スポンサーリンク

ゴッホ《テオのアパルトマンからの眺め》を解説!1887年パリの作品

アフィリエイト広告を利用しています。
ポスト印象派
スポンサーリンク

淡い青の空に小さな色点が舞い、窓の外にはパリ北端・モンマルトルの屋根が段々に重なります。
手前の壁面は切り取られたように画面右を占め、赤い鎧戸や緑の屋根がリズムを刻みます。

1887年3〜4月に描かれた《テオのアパルトマンからの眺め》は、兄テオが住んだルー・レピック54番地の部屋から見た街並みを、明るいパレットと点描的な短い筆触で定着した作品です。オランダ時代の暗調から抜け出し、パリの光を自分の言葉にし始めた時期の手応えがそのまま残っています。

【生涯を知りたい方はこちらがおすすめ】

ゴッホの人生を年表で徹底解説!作品と出来事からたどる波乱の生涯

ぬい
ぬい

部屋の窓からここまで開けた景色、気持ちいいね。

だよね。丘の傾斜があるから、屋根越しに遠くまで抜けるんだ。

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

《テオのアパルトマンからの眺め》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

作品名:テオのアパルトマンからの眺め(英題例 View from Theo’s Apartment

制作時期:1887年3〜4月

制作地:パリ・モンマルトル(ルー・レピック54番地)

技法:油彩/カンヴァス

主題:窓辺から望む屋根並みと遠景、点描的ストロークによる明るい空

所蔵:ファン・ゴッホ美術館

ぬい
ぬい

住所がはっきりしてるのが面白いな。

現地の坂道を知ると、画面の“段差”の理由も腑に落ちるよ。

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

パリ移住の転回点|新印象派に触れて“明るさ”を獲得

1886年にパリへ移ってから、ゴッホはピサロやスーラらの作品に出会い、色を分けて置く方法を吸収しました。
この画面でも、空や壁、屋根は混色を最小限に抑え、黄色・青・緑・赤の小さなタッチを隣り合わせて置くことで、反射光を感じさせています。
オランダ時代の重い土色は影を潜め、高明度のパレットが室内からの眺望にも新鮮な透明感を与えています。

ぬい
ぬい

黒で暗くしてないから、曇り空でも明るいんだ。

そう、“暗さ=黒”をやめて、色で影を作ってるんだよ。

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

構図と視線設計|右の“切り”が生む都市のリズム

画面右端の建物をほぼ垂直の帯として大きく切り入れ、手前の迫力と奥行きの抜けを同時に確保しています。
左手の屋根群は高さを変えながら階段状に連なり、遠景の地平線上まで視線を導きます。
都市の密度を出しつつ、上方に広い空を確保することで、圧迫感より“風通し”が勝つ構成になっています。

ぬい
ぬい

右の壁がドンとあるのに、息苦しくないのは空が広いからか。

それと、屋根の段差で視線が上へ上へと登るからだね。

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

色とタッチ|屋根・壁・空を“素材別”に描き分ける

屋根瓦は青と緑の短いストロークで粒立ちを、煉瓦や鎧戸は赤系の点を散らして素材感を出しています。
空は青と白の色点が密に並び、粒の密度で雲の厚みを表現。
線を引いて輪郭を固めるのではなく、触覚的なタッチで都市の表面を彫り分けているのが、この時期ならではの魅力です。

ぬい
ぬい

近寄るとモザイク、離れると空気って感じ。

まさに“置いた色が目の中で混ざる”描き方だね。

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

窓辺という主題|私生活と都市の境界を描く

アトリエや窓からの眺めは、パリ時代の小さなテーマのひとつでした。
この作品では、私的な室内公共の都市の境界が、窓というフレームでやわらかく結ばれています。
人影は画面に見えなくても、煙突や鎧戸の開閉が都市の生活リズムを伝え、静かな時間の流れが感じ取れます。

ぬい
ぬい

人がいなくても“暮らしの音”がするのがいい。

窓は、生活の鼓動を遠回しに見せてくれる装置なんだ。

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

同時期作との連関|丘・公園・河畔へ広がる視点

この春から夏にかけて、ゴッホはモンマルトルの風車、公園(サン=ピエール広場)、セーヌ河畔などを連作的に描きました。
《テオのアパルトマンからの眺め》は最も私的な視点から始まるパリの風景で、のちに屋外へ出ていく実験の“起点”として読むことができます。
室内→屋根越し→丘と河畔へ、という視点の拡張が、この数カ月で一気に進みました。

ぬい
ぬい

家の窓から始まって、街の外へ歩を伸ばす感じだ。

そう、視点の半径が日に日に広がっていくんだよ。

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

おすすめ書籍

「ゴッホについて本で学びたいけど、どんな本が自分に合っているのかわからない」そんなお悩みを持つあなたへ贈る、ゴッホ入門編の本をご紹介します!Top5は別記事で紹介しています。

【関連記事】

ゴッホの本ランキング!初心者におすすめのわかりやすい5選!

まとめ|明るい粒でつかむ、パリの呼吸

《テオのアパルトマンからの眺め》は、点描的な明るいタッチで、モンマルトルの屋根と空気を軽やかに写し取った作品です。
右の切り込み、段々の屋根、粒立つ空——すべてが都市の呼吸を運び、パリ期の転回をはっきり示しています。
この窓から始まった“光の語法”は、同年の公園や河畔、翌年の南仏へと確かな道をつないでいきます。

ぬい
ぬい

静かな画面だけど、街がちゃんと息してるね。

だよね。粒の一つひとつが、パリの鼓動なんだ。

レゴッホ
レゴッホ

【関連記事】
ゴッホのパリ時代の作品まとめ!浮世絵への憧れと色彩の変化に迫る
【ゴッホの人生ガイド】エッテン・ハーグ・ドレンテを経てヌエネンへ
【ゴッホの人生】パリ時代完全解説!印象派との出会いと色彩革命
ゴッホのオーヴェル時代を完全解説!最期の70日と死の真相に迫る
ゴッホの人生を年表で徹底解説!作品と出来事からたどる波乱の生涯

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました