こんにちは!
今回はトマス・コールの『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』を鑑賞・解説していきます。
トマス・コールは、19世紀のアメリカで活躍した風景画家です。
彼の作品は、自然の美しさと壮大さを描き出すことで知られています。
『ルアノの川の眺望、フィレンツェ近郊』もその代表作の1つです。この絵画には、コールの独自の世界観が反映されています。
本記事のコンセプト上、最初にじっくり鑑賞からしていますが、すぐ解説をご覧になりたい方は目次で気になる個所をクリックすれば直ぐに飛べるので、ご活用ください。
このサイトのどこか1記事に、ピンク色のぬいがいるよ!
探してみてね!!
『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』を鑑賞
下の解説を見る前に皆さんもぬいと一緒に作品をじっくりと鑑賞してみてください。
四隅の縁取りが気になる子ちゃん。
太陽の光の表現が凄い!
よく見ると人が沢山!
こっちにも人がいた!
これはお城?
『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』を解説
十分満足のいく鑑賞は出来ましたでしょうか?
『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』は、イタリアのフィレンツェ周辺の風景を描いた作品です。絵画全体に広がる壮大な風景は、まるで自然の神秘を感じさせます。空と大地、川と山々が絶妙なバランスで描かれており、見る者を圧倒します。
ここからは、いよいよ『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』の解説に入ります。
解説だ!解説だ!
作品詳細
題名 :アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊(View on the Arno,near Florence)
作者 :トマス・コール(Thomas Cole)
製作年:1837年
種類 :油彩画
寸法 :84.5 cm × 135.3 cm
所蔵 :ウスター美術館(アメリカ合衆国)
トマス・コールとは
ここで本作の作者であるトマス・コールについて簡単に紹介します。
トマス・コールは、イギリス出身ですがアメリカの画家です。
彼は19世紀半ばにアメリカで盛んになった芸術運動であるハドソン・リバー派の創始者と考えられています。
コールの作品は、現実的かつ詳細な描写によってアメリカの風景と自然を描いたものであり、ロマン主義と自然主義のテーマを取り入れています。
生没年:1801~1848年
出身:イギリス、ランカシャー州
代表作:
・『エデンの園』
・『ナイアガラの滝の遠景』
・『ヴォ―クリューズの泉』
同世代の画家:
・リチャード・パークス・ボニントン
(1802~1828年)
・フランソワ=ガブリエル=レポール
(1804~1886年)
コール自身は成功を収め、1829年から1832年にかけてヨーロッパを旅行し、視線をアメリカからイタリアに移しました。
彼の作品には、人間の文化と自然の調和を称える牧歌的な光景が描かれています。
これらのシーンは、コールが古代ギリシャ・ローマの知識やイタリアの風景への旅行の経験に基づいて描かれ、ヨーロッパの古典的な風景画の伝統と結びついています。
人生の経験を絵に落とし込めていそうだね!
四隅の区切りの謎
『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』は、最初に四隅に目が行くという人も少なくはないのではないでしょうか?
実はこれ、ウスター美術館では四隅が隠れるような額縁に入って展示されています。
つまり、専用の額縁に入れること前提で描かれた作品であると考えられます。
額に入って見えなくなる場所は、描く必要ないもんね。
アルノ川ってどこの川?
この作品は、イタリアのトスカーナ地方にあるアルノ川の美しい風景を描いています。
絵の中央には静かな流れを持つアルノ川が描かれ、川岸には草木や建物が描かれています。
川の向こう側にはフィレンツェの街並みが広がっており、美しい景色が一望できます。
ああ、お城じゃなくてフィレンツェの街並みだったのね!
小さく描かれた人間たち
この絵画には、自然の美しさだけでなく、人間の存在も描かれています。
川岸には人々が佇んでおり、その姿は小さく描かれているものの、自然に対する畏敬の念が感じられます。
コールは、人間と自然の共存をテーマにした作品を多く描いており、この絵画でもその思いが表現されています。
僕自然と人間が共存している絵大好き
美しすぎる光の表現
『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』の中でも特に注目されるのが、光の表現です。
太陽の光が美しい色彩となって川面に反射しており、まるで絵画が輝いているかのような雰囲気を醸し出しています。
この光の表現は、コールの技術と感性の高さを物語っています。
前衛的な美術運動の先駆け
コールはイギリスからの移民であり、彼の風景画への情熱はニューヨーク州のキャッツキル山地を訪れたことをきっかけに生まれました。
彼はヨーロッパの伝統的な絵画技法を学び、それを使ってアメリカの風景を描きました。
このスタイルは後にハドソン・リヴァー派と呼ばれる美術運動となりました。
ハドソン・リヴァー派の画家たちは主にハドソン川沿いの渓谷を描いており、その名前が付けられました。
トマス・コールはハドソン・リヴァー派の創設者と言われているよね!
彼らは細密な写実主義、壮観な景色、そして理想化された描写を特徴としており、アメリカの風景の壮大さと無限の可能性を称える表現手法を生み出しました。
『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』のような風景画は、自分の住む地域への誇りになるジャンルであると同時に、全盛期までのアカデミックなヒエラルキーを再編し、19世紀から20世紀初頭にかけての前衛的な美術運動の先駆けになりました。
まとめ
今回は、トマス・コールの『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』を鑑賞・解説していきました。
『アルノの川の眺望、フィレンツェ近郊』は、トマス・コールの代表作の1つであり、彼の世界観が存分に表現されています。
自然の美しさと壮大さ、人間の存在、そして光の表現など、さまざまな要素が絶妙に組み合わさっています。この絵画を通じて、私たちは自然の神秘を感じ、人間と自然の関係について考えさせられるのです。
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