こんにちは、美術愛好者の皆さん。
今回は、ボッティチェリの『プリマヴェーラ(春)』を解説していきます。
このサイトのどこか1記事に、ピンク色のぬいがいるよ!
探してみてね!!
鑑賞
下の解説を見る前に皆さんもぬいと一緒に、作品をじっくりと鑑賞してみてください。
隅々まで見てやるぞー!
第一印象は、”色んな人がいて各々好きにやってる”かな。
中央の女性が一番偉い気がするんだよね!
ちょっと孤立しているようにも見えるけど。
そして、他の皆より後ろにいるのにサイズが同じくらいだ!
さては、巨人…???
誘拐ぃぃぃぃぃぃ!!!
悪魔!?なに!?とにかく逃げて!!!!
手前の派手な服着てる人!気づいたげて!!!!
これは、キューピットですな( ´∀` )
お腹の丸み、かわよい。
そこのお三人さんは何をしてるのー?
ダンス?悪魔召喚の儀式??
なんか仲良しグループに入りたいけど入れない子に見えてきた。
独りだけ武装している貴方は貴方で何をしているの???
解説
皆さん、思う存分鑑賞は出来ましたでしょうか?
ここからは、ボッティチェリの『プリマヴェーラ(春)』を解説していきます。
早く知りたい!
教えてーーーー!
『プリマヴェーラ』の概要
『プリマヴェーラ』は、ルネサンス期の巨匠ボッティチェリによって描かれた神秘的で美しい絵画の一つです。
この作品は1482年頃に制作され、現在はフィレンツェのウフィツィ美術館に所蔵されています。
作者 :サンドロ・ボッティチェリ
製作年:1482年頃
種類 :テンペラ
寸法 :203cm × 314 cm (80 in × 124 in)
所蔵 :ウフィツィ美術館
この作品は右から左に鑑賞します。
詳細は下記「季節の移り変わり」にて解説していますが、ゼフュロスとともに春がやってくるところから物語スタートです。
後で解説見るのが楽しみだ!
その前に登場人物について知っておかないとね!
登場人物
『プリマヴェーラ』に描かれている登場人物を紹介します。
ヴィーナス
概要
ヴィーナス(Venus)は、古代ローマ神話における愛と美の女神で、ギリシャ神話ではオリュンポス十二神のひとりアフロディーテ(Aphrodite)に相当します。
軍人アレスや美青年アドニスなどと数多くの恋のエピソードで知られている神です。
美と愛の神♡
美って大切だよね!
アトリビュート
ヴィーナスのアトリビュートにはいくつかの特定の象徴的な要素が含まれています。
例えば、ヴィーナスは海の泡から生まれてホタテ貝に乗り、漂ったと伝えられていることから貝殻や
美と愛の象徴する薔薇、誕生した際に裸身を隠すのに使ったミトルス、美と外見への興味から、ヴィーナスは時折、鏡を持って描かれることがあります。
他にも、白鳥やつがいの鳩もヴィーナスのアトリビュートとして知られていますが、それぞれ由来が神話の話になり記事が進まないので機会があったら別でまとめます。
これらのアトリビュートは、ヴィーナスを祀る神殿や芸術作品において、彼女の神性と美的な要素を象徴的に表現するために使用されています。
『プリマヴェーラ』では、背後のアーチ状になっているミトルス木からヴィーナスであると断定できますね。
聖母マリア様の要素も入れている説もあるけど
それについては、後日追記予定だよ!
本作での役割
中央の一番目に付く位置に描かれており、この作品での重要度の高さを想像できます。
この絵には、地上の愛と神の愛、両方を象徴する存在として、ヴィーナスが描かれています。
ヴィーナスは4月の神でもあります。
4月の神であるというのと、中央に描かれているのはとても重要なポイントでこの絵で大いなる役割を果たしています。詳しくは後述します。
また、下記「季節の移り変わり」で解説しますが、性愛と多産を司るヴィーナスが中央にいると考えられています。
本作のヴィーナスも『ヴィーナスの誕生』と同様にシモネッタがモデルを務めたと言われています。
ゼフュロス
概要
ゼフュロス(Zephyros)は、古代ギリシャの神話において西風の神であり、アネモイ(風の神々)の一員です。
主に西風や穏やかな風を司り、花を運ぶ風としても知られ、春の訪れをもたらす役割があります。
この怖い人、神様なの…
アトリビュート
ゼフュロスのアトリビュートは、通常、彼が持つ西風や穏やかな風が挙げられます。
また、花と自然の女神であるクロリスの旦那でもあります。
『プリマヴェーラ』では、後に妻となるクロリスを誘拐しようとしている点からゼフュロスであると断定できますね♪
「断定できますね♪」じゃないよ!
誘拐だよ!?大事件だよ???
神々の世界では何でもありです。
本作での役割
下記「季節の移り変わり」で詳しく解説しますが『プリマヴェーラ』でもゼフュロスは春を運んでくるという役割を担っています。
また、クロリスを誘拐し結婚することでフローラへ変身させる役割も担っています。
あーそーゆーことね。誘拐して結婚して変身ね。
おけおけ。完全に理解した(意味わからない。)
クロリス
概要
クロリスは古代ギリシャ神話に登場する女神で、花と自然の女神とされています。
彼女は風の神ゼフュロスの妻になります。
ゼフュロスと結婚したことにより、クロリスは花々や美しい自然を生み出す力を手に入れました。
伝説によれば、クロリスがゼフュロスと結ばれることで、春の訪れと共に花々が咲き誇り、自然が豊かになったとされています。
力を得たクロリスは、フローラになります。
アトリビュート
アトリビュートとしては、クロリスが手にする花や花冠が挙げられます。
また、夫であるゼフュロスとともに描かれることも多いです。
これらの花は春の訪れや自然の再生を象徴し、クロリスが豊かな美と生命力をもたらす存在と見なされています。
『プリマヴェーラ』では、花を口にくわえている点とゼフュロスに誘拐されそうになっている点からクロリスであると断定できますね♪
なるほどね。クロリスはさらわれて結婚したらフローラって神様になるのか。
この絵の誘拐されかけてるクロリスの前の女性が止めていたら、
話が変わっていたかもね。
実は、クロリスの前にいる女性こそがフローラなのです。
は?
本作での役割
『プリマヴェーラ』でクロリスはゼフュロスに誘拐されて、フローラに変身するという役割を担っています。
(皆さん、付いて来れてますか?
私はそろそろ寝ようと思います。)
フローラ
概要
フローラは古代ローマの神話に登場する女神で、花や春を象徴する存在です。
彼女は豊穣と生命力を表し、春の訪れとともに植物や花々の成長を促進する女神とされました。
ローマでは春の祭り「フローラリア」が彼女に捧げられ、この期間中に花や植物に関する祭典が催されました。
フローラは美しさと自然の恵みの象徴と見なされ、庭園や農業において彼女への崇敬が行われました。
アトリビュート
フローラのアトリビュートは、花や春、植物などが挙げられます。
これらの要素が彼女の神話や崇拝において重要な役割を果たし、彼女を豊かな自然と生命力の女神として捉える基盤となっています。
『プリマヴェーラ』では、全身に花をまとい、本人が花をまいている点からフローラであると断定できますね♪
本作での役割
『プリマヴェーラ』でフローラは春を到来させる役割を担っています。
花を巻き歩き足元の花を満開にさせています。
因みに、花冠のイチゴは誘惑、持っている薔薇は愛の象徴です
おはよう!!!
クロリスがフローラになることについてもっと知りたいんだけど!!!
別の解説記事執筆中の為、少々お待ちください。
キューピッド
概要
キューピッドはローマ神話の愛と恋愛の神で、ギリシャ神話ではエロース(Eros)と同一視されています。
彼はしばしば幼い翼を持つ美しい少年として描かれ、弓と矢を使って人々に恋愛感情を植え付けるとされています。
キューピッドは、ヴィーナスの息子であり、ヴィーナスの付き人として彼女の愛の使者として機能します。彼の矢に射たれると、恋愛や情熱が生じると信じられています。
キューピッドってヴィーナスの子供だったんだ!
この愛の神キューピッドは、文学、絵画、彫刻など多くの芸術作品に登場し、恋愛や美の象徴として広く知られています。
アトリビュート
キューピッドの主なアトリビュートは、弓と矢です。
通常、キューピッドは幼い美少年の姿で描かれ、翼を持ちながら弓を引いたり、矢を射る姿勢で表現されます。これらのアトリビュートは彼が愛と恋愛の神であり、人々に恋の感情をもたらす役割を象徴しています。
『プリマヴェーラ』では、翼をもった美少年が弓矢を引いている点からキューピッドであると断定できますね♪
本作での役割
『プリマヴェーラ』でキュービット目隠しをした状態で三美神に矢を放とうとしています。
因みに、目隠しすることにより恋の盲目や愛の不確かさを表現しています。
ぬいもキューピッドになって無作為に矢を放ちたい!
やめなさい。(そのうち翼生やすのもいいかもなぁ)
メルクリウス(マーキュリー)
概要
メルクリウス(マーキュリー)はヘルメスはローマ神話に登場する神で、ギリシア神話のヘルメスにあたります。
彼は神の中で最も忙しいと言っても過言ではないほど幅広い役割を果たしています。
簡単に挙げるだけでも使者の神、 商業の神、交易の神、 旅行者の守護神、冒険者の守護神、 盗賊の守護神、商人の守護神、知識の神など多くの役割を挙げる事が出来ます。
詳細は後日、ヘルメス特化の記事で解説予定です。お楽しみに。
いや、働きすぎ!!!!
有能なんだろうな!
アトリビュート
メルクリウスは羽の生えた帽子やサンダルを身につけ、手にはカドケウスを持っている姿で描かれることが一般的です。
また、メルクリウスの祝日は5/15であり、メルクリウスは5月を象徴しているというとらえ方をされる場合もあります。
『プリマヴェーラ』でも、羽の生えたサンダルを履き、カドケウスを持っている点からメルクリウスであると断定できますね♪
カドケウスってなんなのさ?
詳細は後日、ヘルメス特化の記事で解説予定です。お楽しみに。
本作での役割
『プリマヴェーラ』において、メルクリウスは庭の番人の役割を担っています。
カドケウスを持って雲を払っている様子が描かれています。
下記「季節の移り変わり」にて解説しますが、メルクリウスは5月を表す役割も担っています。
三美神
概要
これらの三美神は、ギリシャ文化において美と喜びを称賛し、芸術、自然、人間関係における美的な要素を祝福する役割を果たしていました。 アフロディーテ(=ヴィーナス)の従者としても知られています。
本作での役割
左から愛欲、純潔、愛の女神であるとされています。
左の愛欲と真ん中の純潔は、相反する関係の為、互いにガンをにらみ合い、対立しあっています。
神次元の女の闘い勃発寸前!!!
二人の仲は右の愛の女神が取り持っています。
「愛欲」と「純潔」という正反対な部分を「愛」がまとめてくれているのか。
メディチ家との関係
この絵が誰の依頼によって描かれたのかは、明らかになっていませんが、メディチ家関連の誰かが依頼者であることが一番有力な説となっています。
というのも、『プリマヴェーラ』には様々なメディチ家への忖度を感じられるポイントが見受けられます。
メルクリウスのモデル
本作の左端でカドケウスを持って雲を払っているメリクリウスのモデルは、ロレンツォ・ディ・ピエルフランチェスコ・ディ・メディチ、若しくはその従兄弟のジュリアーノ・デ・メディチであるという説が有力です。
言われてみれば、似ている気がする。
オレンジの木
『プリマヴェーラ』は春を描いている作品なのに背景には沢山のオレンジが描かれているのに皆さんは気づきましたでしょうか?
確かに!
何故、春に夏に実るはずのオレンジが描かれているの?
それは、オレンジをメディチ家の象徴として描いているためだと考えられています。
メディチはメディシンの語源 メディチ家の紋章のオレンジの丸がオレンジに似ているということからオレンジはしばしばメディチ家の象徴として描かれています。
これはもう、注文者メディチ家で確定でいいのでは?
本当の名前
題名の『プリマヴェーラ』というのは、意味は「春」ですが、ボッティチェリが付けたわけではありません。
嘘だ!嘘だそんなこと!!
作者以外が名前を付けるなんてことがあり得るのか!?
絵画ではあるあるなのです。
『プリマヴェーラ』という題名は、芸術家の伝記を書いていたジョルジョ・ヴァザーリが、この作品を見て『ラ・プリマヴェーラ』と呼んだことが由来となっています。
あるあるなんだ!
『プリマヴェーラ』と呼ばれるようになるまでは、ボッティチェリはなんて題名にしていたの?
ボッティチェリはこの作品に名前を付けていませんでした。
ヴァザーリさんのおかげで名前が付いたようなもんなのね~
季節の移り変わり
『プリマヴェーラ』は右から左に鑑賞することで、季節の移り変わりを感じる事が出来ます。
ん?タイトル通り絵全体で「春」を表しているのでは?
詳しく言うと春は春でも、右から春の訪れ(3月頃)、春全盛期(4月)、春の終焉(5月頃)を描いていると言われています。
ずっとこの記事で、後に説明するって言ってたやつか~!
なんとなくわかって来たよ。
春の訪れ(3月頃)
絵画の右側では、春の訪れを告げる西風の神ゼフュロスが、来たことにより春が始まります。
その際、クロリスを誘拐し妻にしたことで彼女はさらなる力を手にして、春の女神フローラとなりました。
春の女神となったフローラは、薔薇の花を大地にまき散らしてまわります。
春全盛期(4月)
画面中央部は春の最盛期を表しています。
4月の神であるヴィーナス(=アフロディーテ)を中心にヴィーナスの従士の三美神、恋の季節でもあり息子のキューピッドも描かれています。
フローラが巻いていたおかげで床も花でいっぱいです。
春の終焉(5月頃)
左端では、メルクリウスの祝日が5月15日にあることから、5月を表す役割も担っているメルクリウスが描かれています。
彼は、初夏に向けて雲を払っています。
なるほど!登場人物紹介で疑問に思ってたパーツがすべて繋がったぞ!
6~来年の2月分の絵を創造するのも楽しいね。
寝室に飾るために作成された?
「メディチ家との関係」で依頼主がメディチ家関係者である可能性が高いと解説いたしました。
ここではどこに飾るために注文された作品なのかを考察していきたいと思います。
結論から言うと、メディチ家の関係者がこの絵は多産と豊穣を約束する絵画として、夫婦の寝室に飾るべく、結婚記念に注文された絵なのではないかという説が有力なのではないかと思います。
ほう。そこまで言うのなら根拠もあるんだろうな?
というのも、ルネサンスの邸宅の中で『ブリマヴェーラ』のような古代をモチーフとした作品を飾る部屋のひとつが寝室、特に夫婦の寝室だったそうです。
特に愛の神ヴィーナスは、豊穣と繁栄を約束する女神のため、当時の夫婦寝室に沢山彼女の絵が飾られていたことに何の疑問もありません。
この時代、結婚にまったく愛がなかったわけではないとはおもいますが、結婚の目的は子供をできるだけ多く作り、家計を継承させることが第一だったとされています。
当時は家の為の政略結婚だらけだったって聞くもんねぇ。。。
そんな現代よりも2人が愛し合っていない状態で、現代よりも子孫を残さなければいけないという周りからのプレッシャーもあり、ルネサンス期当時は性愛と多産を司るヴィーナスの描かれた重宝されたみたいです。
画面中央にヴィーナスが描かれている『プリマヴェーラ』も例外ではなく、メディチ家の繁栄の為に夫婦の寝室に飾る為に注文された絵なのではないかという説には信憑性があると思います。
僕もこの説推す。
サイゼリヤの絵
本作はサイゼリヤの絵としても知られてた方も多いのではないでしょうか?
他のサイゼリヤで鑑賞可能な作品に記事についてまとめてある記事もありますので、興味のある方は是非見てみてください。
おすすめ書籍
この記事の参考にもさせて頂いている本を紹介します。
理由がわかればもっと面白い!西洋絵画の教科書
作品から入りたい人にも知識から入りたい人どちらにもお勧めできる一冊です。
というのも、本書の冒頭で自分に合った西洋絵画の楽しみ方に合うように章を読む順番の例を示してくれているので自分に合った順番で学ぶ事が出来ます。
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文字よりも絵が多い本を望んでいる人にお勧めの一冊です。
というのも、この本は本当に文字に対して絵の割合が非常に多く様々な絵が掲載されています。
しかし、決して文字の情報も少ないわけではなく知りたい情報はすべて乗っていると言っても過言ではありません。著者さんが 淡々と面白いことを言う方のようで、Q&Aの雰囲気が個人的に最高なので、皆さんにもぜひ知ってもらいたいです。
面白すぎてあっという間に読み終えてしまうが、何度でも読めてしまうとてもおすすめの本です。
まとめ
今回は、ボッティチェリの『ブリマヴェーラ』を解説しました。
他の絵画に興味がある方は別の記事もご覧ください。
このサイトのどこか1記事に、ピンク色のぬいがいるよ!
探してみてね!!
それでは、また別の記事でお会いしましょう。
アディオス。
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