フェルメールの『少女』を徹底解説！真珠の耳飾りの少女に似ている？

ヨハネス・フェルメールといえば、静かな室内画や「真珠の耳飾りの少女」で知られていますが、

実はもうひとつ、非常によく似た印象を持つ作品が存在します。
それが『少女（Portrait of a Young Woman）』です。

この作品には、明確な背景も物語もありません。
しかし、正面からこちらを見つめる視線、柔らかな光、静かな佇まい――
どこかで見たことのある構図に、思わず「これは“もうひとりの耳飾りの少女”？」と感じる人も多いはずです。

この記事では、『少女』の構成や魅力、
そして『真珠の耳飾りの少女』との共通点と違いを、初心者にもわかりやすく丁寧に解説していきます。

ぬい

あれ？この子…あの子と“姉妹”なのかな？って気になっちゃうよね！

作品基本情報

作品詳細

タイトル：少女（Portrait of a Young Woman）
制作年：1665〜1667年頃
サイズ：44.5 cm × 40 cm

技法：油彩／キャンバス

所蔵先：メトロポリタン美術館（アメリカ・ニューヨーク）

ぬい

すごくシンプルなのに、目が合うとドキッとする…

簡単に紹介

・フェルメールが若い女性をモデルに、即興的に描いたとされる小さな肖像画。
・柔らかな表情と自然なまなざしが、見る者に親しみを感じさせる。
・「真珠の耳飾りの少女」と同様に、理想化された「トローニー（表情画）」の一例。

『若い女性の肖像』は、ヨハネス・フェルメールが描いた小さな肖像風作品。
背景や物語的な要素を持たず、ただ真正面から静かにこちらを見つめる若い女性の姿が描かれている。

特定のモデルや依頼主に基づいた肖像画ではなく、表情や照明の効果を探るトローニー（表情習作）と見なされている。

正面からの視線

少女のまっすぐな視線は、見る側に「見られている」感覚を強く与える。感情を読み取りにくい静かな表情が、かえって印象を深くする。

極めてシンプルな構成
背景は暗く、衣装も控えめ。装飾は最小限に抑えられており、視線と顔立ちに意識が集中する。

光の表現
左から当たるやわらかな光が額や頬に落ち、肌の質感を自然に浮かび上がらせている。フェルメールの観察力が際立つ部分。

ぬい

なにもないのに、心が動くのって不思議だね…

モデルは不明。残された記録がないため、実在の人物ではなく想像上のモデル、または身近な人物という説がある。

類似作品『真珠の耳飾りの少女』と比べられることも多いが、こちらのほうが演出性は低く、より素朴で瞑想的。

フェルメールの中でもこのようなトローニー形式の作品は数点しかなく、貴重な例とされている。

ぬい

だれか分からないけど、“ちゃんと生きてる”って感じが伝わってくるよ

背景や物語を削ぎ落とした構成
絵の中には小道具もインテリアもなく、ただ人物だけがいる。その静けさがフェルメールらしさを際立たせている。

まなざしと沈黙の強さ
表情を説明せず、まなざしだけで鑑賞者の感情を動かす。これは多くのフェルメール作品に共通する特徴。

静かな中にひそむ深さ
一見平凡な構図の中に、人物の存在感と“観る側の想像”が入り込む余白がある。

ぬい

ずっと見てると、“この人のこともっと知りたい”って気持ちになってくるね

『若い女性の肖像』は、名前も背景も分からない人物を描いた小さな作品だが、
視線の強さと静けさによって、印象的な“存在の力”を感じさせる一枚になっている。

情報が少ないからこそ、絵の前に立つ私たちが、それぞれの感情や問いを持ち帰る余地がある。
シンプルであるがゆえに、心に残るフェルメールの一作として、多くの人に愛され続けている。