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ゴッホ《ヤマウズラの飛び立つ麦畑》を解説!1887年パリ期の作品

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ポスト印象派
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刈り跡の黄金色、その先に風で波打つ青緑の麦、そして軽やかな空。
低い地平からふっと小鳥が舞い上がり、画面全体に風のベクトルが走ります。

1887年6〜7月、パリで描かれた《ヤマウズラの飛び立つ麦畑》は、ゴッホが明るいパレットと分割筆触を本格化させた時期の象徴作です。
オランダ期の“土の重さ”を脱ぎつつ、自然の動きと音を色の粒で可視化しています。

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ぬい
ぬい

見た瞬間、風の向きまでわかる絵だね。

だろ?ストロークを斜めに走らせて、風そのものを描いてるんだ。

レゴッホ
レゴッホ
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《ヤマウズラの飛び立つ麦畑》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

作品名:ヤマウズラの飛び立つ麦畑(一般に《ひばり〈Lark〉の飛び立つ麦畑》としても知られます)

制作:1887年6〜7月(パリ)

技法:油彩・カンヴァス

主題:刈り跡の手前帯/風にそよぐ麦の帯/高く澄んだ空、飛び立つ小鳥

所蔵:ゴッホ美術館(アムステルダム)

ぬい
ぬい

タイトルに揺れがあるの、あとで教えて。

任せて。鳥の同定にちょっと歴史があるんだ。

レゴッホ
レゴッホ
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制作背景|パリで手に入れた“明るさ”とスピード

1886年にパリへ移ったゴッホは、ピサロやスーラらから色を分けて置く方法を吸収し、明度の高い混色へ舵を切りました。
翌1887年の初夏、彼はパリ近郊の畑に通い、風のある日を狙って素早い屋外制作を重ねます。
《ヤマウズラの飛び立つ麦畑》は、その連作のなかで“動く自然”を最短の手数で掴んだ一枚です。

ぬい
ぬい

筆の速さが、風の速さに合ってる感じ。

うん、筆致がそのまま体感速度になってる。

レゴッホ
レゴッホ
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構図設計|三層の帯で作るリズムと遠近

画面は下から刈り跡/風に靡く麦/空の三層構成です。
水平の帯で景色を安定させつつ、麦の部分だけ筆致を斜めに傾け、風の方向を強調。
地平線近くに小さな鳥を置くことで、視線は奥へ伸び、空間の深さが生まれます。

ぬい
ぬい

水平で落ち着かせて、斜めで動かす。気持ちいいバランス。

そう、その対比が“静と動”を同居させてるんだ。

レゴッホ
レゴッホ
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筆触と色彩|分割筆触で“風のノイズ”を描く

麦は黄緑〜青緑の短いストロークを交差させ、ところどころに赤い点(ポピー)を散らして振動感を増幅。
空は白と青を混ぜ切らずに置き、絵具の隙間に空気が通るようにしています。
影は黒に頼らず、補色寄りの色で落とすため、画面全体が明るく呼吸します。

ぬい
ぬい

点々と短い線だけなのに、ざわざわって音がする。

色を混ぜずに並べるから、見る側の目の中で“鳴る”んだよ。

レゴッホ
レゴッホ
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「ヤマウズラ」か「ひばり」か|タイトルの揺れについて

この絵は長らく《ひばり》と紹介されることもありましたが、現在は《ヤマウズラ》と案内される例が多い作品です。

何故ひばりとされていたのかというと、本作を所有していたヨー(弟テオの奥さん)が、描かれている取りをヒバリだと思い《ひばりの飛び立つ麦畑》としていました。

その後研究により描かれている取りが《ヤマウズラ》であることがわかりタイトルも変わりました。
空高く舞い上がる習性はひばりに典型的で、地表を好むヤマウズラよりも画面の描写と合致します。
いずれにせよ、ゴッホが描こうとしたのは「風に押し上げられる一羽の小鳥」と「その時、畑全体が発する音」でした。

ぬい
ぬい

名前は違っても、“飛び立つ瞬間”の気配は同じだね。

そう。鳥は合図で、主役は風と麦の合唱なんだ。

レゴッホ
レゴッホ
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時代的位置づけ|アルルへ続く“屋外の練習曲”

1887年の屋外連作(風車、公園、河畔、麦畑)は、のちのアルルの強い色彩へ直結します。
《ヤマウズラの飛び立つ麦畑》は、明るさ・スピード・分割筆触がそろった転回点であり、自然の運動を色で記すというゴッホの方法が確立した証拠です。

ぬい
ぬい

ここで地ならししてるから、南仏の眩しさに耐えられるんだね。

まさに。光の練習曲を、夏の畑で弾いてたわけ。

レゴッホ
レゴッホ
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まとめ|一羽が起こす、画面全体の風

一羽の小鳥、斜めに走る筆致、色の粒。
《ヤマウズラの飛び立つ麦畑》は、最少の要素で“風の場”を立ち上げたパリ期の代表作です。
見るほどに音が増え、空気が澄む——そんな体験をもたらす、清新な一枚だといえるでしょう。

ぬい
ぬい

耳まで開くタイプの風景だ。

だよね。目で見て、耳で完成する絵なんだ。

レゴッホ
レゴッホ

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