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ゴッホ《ジャガイモの植え付けをする人々》を解説!農家のリアルを描く

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フィンセント・ファン・ゴッホがニューネン時代に描いた横長の名品《ジャガイモの植え付けをする人々》。
素朴な畑に七人の働き手が横一列に並び、土を割り、種いもを落とし、土をかぶせる——春の仕事が連なって見える構図です。
本記事では、制作背景・画面構成・色彩と季節感・同時期作品との関係・来歴を、解説します。

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ぬい
ぬい

農民を描いているってことはヌエネン時代の作品だ

その通り!

レゴッホ
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《ジャガイモの植え付けをする人々》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

作品名:ジャガイモの植え付けをする人々

作者:フィンセント・ファン・ゴッホ

制作年:1884年8–9月(ニューネン)

技法:油彩/カンヴァス

サイズ:66.4 × 149.6 cm

所蔵:クレラー=ミュラー美術館(オッテルロー)

備考:アントーン・ヘルマンス邸の食堂装飾のための「農民生活」六場面の一つ(春を象徴)

ぬい
ぬい

横に長い作品だね。

おお!目の付け所が良いね

レゴッホ
レゴッホ
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ニューネン期と「農民画」への意思表示

1883〜1885年にゴッホはオランダのニューネンで農民や機織りの労働を集中的に描きました。のちの代表作《ジャガイモを食べる人々》(1885)へとつながる、この「農民画」の方向性が固まる時期です。

《ジャガイモの植え付けをする人々》は、地元の元金細工師アントーン・ヘルマンスが自宅食堂を飾るために依頼した連作の一場面で、季節を象徴する六作品のうち「春」にあたります。残りには「鋤(牛耕)」「麦の収穫」「種まく人」「嵐の羊飼い」「薪拾い(雪景)」が含まれていました。

【ゴッホの人生ガイド】エッテン・ハーグ・ドレンテを経てヌエネンへ

ぬい
ぬい

ゴッホ、春から始めるってのがいいよね。

うん、働く季節のサイクルを一枚ずつ並べる発想、今で言う壁面インスタレーション的だよな。

レゴッホ
レゴッホ
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横長パノラマが生む「仕事の連続」

画面はきわめて横長。前景に七人が等間隔で並び、鍬を振る、種いもを落とす、踏み固める……と、植え付けの工程が左から右へと流れるように展開します。視線の移動が作業のリズムと重なり、畑全体が一つの動きの場として見えてきます。

もともと人物は二人だけの構想でしたが、依頼者の意向で人数が増え、最終的に七人が配置されたと伝わっています。ゴッホ自身も群像をひとまとまりに描くことに苦心していたようです。

ぬい
ぬい

人数が増えたぶん、動きの段取りが見えるね。

そう。コマ送りみたいな時間の流れ、横長キャンバスで体感させてる。

レゴッホ
レゴッホ
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色と空気:土色と鈍い空が告げる「春」

色調は暗い土色と灰緑を基調にまとめられ、空は低くたれ込める雲。人々の衣服や肌の色にかすかな温かみが差すだけで、全体にはひたすら質実なトーンが支配します。

この絵が象徴するのは「春」。ただし花咲く春ではなく、芽吹きの前の土と汗の季節です。のちのアルルやサン=レミの鮮烈な色彩とは異なり、オランダ時代ならではの重厚な色が画面を占めています。

ぬい
ぬい

春って聞くと明るい色を想像するけど、ここは土の匂いの春だ。

芽が出る前の季節を描くと、働く手に自然とフォーカスが寄るんだよね。

レゴッホ
レゴッホ
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《ジャガイモを食べる人々》への前章として

ニューネン期の集大成のひとつが《ジャガイモを食べる人々》(1885)。ゴッホ自身が誇りを持ち、難しい群像構図に挑んだ大作です。

《ジャガイモの植え付けをする人々》は、その直前段階で「大地で働く手」を主題に据えた試みでした。外で植える場面と、室内で食べる場面——ジャガイモをめぐる二つの場面は、労働と生活の循環を象徴的に結びつけています。

ぬい
ぬい

外で植えて、中で食べる。連作の外と内って感じだな。

そうそう。生産から食卓まで、生活の循環を画面でつないでる。

レゴッホ
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依頼と来歴:壁画計画と現在の所蔵

ヘルマンス邸では、ゴッホの作品を下絵に壁画的な装飾が施される計画でした。彼の死後、その室内装飾は失われましたが、ゴッホのオリジナルは残され、現在はオッテルローのクレラー=ミュラー美術館に所蔵されています。

ぬい
ぬい

元依頼主の家の“壁バージョン”は消えちゃったのか。

でも本画は美術館にある。いまはオッテルローで会えるってことだね。

レゴッホ
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おすすめ書籍

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まとめ:労働の時間を横一列に編む

横長の画面、工程の連続、土の色調。派手さを避けながら、春の畑に流れる時間と労働の尊厳を、静かで力強い絵に仕上げたのが《ジャガイモの植え付けをする人々》です。
ニューネンでの集中的な試みの成果は、その後の代表作へ自然につながっていきました。農民の暮らしを描き出す真摯なまなざしが、この絵の核にあります。

ぬい
ぬい

元依頼主の家の“壁バージョン”は消えちゃったのか。

でも本画は美術館にある。いまはオッテルローで会えるってことだね。

レゴッホ
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