夜空に輝く「アンドロメダ座」。その名前は、ギリシャ神話に登場するエチオピア王女アンドロメダに由来しています。
彼女は、母カシオペアの傲慢な発言によって神々の怒りを買い、海の怪物の生贄として岩に繋がれました――
そんな絶望の中で現れたのが、英雄ペルセウス。彼は見事アンドロメダを救出し、ふたりは結ばれます。
この感動的な神話は、やがて星座として天に刻まれました。
この記事では、アンドロメダ座の神話的背景から、星座としての特徴、見られる時期や場所、
さらには美術作品に描かれたアンドロメダ像まで、幅広くわかりやすく解説していきます。
星空を見上げたとき、そこに込められた“物語”がきっと鮮やかによみがえるはずです。
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アンドロメダ座とは何か?

アンドロメダ座(Andromeda)は、北天に位置する秋の代表的な星座です。日本ではおおむね9月中旬〜12月中旬ごろにかけて、東から南の空にかけてよく見えるようになります。特に10月から11月にかけては観察のベストシーズン。明るい星を数個含む細長い形をしており、肉眼でも比較的見つけやすいのが特徴です。
星座としてのアンドロメダは、ギリシャ神話の王女アンドロメダの姿をかたどっており、「両腕を鎖で縛られて岩に繋がれた女性」というイメージで描かれることが多いです。
また、アンドロメダ座は隣接する星座との関係性が深いのもポイント。
すぐそばには、アンドロメダの母である「カシオペヤ座」、父ケフェウスの「ケフェウス座」、
そして彼女を救った英雄ペルセウスの「ペルセウス座」や、助けに駆けつけるために乗った「ペガサス座」などが並びます。
それらの星座を順にたどることで、夜空にギリシャ神話の一場面を再現することができるのです。

星座って、ただ光ってるだけじゃなくて、ちゃんとストーリーが繋がってるんだね。アンドロメダのまわりをぐるっと見渡すと、ペルセウスたちが集まってるのがちょっと感動的かも!
なぜアンドロメダは星座になったのか?
アンドロメダが星座として夜空に輝くようになったのは、ギリシャ神話の悲劇と英雄譚に深く関係しています。
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彼女はエチオピアの王女であり、母カシオペアと父ケフェウスのもとに生まれました。
しかし、カシオペアが「自分の美しさは海の精ネレイデスたちよりも上」と誇ったことで、
海神ポセイドンの怒りを買ってしまいます。
罰として、ポセイドンは海の怪物「ケートス(くじら座)」を王国に送り込みました。
国を救うには、アンドロメダを生贄として怪物に差し出すしかない――
その決定により、アンドロメダは海岸の岩に鎖で繋がれ、恐怖に震えることになります。

そこに現れたのが、怪物メドゥーサを討伐したばかりの英雄ペルセウス。
空飛ぶ馬ペガサスに乗って現れた彼は、怪物ケートスを倒し、アンドロメダを救出します。
その後ふたりは結婚し、幸せな人生を送ったとされます。
そしてこの美しくも劇的な神話は、アンドロメダをはじめ、ペルセウス、カシオペア、ケフェウス、ペガサス、くじらといった登場人物すべてが星座となって天に上げられることで、夜空に永遠に刻まれることとなったのです。
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生贄にされちゃったアンドロメダ、かわいそうすぎるけど、ちゃんと助かってほんとによかったよね……。星座ってただの星の形じゃなくて、すごいドラマが詰まってるんだなあ!
アンドロメダ座はいつどこで見られる?

アンドロメダ座は、秋から冬にかけての夜空で最も美しく輝く星座のひとつです。
日本では主に9月下旬から12月ごろにかけて見やすくなり、10月〜11月が観測のベストシーズンとされています。
観測時間帯は、秋の宵の時間帯(夜8〜10時頃)がおすすめ。
北東から南の空に向かって、V字のように連なる星をたどっていくと見つけやすいです。
特に明るい恒星「アルフェラッツ(アンドロメダα星)」を見つけると、その周囲を形作る星たちからアンドロメダ座の全体像がわかります。
また、アンドロメダ座は都市部でも比較的見つけやすい星座とされますが、やはり満天の星空が見える場所に行けば、さらに美しく輝く姿を楽しむことができます。
おすすめは郊外の高地や海辺など、空気が澄んでいて光害が少ないスポットです。
そして忘れてはならないのが、肉眼でも見える「アンドロメダ銀河」の存在。
この銀河はアンドロメダ座の中にあり、晴れていて月明かりのない夜には、もやっとしたぼんやり光る雲のような姿を見ることができます。

銀河が肉眼で見えるってちょっとロマンありすぎじゃない?
暗いところで星を探すの、なんだか冒険っぽくて楽しいかも!
アンドロメダ座にまつわる天文学トピック
アンドロメダ座は、星座としての神話的な背景だけでなく、天文学的にも非常に興味深い対象です。
中でも最も有名なのが、「アンドロメダ銀河(M31)」です。

アンドロメダ銀河は、地球から約250万光年の距離にある銀河で、私たちが属する天の川銀河と同じく、巨大な渦巻銀河のひとつ。
夜空で肉眼でも観測できる、地球から最も近い銀河として知られています。
晴れた夜に空を見上げると、アンドロメダ座の中にぼんやりと光る雲のような姿が見えることがあります。
それがまさに、M31アンドロメダ銀河。双眼鏡や小型望遠鏡を使えば、よりはっきりとその姿を確認できます。
この銀河は、1000億個以上の恒星を含む超巨大な構造体で、現在も天の川銀河に向かって接近中。
将来的には40〜50億年後に両者が衝突・合体すると考えられており、宇宙のスケールの大きさを感じさせてくれる存在です。
また、アンドロメダ座にはいくつかの明るい星も含まれています。
たとえば「アルフェラッツ(α星)」はペガサス座と共有される明るい恒星で、星座探しの目印になります。
このほか、「ミラク(β星)」「ムサラフ(μ星)」などが知られています。

アンドロメダ銀河って、1000億個以上の星があるんだって!
しかも地球から肉眼で見えるなんて……宇宙って、ほんとすごすぎるよね!
美術作品に見るアンドロメダの姿
アンドロメダの神話は、その劇的な物語と象徴性から、多くの画家たちのインスピレーションの源となってきました。
中でも、アンドロメダが岩に鎖で繋がれ、ペルセウスが空から現れて彼女を救う場面は、美術史でも人気の主題です。
とくに有名なのは、バロック時代の巨匠ルーベンスによる《アンドロメダを解放するペルセウス》です。

この作品では、筋骨隆々のペルセウスと、官能的なポーズで描かれたアンドロメダが印象的に配置されています。画面には天馬ペガサスや怪物ケートスも描かれ、神話の緊張感とドラマが凝縮された構図となっています。
また、19世紀の象徴主義の画家ギュスターヴ・モローも、幻想的で神秘的なスタイルでこのテーマを描きました。

彼の《ペルセウスとアンドロメダ》では、夢の中のような神秘的な光と色彩が漂い、アンドロメダがより内面的で精神的な存在として表現されています。
このようにアンドロメダは、単なる「美しい女性」ではなく、
危機に瀕した存在・助けを待つ象徴・犠牲と希望のアイコンとして、時代ごとに異なる解釈で描かれてきたのです。

同じ神話でも、ルーベンスは筋肉と迫力!モローは幻想と詩的な雰囲気!って感じで全然ちがうね。アンドロメダの絵、集めたくなってきた〜!
まとめ|星空に刻まれたアンドロメダの物語
アンドロメダ座は、ただの星の並びではなく、ギリシャ神話の壮大なストーリーが夜空に刻まれた存在です。
美しい王女として生まれながら、神々の怒りにより生贄として捧げられ、英雄ペルセウスによって救われる――
そのドラマチックな展開は、星座・神話・美術を通して今も私たちに語りかけてきます。
秋の夜空を見上げるとき、
「なぜこの星たちは並んでいるのか?」と考えてみてください。
その背後には、愛と犠牲、勇気と希望の物語が隠れているかもしれません。
アンドロメダの神話を通して、ただの星が「語りかけてくる物語」へと変わる――
そんな体験こそが、星座の魅力なのです。

星空って、ほんとに壮大な絵本みたいだね。アンドロメダの物語、悲しいけどちゃんとハッピーエンドでよかった!今度空を見るとき、きっと探しちゃうな〜!
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