今回はオリュンポス12神の一角、アテナについて解説していきます。
アテナ(Athena)は、ギリシャ神話における知恵、戦略、そして戦争の女神です。
さらに彼女は全能神ゼウスの娘でもあります。
以下にアテナについての詳細な解説をお届けします。
さあ、一緒にアテナのあれこれを見てみよう!
アテナを簡単に解説
- ローマ神話名:ミネルヴァ
- 英語読み:ミナーヴァ
- 役割: 知恵と戦略の女神
- 特徴: 戦士でありながら知恵深い。アテネの守護者。
- 象徴: フクロウ、盾、オリーブ
- 物語: ゼウスの頭から完全武装で生まれた。
- オリュンポス12神での権威:5位
- 関連深い神:ゼウス(父),メティス(母),ヘパイストス,ニケ,ペルセウス
アテナはギリシャ神話の知恵、戦略、工芸の女神で、ゼウスの子として知られています。
彼女は戦闘の女神でもあり、特に防御や戦術的な戦闘に関連付けられています。
処女神であるアテナは、知識、科学、教育、哲学、芸術、手工芸の守護者とされ、多くの分野で崇拝されました。
彼女の誕生は象徴的で、ゼウスの頭から完全な戦装備で現れたと伝えられ、これが知恵と戦闘の象徴とされています。
アテナはアテネの都市の守護神であり、都市の名が彼女に因んでいます。
彼女のシンボルは知識を示すフクロウ、強力な盾(アイギス)、そして槍です。
アテナは公正と正義を重んじ、オデュッセウスやペルセウスといった英雄たちを支援しました。
彼女は男性性と女性性の両方を内包し、その均衡が彼女の人格を特徴づけています。
アテナの神話は、古代ギリシャの文化が重んじた戦いと知識の価値観を反映しています。
ここから詳細な解説に入るよ~
アテナの神話
ここからはアテナの有名な神話を紹介します。
アテナの誕生
アテナの誕生はギリシャ神話の中でも非常に独特なエピソードです。
この物語は、ゼウスとメティスの関係から始まります。
メティスは知恵の女神で、ゼウスに彼が彼女の子を孕むと、その子が彼に取って代わるという予言をしました。
この予言に脅威を感じたゼウスは、メティスが初めての子を産む前に彼女を飲み込む策を講じました。こうしてメティスはゼウスの体内で存在し、彼の知恵の一部となったのです。
メティスを飲み込んだことでゼウスは全能神になったんだよね。
時が経ち、ゼウスは激しい頭痛に苦しむようになりました。
その痛みは耐え難く、最終的に神々の鍛冶師ヘーパイストスが呼ばれました。
ヘーパイストスはゼウスの頭を斧で割り、その瞬間、完全な成人でありフルアーマー(戦闘服)を身につけたアテナが戦いの叫び声と共にゼウスの頭から飛び出しました。
この劇的な誕生は、アテナが知恵と戦略の女神であることの象徴とされています。
彼女がゼウスの頭から生まれたことは、知恵が頭から生まれるという考えを体現しています。
また、戦いの準備が整った状態で現れることは、彼女が生まれながらにして戦士であることを示しています。
生まれながらの戦士…!
かっこいい!
アテナの誕生は、知恵が神聖なものであり、戦いにおいても重要な役割を果たすという古代ギリシャの価値観を反映しています。
この物語は、知識が力であり、それがどうやって育つかという洞察を与えています。
また、この誕生のエピソードは、アテナがアテネの守護神であり、知恵と工芸の象徴である理由を強調します。
彼女の誕生は、パルテノン神殿など彼女への崇拝の形として美術や建築に影響を与えました。
アテナの誕生は、ギリシャ神話における知恵と力量の象徴性だけでなく、神々の間での力関係や予言の重要性、そして神々の性質がどのように形成されるかについても深い洞察を提供しています。
アテナVSポセイドン
アッティカ地方の都市アテネの守護神を決める為に、ポセイドンとの紛争も起きました。
ケクロプス王の死後、アテネは新たな守護神を求めていました。
ポセイドンとアテナは、その役割を狙い、競うことになりました。
はエレクテウスという岩山に三叉戟を突き立て、塩水の泉を湧かせましたが、農業や生活には役立つものではありませんでした。
対照的に、アテナはその同じ場所にオリーブの木を植え、食料、油、そして経済的な利益をもたらすものとして高く評価されました。
結果として、アテナがアテネの守護神に選ばれました。
だから『アテナイの学堂』にアテナが描かれているのか!
この競争後も、ポセイドンとアテナの間に緊張が続きましたが、エレクテオンの建築を通じて和解のシンボルが作られました。
エレクテオンは両神の力を称える場所となり、一部はポセイドンの塩水泉に捧げられ、他の一部はアテナのオリーブの木に敬意を払いました。
この紛争は、古代ギリシャの神々の力とそれが人間の生活に及ぼす影響を物語る重要なエピソードです。
ペルセウスとゴルゴン退治
ペルセウスのゴルゴン退治の手伝いをしたエピソードも有名です。
ペルセウスは母ダナエを救い、ポリュデクテス王の挑戦に応えるために、ゴルゴンのメドゥサの首を取る任務を引き受けました。メドゥサは三姉妹のゴルゴンの中で唯一死すべき者であり、彼女の視線で人を石に変える恐ろしい力を持っていました。
アテナはこの危険な冒険を成功させるために、ペルセウスに重要な支援を提供しました。まず、アテナは彼女の盾、アイギスをペルセウスに貸しました。この盾は磨かれており、メドゥサの視線を反射することができ、ペルセウスが直接見ずに戦うことを可能にしました。また、アテナはペルセウスに戦略を教え、メドゥサの首を切る際には盾の反射を見るようにと助言しました。
さらに、アテナはペルセウスの旅路全体にわたって支援を提供し、他の神々からの助けも調整しました。ヘルメスからは透明になれるヘルメット、ニンフたちからは翼のあるサンダルと魔法の袋を得ました。
ペルセウスはアテナの助言に従い、メドゥサの住む場所へ向かいました。そこで、彼は盾を鏡のように使い、メドゥサの視線から目を逸らしつつ、彼女の首を切り落としました。切り取られた首はその力を持ち続け、ペルセウスは後の冒険でもこれを武器として使用しました。
このエピソードは、アテナの知恵と戦略がどれだけ重要であるか、そしてペルセウスの勇気だけでなく、知恵と神々の支援が成功を導いたことを示しています。
因みに、切り落とされたメドゥサの首はアイギスにはめ込まれてアテナに返却されました。
うわ!盾の顔の正体メドゥサだったのか!
ヘラクレスとアテナ
ヘラクレスとアテナは多くの神話で関わりを持ちます。
ヘラクレスが狂気によって家族を殺した後、その贖罪として12の功業を達成する道をアテナが示しました。
ネメアのライオンでは、アテナはライオンの皮を身につけることで強さを得る方法を教えました。
ヒュドラの首を切った後に火で焼き付ける戦略も彼女の助言です。
エリュマントスのイノシシに対しては、雪の中で捕まえる方法を示唆しました。
アウゲイアスの牛舎は、二つの川を流し込むことで一夜で清掃する方法を提案しました。
ステュムパロスの鳥は、カスタネットの騒音で散らした後、弓で射落とすように助けました。
ゲリュオンの牛の時には、海を渡る際の保護も行いました。
ヘラクレスの死の際にもアテナは関わり、彼の肉体を燃やし、不滅の存在となる道を開きました。
これらのエピソードは、アテナの知恵と戦略が、ヘラクレスの力と結びついて成功をもたらすことを示しています。
VSアレス
アテナは同じ戦いの神であるアレスとトロイア戦争で戦った神話も存在しています。
トロイア戦争におけるアテナとアレスの戦いは、ホメロスの『イリアス』第五巻で描かれています。
アテナは知恵の女神としてギリシャ側を支援し、アレスは戦いの神としてトロイア側に立っていました。
ディオメデスがアレスを攻撃する際、アテナが彼を導き、神聖な力を与えます。
アテナはディオメデスにアレスを槍で傷つけるように指示し、自らもアレスと直接対決します。
結果、アレスは敗北し、オリュンポスに戻ることとなり、アテナの戦略的優位性が示されました。
このエピソードは、知恵と戦略が戦争においてどれほど重要かを象徴しています。
そういえばアレスとアテナって戦いの神だね。
役職被ってない?
それについては、後日記事を書く予定です!
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VSアラクネ
アテナとアラクネのエピソードは人間が神に挑むという面白い神話です。
アラクネは織物職人として名高い人間です。アラクネが自分の技量がアテナより優れていると自負し、この挑発に応じたアテナは彼女を試すため老婆に化けてアラクネのもとを訪れます。
二人は織物の競争を始めます。
神vs人間
アテナは神々の偉大さを、アラクネは神々の不義と人間の苦しみを織り出します。
アラクネの作品の内容が冒涜的であったため、アテナは怒り、彼女の織物を破壊しようとします。
絶望したアラクネは生きることを諦めようとしますが、アテナはこれを防ぎ、代わりに彼女を蜘蛛に変えて永遠に織るように罰します。
この物語は、人間の傲慢さとその結果、神々への挑戦の危険性を描いています。
ティレシアスとの一件
ある日ティレシアスはヘリカン山近くの聖地で偶然にもアテナが沐浴しているのを見てしまいました。
純潔を守るアテナは見られたことを知ると罰としてティレシアスの視力を奪いました。
え、かわいそうすぎない?
しかし、アテナはティレシアスが故意ではなかったことを知ると視力の代わりとして彼に予言の能力を授けました。
この恩恵はティレシアスの盲目と知恵の象徴となり、ギリシャ神話の中で彼を重要な予言者にしました。
彼のこの新たな力は、未来や過去の真実を見通す能力で、多くの英雄や王の運命に影響を与えました。
視力は戻らないんだ…
VSヘパイストス
ヘパイストスはアテナに恋をし、彼女に求婚しました。
しかし、アテナは知恵の女神であり、また処女神でもあるため、求婚を断りました。
伝説によれば、ヘパイストスがアテナに求婚する際、彼女に触れた瞬間、彼の精液が地に落ちました。この精液が大地と結びつき、エリクトニオス(またはエレクテウス)という人物が生まれたと言われています。
エリクトニオスは半神半人であり、蛇の下半身を持つとされることがあります。
アテナはこの子を拾い、養育し、彼を後のアテネの王として育てました。
このエピソードは、アテナとヘパイストスの関係性や、神々の力と人間の起源に関するギリシャ神話の複雑さを示しています。
また、この話はヘパイストスがアテナを敬愛していた一方で、アテナ自身がどれだけ知恵と純潔を重んじていたかを強調しています。
めずらしいよね純潔の神様
アテナのアトリビュート
アテナの主なアトリビュートは以下の通りです。
これらのアトリビュートは、アテナが戦いだけでなく、知恵、戦術、手工芸などの守護者であることを示しています。
- 盾: アテナはしばしばエギスという盾を持っていると描かれます。この盾は、メドゥサの首が付いていることもあり、敵を恐怖で麻痺させる力があります。
- 槍: 彼女はまた長い槍を持っていることが多く、これは戦いの女神としての彼女の側面を象徴しています。
- 兜: アテナはしばしば頭に兜をかぶっており、これは彼女の戦士としての役割を強調します。
- フクロウ: フクロウはアテナの聖なる鳥であり、知恵と知識の象徴です。アテナは知恵の女神でもあるため、フクロウは彼女と強く結びついています。
- 蛇: アテナの像や装飾には蛇が用いられることがあり、これはまた知恵や再生の象徴でもあります。エギスに取り付けられたメドゥサの頭も蛇が関連しています。
実際に上記アトリビュートがどう描かれているのかを見てみましょう。
ジャック・ステラ『アテーナーとムーサたち』には、兜と槍と盾が描かれていますね。
盾にメドゥサの頭が付いているね!
テオドール・ファン・テュルデンの『アテナとペガサス』は、兜と槍と盾に加えてフクロウも描かれていますね。
全然気づかなかった。
他にもこの記事で紹介しているアテナの絵画にも、アトリビュートを確認できるので上に戻って探してみてください!
おすすめ書籍
下記記事でギリシャ神話を学ぶ上でおすすめの書籍を紹介します。
リンク飛ぶのめんどくさい人向けにここでも紹介!
どちらもわかりやすくて初心者から上級者までおすすめの本です。
まとめ
今回はオリュンポス12神の一角、アテナについて解説していきました。
アテナはギリシャ神話の中でも特に人気があり、彼女の知恵と戦略は今日でも多くの人々にインスピレーションを与えています。
彼女の物語は、知識と勇気がどのようにして成功や勝利に結びつくかを示しています。
このブログでは、アテナの多面的な魅力を探求し、彼女の神話とシンボルを通じてその深遠な影響力を振り返りました。
他記事では他の神様やエピソードも紹介しているので興味がある方は是非ご覧ください!