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ゴッホ《包帯をしてパイプをくわえた自画像》徹底解説!耳切事件直後の作品

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ポスト印象派
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黒い毛皮帽・分厚い外套・白い包帯、そして口元のパイプ。背景は燃えるような赤。
この自画像は、アルルでの“耳の事件”(1888年12月)直後に描かれた作品群の一枚です。絵の中には、痛みや不安をそのまま晒すのではなく、画家としての意識を立て直そうとする意志が、色と形に置き換えられています。本記事では、制作の状況から構図・色彩の仕組み、他ヴァージョンとの違いを5分で腑に落ちるよう丁寧に解説します。

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ぬい
ぬい

顔は静かだけど、背景の赤が心の温度を教えてくれる。

うん。「生きて描く」を宣言する、緊張のセルフポートレートだね。

レゴッホ
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《包帯をしてパイプをくわえた自画像》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

題名:包帯をしてパイプをくわえた自画像

制作:1889年1月|アルル

技法:油彩/カンヴァス

所蔵個人蔵として知られる(同主題の他ヴァージョンあり)

関連作:ロンドン・コートールド所蔵《包帯をした自画像》(背景に画室と浮世絵)、背景色違いの《包帯+パイプ》など

ぬい
ぬい

同じ主題で数点あるから、「パイプの有無」と「背景色」で見分けよう。

これが“赤背景+パイプ”の一枚って覚えとくと迷わないよ。

レゴッホ
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制作背景|事件後の“再起動”

1888年12月末、ゴッホは耳を傷つけ、アルルの病院に運ばれます。年明けに退院すると、画室へ戻ってすぐに自分の像を描くことを選びました。
自画像は自己宣言です。「私はまだ画家である」という確認を、半身像・正面視・確かな筆触でキャンバスに刻みます。パイプは緊張を鎮める“呼吸”の記号でもあり、画面に小さな水平線を作って表情を安定させています。

ぬい
ぬい

痛みの自慢じゃなくて「仕事に戻る」の宣言なんだね。

そう。絵が日記であり、処方箋でもある。

レゴッホ
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構図の読みどころ|三つの“フレーム”で顔を支える

  1. 外套のV字が顔をすくい上げ、首元の不安を隠す。
  2. 黒い帽子が上辺を太く締め、表情を中央へ集中させる。
  3. パイプの水平線が口元を安定させ、右へ抜ける煙のリズムが画面に呼吸を生む。
    正面視に近い構えですが、肩はわずかに斜め。静けさと動きのバランスが、視線の滞りを防ぎます。
ぬい
ぬい

帽子=上枠、外套=下枠、パイプ=支え棒。舞台装置みたい。

顔を“守るフレーム”を自分で用意してるわけだ。

レゴッホ
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色彩の仕組み|赤い壁×黄の肌×黒の帽子

  • 背景の赤:体温・痛み・焦燥のメタファー。顔色(黄〜オーカー)を補う暖色で、表情を前に押し出します。
  • 肌の黄〜オーカー:大きな面は薄塗りで、頬骨や鼻梁に筆触の方向を意識したストローク。
  • 黒の帽子・外套:重い色で上辺と下辺を固定。包帯の白がこの暗部に挟まれてよく響く
  • 煙のグレー:赤の中でもっとも柔らかな色。休符として機能して、画面が息苦しくなるのを防ぎます。
ぬい
ぬい

赤の圧を煙が抜いてくれる。

“休符色”の置き方が絶妙なんだ。

レゴッホ
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筆致と質感|“触覚”でできた顔

近づくと、頬・鼻・帽子・外套でストロークの方向がすべて違うのが分かります。

  • 肌:骨格に沿って斜めのタッチ
  • 帽子:毛並みを出す短い往復
  • 外套:重量感をつくる長い縦気味の塗り
  • 包帯:明るい水平気味のタッチで清潔さを示す
    触覚の切り替えが、痛みと冷気と静けさを同居させています。
ぬい
ぬい

距離で“音色”が変わる絵。近づくと手仕事の音がする。

筆致が感情の語彙になってるんだよ。

レゴッホ
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他バージョンとの違い

  • 本作(赤背景+パイプ):熱を帯びた色調。喫煙の水平線と煙のカーブで呼吸のリズムを作る。
  • コートールド版(パイプなし・画室背景):イーゼルや浮世絵の複製が入り、職能=画家を強調。
ぬい
ぬい

距離で“音色”が変わる絵。近づくと手仕事の音がする。

筆致が感情の語彙になってるんだよ。

レゴッホ
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見分け方チェックリスト

  • パイプの有無(本作はあり)
  • 背景色(本作は赤系)
  • 黒い毛皮帽+白い包帯のコントラスト
  • 右側へゆらぐ煙のスワール
ぬい
ぬい

「赤+パイプ+煙」で即判定!

あとは帽子の毛並みの描写で確信を持とう。

レゴッホ
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よくある質問(FAQ)

Q. 自画像は“痛みの記録”ですか?
A. 痛みの記録でもありますが、より重要なのは画家としての再宣言です。道具(パイプ)や服装、背景色を設計して**「描く自分」**を再構築しています。

Q. なぜ喫煙?
A. 当時の一般的な習慣であると同時に、画面では緊張を落ち着かせる水平線煙のリズムとして構図に貢献しています。

Q. どこで見られますか?
A. 本作タイプは個人蔵として知られ、公開機会は限定的です。公開情報は展覧会公式の発表でご確認ください。

ぬい
ぬい

パイプ一本が“構図”にも“心”にも効いてるの、発見だった。

小さな道具で画面を支える、ゴッホの設計力だね。

レゴッホ
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まとめ

《包帯をしてパイプをくわえた自画像》は、事件直後の不安と、それでも描いて生きるという決意が同居する絵です。赤い背景の熱、包帯の白の静けさ、パイプの水平、煙の曲線。どれもが、自分を立て直すための部品として機能しています。
他ヴァージョンと見比べると、色・道具・背景の違いが心の温度差としてはっきり見えてきます。

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