絵画を見ていて、「なんだかドラマチック…」「光と影がすごく印象的」と感じたことはありませんか?
それ、もしかすると**キアロスクーロ(明暗法)**の効果かもしれません。
キアロスクーロとは、光と影の対比を活かして、人物の立体感や感情、物語性を際立たせる表現技法。
レオナルド・ダ・ヴィンチやカラヴァッジョ、そしてレンブラントなど、多くの巨匠がこの手法を駆使して名作を生み出してきました。
この記事では、キアロスクーロの意味・由来・代表作・レンブラントによる活用例までをわかりやすく解説します。
光と影の力を知ることで、絵画の見方がきっと変わります!

“暗い”だけじゃない、“光を信じてる影”って感じがして…
なんか好きなんだよね、キアロスクーロ!
キアロスクーロとは?
キアロスクーロ(chiaroscuro)とは、イタリア語で「明るい(chiaro)」と「暗い(oscuro)」を意味する言葉で、
絵画や版画などで光と影の対比を強調する技法のことを指します。
この技法は、ルネサンス後期からバロック時代にかけて発展し、
物体の立体感、空間の奥行き、そして感情的なドラマを描き出すために多くの画家が用いました。
・立体感の強調:明暗のコントラストで形を浮き立たせ、現実感を増す
・注目の誘導:明るい部分に視線が集中し、画面の焦点を明確にする
・感情表現:暗闇や陰影を活かし、人物の心理や緊張感を演出する
・神秘性・宗教性の強調:神の光・超自然の象徴としての“光”を使う表現も

絵の中の“光”って、見せたいものだけじゃなくて、感じてほしい“気持ち”も照らしてるのかもね…!
有名なキアロスクーロの使用例
キアロスクーロを使った作品を簡単に紹介します!
もっと知りたい方は上記リンクをクリック!
カラヴァッジョ(Michelangelo Merisi da Caravaggio)
キアロスクーロをドラマの道具として極限まで押し上げたバロックの巨匠です。

代表作は『キリストの埋葬』や『ホロフェルネスの首を斬るユディト』などがあります。
背景を完全に暗闇に沈め、人物だけを強い光で浮かび上がらせる手法で知られています。



『キリストの埋葬』は大阪万博に来ていたよね!
レンブラント・ファン・レイン(Rembrandt van Rijn)
レンブラントはキアロスクーロを通じて人物の内面や精神性を表現しました。
レンブラントの代表作:『夜警』『イサクの犠牲』『ベルシャザルの饗宴』などがあります。
単に劇的な光ではなく、柔らかく自然な陰影によって深い人間ドラマを演出しています。




キアロスクーロはレンブラントのイメージある!
レオナルド・ダ・ヴィンチ

初期のキアロスクーロ技法の発展に貢献したルネサンス期の巨匠です。
光源を統一し、徐々にトーンが変化するスフマート(ぼかし技法)と併用しました。
代表作は『岩窟の聖母』や『モナ・リザ』が挙げられます。



レオナルドが考案したんだっけ?
キアロスクーロとバロック美術の関係
キアロスクーロは特にバロック時代(17世紀)に大きく発展しました。
バロック美術は「感情」「動き」「ドラマ」を重視するため、
光と影の演出で緊張感や宗教的崇高さを表現することが求められたのです。
そのため、カラヴァッジョやレンブラントのような画家が、
“闇の中に浮かび上がる人物”を描き、見る者の感情を深く揺さぶる表現を追求しました。

バロック美術大好き
現代アート・写真・映画への影響
キアロスクーロは、古典絵画だけでなく写真・映画・ゲーム・アニメーションなど現代の視覚文化にも多大な影響を与えています。
例えばポートレート写真やCGレンダリングでも、陰影を操作することで心理的な深みを表現するのが一般的です。
また、映画『ゴッドファーザー』や『ブレードランナー』などは典型的なキアロスクーロ的照明の作品です。
まとめ|“光と影”は、画家の言葉だった
キアロスクーロは、単なるテクニックではなく、画家の思いや構成を“光と影で語る”ための言語です。
ドラマチックな瞬間、静けさの中の緊張、見えないものの存在――
それらを描き出すために、光と影は今も昔も変わらず、重要な役割を果たしています。

光があるから影ができるし、影があるから光がまぶしく見えるんだよね…
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