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アルチンボルド《四季》を徹底解説!どこでみれる?ルーブル美術館?

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ジュゼッペ・アルチンボルドの《四季》は、春・夏・秋・冬を人間の横顔として描いた連作です。
花や果物、野菜、木の幹など、その季節にゆかりのあるモチーフだけで顔と体を組み立てるという、当時としても型破りな発想で制作されました。

一見するとユーモラスな「変顔シリーズ」のようですが、実際にはハプスブルク家の皇帝に捧げられた高度な寓意画であり、自然の循環、人生の四段階、さらには帝国の豊かさまでも語る壮大なプロジェクトでした。

ぬい
ぬい

四枚ならんでるのを見ると、ただのネタ絵というより“国家プロジェクト感”あるよね。

だね。笑わせつつ、ちゃんと帝国のPRもやってるのがアルチンボルドのずるいところ。

レゴッホ
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四季(連作)

作品詳細

作品名:四季(連作)

各図のタイトル:春(Spring)、夏(Summer)、秋(Autumn)、冬(Winter)

作者:ジュゼッペ・アルチンボルド

制作年:最初の連作は1563年頃。ルーヴル美術館にある花の額縁付きセットは、1573年頃に制作されたバージョン。

技法:油彩/カンヴァス

サイズ:各図 約76×64cm(ルーヴル・セット)

所蔵:ウィーン美術史美術館、マドリード・サン・フェルナンド王立美術アカデミーなどに散在。四点まとまったセットはパリ・ルーヴル美術館が所蔵。

関連連作:《四大元素》と対になり、春=空気、夏=火、秋=地、冬=水という対応が意図されている

ぬい
ぬい

ルーヴル版が“花の額縁つき完全セット”って聞くと、ますます現物見たくなる。

しかも最近修復されて発色もかなり戻ってるらしいよ。生で見たら絶対やばい。

レゴッホ
レゴッホ

<作者についての詳細はこちら>

ジュゼッペ・アルチンボルドを解説!奇想と教養が詰まった宮廷画家

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制作背景|ハプスブルク宮廷の「ビジュアル戦略」としての《四季》

アルチンボルドはミラノ出身で、1560年代にハプスブルク家の宮廷画家としてウィーンとプラハに迎えられました。皇帝フェルディナント1世、マクシミリアン2世、ルドルフ2世に仕え、肖像画だけでなく、祝祭の仮装行列や舞台装置、宮廷イベントのデザインまで担当していたことがわかっています。

《四季》の最初のセットは1560年代に制作され、マクシミリアン2世に献上されました。後に皇帝はこの連作を非常に気に入り、諸侯への贈り物として複数のバージョンを作らせます。ルーヴルが所蔵する1573年版は、ザクセン選帝侯アウグストに贈るために準備されたと考えられており、四枚とも周囲を花と葉のガーランドで縁取った統一デザインになっています。

これらの絵は、宮廷の宴席や外交の場で披露され、見る者を驚かせ、同時に「皇帝の支配する世界は、季節ごとの実りがこれほど豊かである」と印象づける役割を果たしました。

ぬい
ぬい

外交の手土産が“果物顔の肖像画セット”って、インパクト強すぎる。

だよね。でも一度もらったら絶対忘れないから、ブランディングとしては最強クラス。

レゴッホ
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春|花でできた若者の横顔

アルチンボルド《春》を解説!四季シリーズの幕開けを飾る花だらけの横顔

《春》は、左向きの若い人物像として描かれています。
顔の肌はバラの花びらとつぼみでできており、頬や顎のふくらみまで花だけで表現されています。髪の毛の代わりに、チューリップ、スミレ、マーガレットなど、色も形も異なる花々がびっしりと盛られ、まるで花冠を被った人物のようです。

首には小さな白い花のネックレスがかかり、胸元から下は若々しい緑の葉が茂るジャケットのように構成されています。柔らかな色調と滑らかな輪郭は、人間の「青春期」と春のフレッシュさを重ね合わせた表現と見ることができます。

ぬい
ぬい

細かく見ると花の種類の多さにびびるね。どんだけ観察してるんだろ。

ほんと。植物図鑑レベルの観察力がないと、ここまで描き分けられないよね。

レゴッホ
レゴッホ
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夏|果物と野菜でできた成熟の季節

ジュゼッペ・アルチンボルドの《夏》を解説!果物と野菜でできた横顔

《夏》は右向きの人物像で、顔は桃やナシなどの果物、体は麦わらで編んだ服として描かれます。
頬は熟した桃、鼻はきゅうり、耳はナス、眉は麦の穂。髪の毛の部分にはブドウやさくらんぼ、葉付きの果実がぎっしり詰め込まれ、夏の畑と果樹園をそのまま頭に載せたような印象です。

首元の「麦わらの襟」には、ラテン語の署名と制作年が織り込まれており、画家自身の技と発明をさりげなく誇示しています。シリーズの中では、豊穣が最も高まった段階であり、人間の人生にたとえれば「脂が乗った壮年期」に相当するポジションです。

ぬい
ぬい

夏だけちょっと“ブランドロゴ入り麦わら服”なの、じわじわくる。

アルチンボルド的には“ここまでの発明をしたのは俺だぞ”ってサインなんだろうね。

レゴッホ
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秋|収穫とワインの香りが漂うおじさん像

アルチンボルド《秋》を解説!ブドウや木樽でできた不思議な男性

《秋》には、左向きの中年男性が描かれます。
顔はリンゴやナシで構成され、顎の部分には割れ目から赤い種が見えるザクロが使用されています。耳はキノコ、その下にはイチジクのイヤリング。髪の毛はブドウの房が垂れ下がり、頭にはカボチャが帽子のように乗っています。

人物の胴体は壊れかけた木樽で表され、割れた板の間から果物がのぞいています。ワインの季節である秋と、収穫後の貯蔵というモチーフが、一人の「酔いどれ紳士」のような肖像にまとめられているわけです。

ぬい
ぬい

木樽ボディって発想が天才すぎる。顔見てるだけで赤ワイン飲みたくなる。

うん、秋だけは完全に“飲み仲間にいそうなおじさん”として見ちゃう。

レゴッホ
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冬|枯れ木の老人と柑橘のささやかな彩り

ジュゼッペ・アルチンボルド《冬》を解説!木の幹でできた老人の横顔

《冬》は、一本の木の幹からできた老人の横顔として表現されています。
ひび割れた樹皮がしわだらけの肌に見え、節やこぶがいぼやたるみのように感じられます。鼻は折れ曲がった太い枝、耳は折れ残った枝の切り株。目は木の裂け目の暗がりで、寒さに耐えるような鋭い視線を放っています。

口元には二つのキノコが重ねられ、上下の唇を形作っています。枝や根がひげのように伸び、頭上では葉を落とした枝がもつれ合って、乱れた髪の毛にも見えます。胸元から伸びる小枝にはレモンとオレンジがぶら下がり、冬でも実をつける果物として、寒さの中のわずかな生命力を象徴しています。

ぬい
ぬい

冬だけ色数がぐっと少ないのに、柑橘だけやたら目立つのがいいアクセントだね。

うん、あれがないと本当にただの“枯れ木じいさん”だから、希望のビタミンCなんだと思う。

レゴッホ
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《四大元素》とのペアリングと「人生の四季」という読み方

《四季》とほぼ同時期に制作された連作《四大元素》は、火・水・空気・地という自然哲学上の基本要素を、やはり寄せ集め肖像の形で描いたものです。
当時の資料や研究によると、春=空気、夏=火、秋=地、冬=水という組み合わせで対になることが意図されていました。

作《四元素》を解説!大地・水・火・大気の4枚

アルチンボルド《大地》を解説!無数の動物で形作られた横顔の意味
アルチンボルドの《水》を解説!四元素シリーズや四季との対応関係
アルチンボルドの《火》を解説!炎や武器でできた横顔の意味
アルチンボルド《大気(空気)》をやさしく解説!無数の鳥でできた横顔

この対応関係によって、四枚の季節の肖像は単に農作物のカタログではなく、宇宙の秩序そのものを映し出す図として機能します。皇帝はその秩序を統べる存在であり、自然界のリズムも政治的支配も、同じ枠組みのなかで理解されるという世界観がそこにあります。

また、春=若者、夏=壮年、秋=成熟した中年、冬=老年という「人生の四段階」を読み取る解釈も、近年よく紹介されています。
春の瑞々しさ、夏の勢い、秋の重み、冬の渋さという性格は、人の性格や気質とも重ねられ、鑑賞者自身の人生を思い返させる仕掛けにもなっています。

ぬい
ぬい

自分は今どの季節かなって、つい考えちゃうね。

たぶん“初夏”くらいでいたいけど、現実はもう“秋入りかけ”な気がしてちょっと切ない。

レゴッホ
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20世紀以降の再評価と、現代アートへの影響

アルチンボルドは死後しばらくのあいだ、真面目な美術史の中では「風変わりな画家」としてしか扱われませんでした。
しかし20世紀に入ると、シュールレアリストたちが彼の作品を発掘し、「無意識のイメージ」や「コラージュ的発想」の先駆者として高く評価するようになります。

現在では、《四季》は美術館グッズや現代作家のオマージュ作品のモチーフとして頻繁に引用され、巨大立体に変換されたインスタレーションも各地で制作されています。
2024年にはルーヴル美術館の四枚組に大規模な修復が行われ、色彩とディテールが大きく改善されたこともニュースになりました。

奇抜なビジュアルでありながら、自然科学・宮廷文化・政治宣伝・哲学まで巻き込む複層的な作品であることが再認識され、《四季》は今やルネサンス後期を代表する連作のひとつとして教科書にも登場する存在になっています。

ぬい
ぬい

500年たっても、現代アートと普通に肩を並べてるのすごい。

“映えるけど意味も深い”っていう、今いちばん求められてる条件をガチガチに満たしてるよね。

レゴッホ
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おすすめ書籍

このサイトの参考にもさせて頂いている本を紹介します。


まとめ|《四季》は自然・人生・政治を一度に語る「奇想の教科書」

アルチンボルドの《四季》は、

花でできた若者としての春
果物と野菜で満ちた夏
収穫とワインの秋
枯れ木の老人としての冬

という四つの肖像を通して、自然の循環と人生の四段階、そしてハプスブルク帝国の豊かさと秩序を一枚のシリーズに詰め込んだ作品です。

どの季節も、遠目には一人の人間に見え、近づくほど膨大な植物・果物・木のパーツに分解されていく構造になっており、見る距離によって印象が変わる「だまし絵」としても楽しめます。
しかし、その裏側には緻密な政治的メッセージと哲学的な象徴体系が隠れていて、ユーモアと知性が絶妙なバランスで共存しています。

もし実物を見る機会があれば、ぜひ四枚セットで、春から冬へと順番に視線を移しながら鑑賞してみてください。
自然の季節と人間の時間がゆっくりと進んでいく感覚とともに、16世紀の宮廷が大切にした世界観が、少しずつ立ち上がってくるはずです。

ぬい
ぬい

四枚通して眺めると、自分の一年と人生まとめて振り返らされた気分になるね。

うん。しかもそれを“果物と木の顔”でやってくるあたり、本当にずっと色褪せない名作だと思う。

レゴッホ
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