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ゴッホ《ゴーギャンの肘掛け椅子》を解説!人物不在の肖像に宿る二人の緊張

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ポスト印象派
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1888年の秋、アルルの《黄色い家》で共同生活を始めたフィンセント・ファン・ゴッホとポール・ゴーギャン。
そのただ中の11月に描かれた《ゴーギャンの肘掛け椅子》は、主のいない椅子、燃えるロウソク、数冊の本だけで画面を満たします。
人物が不在であるにもかかわらず、椅子は強烈に“誰か”を語り、二人の画家の違いと、その後に訪れる決定的な別れの予感までをも封じ込めています。

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ぬい
ぬい

人物不在なのに緊張が宿っている??

記事を見ればわかる。

レゴッホ
レゴッホ
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《ゴーギャンの肘掛け椅子》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

作品名:ゴーギャンの肘掛け椅子(Gauguin’s Armchair)

制作年/場所:1888年11月、フランス・アルル(《黄色い家》)

技法:油彩/カンヴァス

モチーフ:肘掛け椅子、点るロウソク、書物

所蔵:ファン・ゴッホ美術館(アムステルダム)

ぬい
ぬい

タイトルからしてゴーギャン本人は出てこないのがおもしろいね

でも椅子がしゃべってるみたいだろ?それが“人物不在の肖像”ってやつさ

レゴッホ
レゴッホ
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アルル到着と《南仏のアトリエ》という夢

1888年10月末、ゴーギャンはアルルに到着し、ゴッホは夢見ていた芸術家共同体《南仏のアトリエ》をスタートさせます。二人の共同生活は約二か月続き、最初期の熱気が冷めやらぬ11月に本作が描かれました。
同時期の証言を踏まえると、ゴッホは“そこに座るべき人物を暗示する椅子”を、友人の肖像として構想しています。書物とロウソクという組み合わせは、夜の制作や思索に耽るゴーギャン像を連想させ、対話の続きがまだ部屋に残っているかのようです。

ぬい
ぬい

二人の新生活の期待感、画面から伝わるよ

そう、でもこの温度は長く続かなかったんだ…

レゴッホ
レゴッホ
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人物不在の肖像――椅子が示す“性格描写”

ゴッホは同じ時期に《ゴッホの椅子》も制作します。素朴な籐椅子にパイプとタバコ袋――昼の労働者のような自画像的静物に対し、《ゴーギャンの肘掛け椅子》は曲線的で重厚な椅子に、夜を照らすロウソクと本。
当時の書簡では、これらを“互いの性格を象徴的に描き分けた対作品”として扱うニュアンスが読み取れます。のちにゴッホは弟テオに、この椅子を“空っぽの椅子”と呼び、相手の不在を悼む心情をにじませました。事実関係として、作品はゴーギャン在住中の11月に描かれており、別れの影が落ちる直前の時間を封止しています。

ぬい
ぬい

椅子だけで性格を描くなんて、やっぱ天才…

物が人を語る。だからこそ静物が“肖像”になれるんだ

レゴッホ
レゴッホ
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ロウソクと本――知性と夜の気配

座面に置かれた数冊の書物と、ゆらめく炎。人工光に照らされた緑の壁と赤褐色の床は、昼のプロヴァンスとは違う、夜の室内を示します。
厚みのあるアウトラインで形を囲い、面を分ける塗りは、ゴーギャンが重視した“記憶に基づく単純化”への応答のようにも見えます。ゴッホはゴーギャンの刺激を受けつつも、対象への共感と即興的な筆致を失わず、彼独自の緊張と温度を画面に残しました。

ぬい
ぬい

炎が小さいのに、画面はすごく明るいね

心の明るさと不安が同居してるから、余韻が強いんだ

レゴッホ
レゴッホ
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ペンダント作品《ゴッホの椅子》との関係

《ゴーギャンの肘掛け椅子》は単独でも完結しますが、対になる《ゴッホの椅子》(同1888年末ごろ)と並べると、昼と夜、素朴と洗練、労働と思索といった対比が際立ちます。どちらも“目の前の人物”ではなく“生き方の輪郭”を描こうとした点で、アルル期の肖像観の核心に位置する一対です。

ぬい
ぬい

二脚が並ぶと、会話してるみたい

そう。二人の友情も対立も、あの距離感の中にあるんだ

レゴッホ
レゴッホ
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色彩と筆触――アルル色の緑と赤が鳴る

背景の緑、床の赤、椅子の黄と紫が作る補色関係は、南仏で開いたゴッホの色彩感覚を証言します。短く刻むストロークで床を敷き詰め、椅子の木口は厚塗りで縁取り、視線を座面のロウソクへ導く。単純なモチーフながら、構図・色・タッチの三点で緻密に制御された一作です。

ぬい
ぬい

モチーフは静かでも、音楽みたいに鳴ってる

画面の“音量”を決めるのも、画家の仕事なんだよ

レゴッホ
レゴッホ
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まとめ――友情の肖像としての《椅子》

本作は、友の到着を喜び、同時に別れの影を内に孕む“友情の肖像”です。人物を描かずに人物を語り、生活の光景を記号化して残す――アルル期のゴッホが到達した、新しい肖像画のかたちがここにあります。

ぬい
ぬい

モチーフは静かでも、音楽みたいに鳴ってる

画面の“音量”を決めるのも、画家の仕事なんだよ

レゴッホ
レゴッホ

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