描かれてるの、すごい迫力!
首が痛くなっても見続けたい!

スポンサーリンク

豆知識|「雲の天井」はバロックを先取りしていた?

この作品が完成したのは1530年ごろ。実はこれは「バロック美術」が本格化するよりも1世紀ほど前のことです。それにもかかわらず、この《聖母被昇天》には、バロックの特徴であるドラマチックな構図、強い動勢、光の象徴性などがすでに見て取れます。特に、天井画で空間を解体し、宗教的幻想を現実の空間に接続する手法は、バロック期の芸術家たちに強い影響を与えたと考えられています。

ぬい
ぬい

バロック前なのにバロックみたいって、コレッジョさん時代先取りすぎ…!

スポンサーリンク

まとめ|コレッジョが天井に描いた「信仰の劇場」

《聖母被昇天》は、単なる宗教画ではなく、「見る者を天上の出来事に参加させる」という強烈な視覚体験をもたらす作品です。教会の空間全体を舞台に見立て、マリアの昇天という神秘を、重厚な構図と圧倒的な技術で描き出したこの作品は、まさに天井画の歴史を塗り替えた革新でした。視線を天に導かれるその体験は、500年後の私たちにも、信仰や芸術の力を語りかけてきます。

ぬい
ぬい

コレッジョさん、空にまで物語を描いちゃうなんてロマン!
パルマ行きたくなってきた~

【関連記事】

スフマート技法とは何か簡単に解説!モナリザ等の有名作品に使われた

タイトルとURLをコピーしました