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ゴッホ《タバコをくわえた頭蓋骨》を解説!ブラックユーモアとメメント・モリ

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ポスト印象派
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真っ黒な背景に、象牙色の頭蓋骨。
歯の隙間には、ちいさな紙巻きタバコが白く灯っている——。

1885〜86年ごろ、オランダを離れてベルギー・アンヴェルス(アントワープ)にいたフィンセント・ファン・ゴッホが描いた小さな油彩《タバコをくわえた頭蓋骨》。
解剖学の学習で用いられる骸骨に、あえてタバコを差し込むといういたずら心。
それでいて画面から漂うのは、笑いだけではない“生と死の近さ”です。

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ぬい
ぬい

ふざけてるのか、真面目なのか、どっちもある感じだな。

だよね。軽いジョークで始めて、最後は人生の話に着地させてる。

レゴッホ
レゴッホ
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《タバコをくわえた頭蓋骨》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

作品名:タバコをくわえた頭蓋骨

作者:フィンセント・ファン・ゴッホ

制作年:1885–1886年ごろ(アンヴェルス)

技法:油彩/カンヴァス

サイズ:約32.0 × 24.5 cm

所蔵:ゴッホ美術館(アムステルダム)

備考:美術学校の解剖学的習作の延長で描かれたと考えられる。タバコの追加はユーモア(悪戯)としての解釈が一般的だが、伝統的な“メメント・モリ(死の想起)”とも響き合う。

ぬい
ぬい

小さい絵なんだね。

うん、でも密度が高いから存在感はデカい。

レゴッホ
レゴッホ
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制作背景|アンヴェルスのアカデミーと解剖学の授業

ゴッホは1885年末から86年はじめにかけてアンヴェルスの王立美術アカデミーに在籍し、古典的なデッサンや解剖学の授業を受けました。
教室では石膏像や骨格標本を観察し、形や陰影を正確にとらえる訓練を行います。
この作品も、その文脈のなかで生まれた可能性が高いと考えられます。

ただし、彼はアカデミックな規範にとどまらず、標本にタバコをくわえさせることで現実の“人間臭さ”を持ち込んだ。
学習のモチーフを、ひとつの絵として完結させるところにゴッホらしさがあります。

ぬい
ぬい

勉強の題材を、そのまま“作品”に昇華してるのがいい。

しかも軽くひねって、見る側にニヤッとさせる余白を作ってる。

レゴッホ
レゴッホ
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モチーフの意味|ブラックユーモアと“死を想え”の伝統

骸骨は西洋美術でおなじみのモチーフで、「メメント・モリ(死を忘れるな)」の象徴です。
そこにタバコという現代的で一時的な快楽を重ねると、笑いと諷刺が生まれます。
「死んでも吸うのか」「吸ってるうちに死は近づくのか」——意味は一つに固定されません。

当時の健康意識に今日ほどの知識はなく、反喫煙ポスターのような“教訓画”ではありません。
むしろ美術学校の堅い雰囲気に対する軽いジョーク、あるいは生と死の距離感を茶化しつつ考えさせる仕掛けとして受け止めるのが自然です。

ぬい
ぬい

説教じゃなくて、含み笑いと皮肉のバランスね。

そう。軽口の裏側で、ちゃんと「限りある時間」を思い出させる。

レゴッホ
レゴッホ
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光と色、筆触|象牙色のハイライトがつくる量感

背景はほぼ真っ黒に近い暗色で統一され、頭蓋の象牙色が強く浮き上がります。
光は左上から差し、頬骨や眼窩の縁、歯列に鋭いハイライトを置く。
短いストロークで面を彫るように塗り分け、骨の硬さと重量感を出しています。

炎のないタバコの先にだけ小さな明るい点と煙の筆致。
画面全体の静けさのなかで、ここだけが“今この瞬間”を示すアクセントになっています。

ぬい
ぬい

黒い海から骨が浮かぶみたいで、めちゃ立体的。

コントラストを極端に絞ってるから、骨の面がくっきり見えるんだ。

レゴッホ
レゴッホ
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構図の切り取り方|胸骨までで止め、横顔を少しねじる

画面は頭部から鎖骨・上腕骨の一部までで切り取り、視点はやや低め。
完全な横顔ではなく、鼻梁のエッジが見える位置で止めて、奥行きを生む。
“標本の記録写真”にならないよう、絵としてのリズムが計算されています。

タバコは口角の少し下に差し込み、視線の流れを歯列から煙へ、そして闇へとつなげます。
小さなサイズでも、視線が迷わない構図です。

ぬい
ぬい

ただの真横じゃないのが効いてる。

うん、少しのねじれが“生き物感”を残してる。

レゴッホ
レゴッホ
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類作と位置づけ|“骸骨”をめぐる小さな群

同時期には、タバコのない頭蓋骨や骨格の習作も描かれています。
いずれも小型で、解剖学的観察の訓練と、モチーフ遊びの自由さが共存する。
のちのパリ時代の明るい色彩とは対照的ですが、“対象をストロークで彫る”方法はここでさらに研ぎ澄まされています。

この一枚は異色作としてポスターや出版物にもよく再録され、今日ではゴッホのユーモラスな側面を代表する作品として広く知られています。

ぬい
ぬい

暗いのに人気者って、ギャップがいいよな。

そう。ゴッホ=黄色だけじゃないって教えてくれる。

レゴッホ
レゴッホ
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まとめ|笑いと無常の、ちょうど真ん中

《タバコをくわえた頭蓋骨》は、学習モチーフにちょっとした悪戯を加えただけ——に見えて、
“生の軽さ”と“死の実感”が同居する、意外に深い絵です。
黒の闇、象牙色の面、細い煙。最小限の要素で、時間の有限さをすっと胸に差し込みます。

ぬい
ぬい

見終わって、つい息を吐くわ。

だろ? 笑った後に、静かに考えさせる余韻が残るんだ。

レゴッホ
レゴッホ
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