夜空に輝く「ペルセウス座」は、ギリシャ神話の英雄ペルセウスの姿が星々に刻まれた星座です。
美しいアンドロメダを救い、メドゥーサを討伐した伝説の英雄は、神々の恩寵によって天に上げられ、星として語り継がれることになりました。
この記事では、ペルセウス座の由来となった神話のストーリーはもちろん、星座としての特徴、見える時期、そして毎年話題になるペルセウス座流星群の観察方法まで、わかりやすく解説します。
星に込められた神話のロマンと、現代でも楽しめる天体観測のポイントを一緒にのぞいてみましょう。
【ペルセウス神話の全体の完全解説記事】
・ペルセウス完全解説|ギリシャ神話の英雄譚その伝説のあらすじ決定版!
ペルセウス座とは何か?

ペルセウス座(Perseus)は、北天に位置する中型の星座で、秋から冬にかけてよく見える星座のひとつです。
天の川に沿って輝くこの星座は、古代から親しまれており、ギリシャ神話の英雄ペルセウスがモデルになっています。
位置と見つけ方
ペルセウス座は、カシオペア座のすぐ近く、アンドロメダ座とぎょしゃ座の間に位置しています。
W型で有名なカシオペア座を見つけると、その近くにV字に並んだ星が見えてきます。これがペルセウス座の特徴的な形です。
季節と観測しやすい時期
ペルセウス座が最も見やすくなるのは11月〜2月の夜です。
日本では秋の終わりから冬にかけて東の空から昇り、深夜には天頂付近まで上がってきます。
また、8月には「ペルセウス座流星群」が話題になるため、一年を通して注目される星座でもあります。
星座の大きさと主な恒星
ペルセウス座は全天88星座の中で24番目の大きさ。
その中でも特に知られているのが「アルゴル(Algol)」という恒星で、「悪魔の星」とも呼ばれています。この星は肉眼でも明るさの変化がわかる食変光星で、古代から不吉な存在として語られてきました。

星座ってどれも同じに見えるけど、こうして見るとペルセウス座は意外と目立つんだね。カシオペア座の近くってのもポイント高い!
ペルセウス座とギリシャ神話の関係

ペルセウス座に描かれている人物は、ギリシャ神話に登場する英雄ペルセウス。
神々から与えられた武具を駆使し、魔物メドゥーサを討ち取り、美しいアンドロメダを救ったことで知られる伝説の存在です。
この物語のクライマックス後、ペルセウスと関わった人々は、神々の手によって天に上げられ、星座となったと語られています。
星座になった神話の登場人物たち
実は、ペルセウス座の周辺には、彼の冒険に関わったキャラクターたちの星座が集まっています:
- アンドロメダ座:助け出された王女
- カシオペア座:アンドロメダの母で、美貌を誇った王妃
- ケフェウス座:アンドロメダの父でエチオピアの王
- くじら座(セトゥス座):アンドロメダを襲った海の怪物
- ペガスス座:メドゥーサの首を切った際に生まれた神聖な馬
このように、ペルセウス座を中心とした星座群は、神話の一場面がそのまま夜空に描かれた「天空の物語」なのです。
神々の恩寵と星座化
ペルセウスは、ゼウスの子でありながらも人間として生き、多くの試練を乗り越えて神々に讃えられました。
その功績により、死後に星座として不滅の存在となったとされ、英雄が天に昇る「アポテオシス(神格化)」の典型例ともいえます。
【関連記事】
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空に浮かぶ星が、まるごとひとつの物語になってるって、すごくロマンあるよね。
星を見るたびに、神話のワンシーンを思い出せそう!
ペルセウス座流星群とは?
ペルセウス座といえば、毎年夏に話題になる「ペルセウス座流星群」が有名です。
この流星群は、毎年8月中旬ごろにピークを迎える天文イベントで、条件が良ければ1時間に50個以上の流星が観測されることもあります。
どこから来る流星群?
ペルセウス座流星群の元になるのは、スウィフト・タットル彗星(109P/Swift-Tuttle)。
この彗星が宇宙空間に残した塵の帯(ダストトレイル)に地球が突入することで、流れ星として観測されます。
流星自体はペルセウス座の方向から飛び出してくるように見えるため、「ペルセウス座流星群」と呼ばれています。
観測のベストタイミングと場所
- 見頃の時期: 毎年8月12日〜13日頃(年によって若干変動)
- 時間帯: 深夜〜明け方(放射点が高くなる時間)
- 方角: 北東の空を中心に、広範囲を観察
月明かりが少ない年は特に好条件で、肉眼でもハッキリ見える明るい流星が多いのも特徴です。
観察のコツ
- 街灯の少ない暗い場所へ行こう
- 視界を広く保ち、寝転ぶように観察するのがおすすめ
- 双眼鏡は不要、肉眼でOK
- 夏の夜は虫よけ&敷物必須!

流星って願い事叶うっていうけど、こんなにいっぱい流れると願い事足りなくなっちゃいそうだよね。夜空でペルセウスがまた冒険してるみたい!
ペルセウス座に関する豆知識
ペルセウス座は、ただの神話ベースの星座ではありません。
古代から現代まで、人々の想像力をかき立ててきた不思議な話や天文学的な発見が詰まっています。
怪談の元ネタ?「アルゴル(Algol)=悪魔の星」

ペルセウス座で最も有名な恒星のひとつが、ベータ・ペルセイ(β Persei)、通称「アルゴル」です。
この星は古代アラビア語で「悪魔の頭(ra’s al-ghūl)」と呼ばれ、明るさが周期的に変わることで知られる「食変光星」の代表格です。
この現象は、アルゴルがふたつの星が互いに隠し合う連星系だから。
肉眼でも明るさの違いがわかるため、昔の人々には不気味に見えたようです。
なお、この「悪魔の頭」は、神話の中でペルセウスが持ち帰った“メドゥーサの首”と重ねられて語られることもあります。
【関連記事】
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天文学的にも重要なエリア
ペルセウス座の方向には、銀河団やX線源が数多く存在しています。
とくに有名なのがペルセウス銀河団。これは地球から約2億4千万光年離れた巨大な銀河の集合体で、X線観測やブラックホール研究の対象としても注目されています。
つまりペルセウス座は、「神話的な星座」であると同時に「最先端の宇宙研究の舞台」でもあるのです。
文化・アートにも登場するペルセウス座
星占いやタロットでは登場しませんが、絵画・詩・SF作品の中ではたびたび“夜空の英雄”として登場します。
また、ギリシャ神話由来のモチーフとして、天文教育や児童書などにもよく引用されている星座です。

「悪魔の星」とか銀河団とか、神話の世界と宇宙のリアルがつながってるの、めっちゃワクワクするよね。ペルセウス座って奥が深い!
まとめ|神話と宇宙が交差するペルセウス座
ペルセウス座は、ギリシャ神話に登場する英雄ペルセウスの物語を夜空に刻んだロマンあふれる星座です。
秋から冬にかけて見やすく、毎年8月の流星群でも注目を集めるなど、神話・天文学・文化が交差する存在として、今もなお多くの人を魅了し続けています。
神話に登場するキャラクターたちが空に並ぶ構図や、悪魔の星と呼ばれたアルゴルのような天文学的現象は、
「空を見上げること」自体が、物語や科学の入り口になることを教えてくれます。
この記事でペルセウス座に興味を持った方は、ぜひ実際の夜空を眺めながら、
そこに描かれた古代の英雄譚に想いを馳せてみてください。