今回はオリュンポス12神の一角、アポロンについて解説していきます。
アポロン(Apollo)は、ギリシャ神話において最も重要な神の一人であり、多くの異なる側面を持つ多才な神です。
彼はゼウスとレトーの息子であり、アポロンの双子の姉妹はアポロンと同じく有名な狩りの女神アルテミスです。
以下にアポロンについての詳細な解説をお届けします。
さあ、一緒にアポロンのあれこれを見てみよう!
アポロンを簡単に解説
- ローマ神話名:アポロ
- 英語読み:アポロ
- 役割: 音楽、詩、予言、光の神
- 特徴: 弓とリラを持つ。オラクル(神託)の神。
- 象徴: 太陽、リラ、デルフォイのピュトイア
- 物語: ピュトンを殺し、デルフォイを支配した。
- オリュンポス12神での権威:6位
- 関連深い神:ゼウス(父),レト(母),アルテミス(双子),ヘルメス,ディオニュソス,ダプネ,ヒュアキントスなど
アポロンはギリシャ神話に登場する、多彩な才能を持つ神です。
彼は音楽、詩、予言、光、治癒、弓術、そして太陽の象徴でもあります。
ゼウスとレトーの子として生まれたアポロンは、双子の姉妹アルテミスと共にデロス島で誕生しました。
デロスはその後、彼の聖地と認識されるようになりました。
アポロンは芸術の擁護者として有名で、特にリラという楽器の名手として知られています。
また、デルポイの神託所の中心的な神でもあり、そこで人々に未来を予言する役割を果たしました。
アポロンを象徴するものとしては、リラ、鷹、弓、そして太陽が挙げられます。
彼は医療の神としても尊ばれ、その息子アスクレピオスは医者の守護神とされていました。
アポロンは秩序、理性、美を重視し、冷静で公平な性格が特徴的です。
一方で、彼は嫉妬心が強く、名誉を守るためには厳しい報復も辞さない一面もあります。
ギリシャ文化においてアポロンは大変重要な位置を占め、彼の神話や祭りが芸術、音楽、科学の発展に寄与しました。
彼は男性の理想像を体現する存在であり、若者を守る神としても見られています。
ここから詳細な解説に入るよ~
アポロンの神話
ここからはアポロンの有名な神話を紹介します。
これらの神話はアポロンの多面的な性格、彼の力と知恵、そして芸術や自然に対する深い関わりを反映しています。
ピュトンの死とデルポイの神託所
前提としてヘラがアポロンの母レトーの妊娠を邪魔するために、巨大な蛇ピュトンを送りました。
レトーはデロス島でアポロンとアルテミスを産むまで逃げ回り無事アポロンとアルテミスを産みました。
アポロンは成長すると、ピュトンを追ってデルポイへ向かい、そこでピュトンを弓で射殺しました。
この戦闘の後、ピュトンは「ピューティオ」という名前で知られるようになりました。
ピュトンを倒した場所にアポロンは神殿を建て、そこがデルポイの神託所となりました。
この神託所はギリシャ全土から人々が訪れ、ピュティアという巫女を通じてアポロンの予言を聞く場所になりました。
神託所は「世界のへそ」(オムファロス)とも言われ、そこでアポロンは「知恵の神」として崇拝されました。
アポロンの聖地だね。
ダフネとの悲恋
前提として、アポロンはエロスに自分の優越性を誇示しましたが、エロスはこれに激高し、アポロンに恋の矢を、ダフネには拒絶の矢を射かけました。
その結果アポロンはダフネに恋に落ち、彼女を追いかけました。
しかし、ダフネはアポロンから逃れるために全力で走り、最後には父ペネウス(川の神)に助けを求めました。
そして、ペネウスはダフネを月桂樹に変えました。
え!木になったの!?
アポロンはダフネを追い続け、彼女が月桂樹に変わった後も愛情を示し、その葉を冠として身につけるようになりました。
これにより、アポロンは詩人や芸術家が勝利の象徴として月桂冠を被る習慣が生まれました。
マルスヤスの競争
マルスヤスという竪笛の名手は自分の音楽に自信を持っていましたので、彼はアポロンに音楽の勝負を挑みました。
音楽勝負では、マルスヤスは竪笛を吹き、アポロンはリラを弾きました。
アポロンは楽器を逆さまに持ったり、歌いながら弾いたりと、さまざまな技を使いました。
審判はアポロンの多才さを認め、彼を勝者としました。
アポロンはマルスヤスに敗北の罰として皮を剥ぐという過酷な処罰を与えました。
これは音楽や芸術に対するアポロンの厳格さと規範を示すエピソードです。
え!怖すぎません!?
王様の耳はロバの耳
アポロンと森林の神パン(Pan)の間で音楽の勝負が行われます。
音楽勝負吹っ掛けられがち
アポロンは竪琴を、パンは笛を演奏しました。
審判として選ばれたミダス王は、パンの演奏をより優れていると判断しました。
お?皮はがれずに済む?
アポロンはミダス王の判断に怒り、彼の耳をロバの耳に変えてしまいました。
ミダス王はこの恥ずかしい変化を隠すために常に帽子をかぶるようになりました。
あちゃー
しかし、髪を切る時には床屋にこの秘密が知られてしまいます。
床屋はこの秘密を抱え込むことに苦しみ、森の中の穴に「王様の耳はロバの耳」と叫びます。
その後、そこから生えた葦が風に揺れるたびに同じフレーズを囁き、秘密は広まってしまいました。
有名な「オオ様の耳はロバの耳」の元ネタか
この物語は、秘密を保持することの困難さや、秘密が知られてしまうとどれほど広まるかを示しています。
ミダス王の不適切な判断が彼自身に災いをもたらしたことは、慎重な判断や知恵の重要性を教える寓話でもあります。
アポロンは芸術、特に音楽の神として尊敬される一方で、彼の厳格さや怒りが物語を通じて描かれています。
この話は、ギリシャ神話の複雑な性格や人間性についての洞察を提供し、子供から大人まで楽しむことができる教訓を含んでいます。
アポロンのアトリビュート
アポロンの主なアトリビュートは以下の通りです。
これらのアトリビュートは、アポロンが音楽、芸術、知識、予言、そして健康の守護者であることを示しています。
- 弓と矢: アポロンは弓の名手であり、遠くから敵を倒す能力を持っています。彼の弓はしばしば太陽光を象徴します。
- 竪琴(キタラまたはリュラ): アポロンは音楽の神でもあり、竪琴を演奏することで知られています。この楽器は芸術と知識を象徴します。
- 月桂樹の冠 アポロンを振って月桂樹に姿を変えたダフネの形見です。
- 太陽: アポロンは太陽の神でもあり、太陽車を駆って空を横断するとされています。これは彼の光と知識を広める役割を示しています。
実際に上記アトリビュートがどう描かれているのかを見てみましょう。
ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロの『アポローンとダプネー』では、月桂樹の冠と太陽が描かれています。
サルヴァトル・ローザの『アポローンとシビュラ』には、竪琴が描かれています。
シャルル・メニエの『アポローンとウーラニアー』には、竪琴、弓矢、月桂樹の冠が描かれています。
アトリビュートって面白いね!
他にもこの記事で紹介しているアポロンの絵画にも、アトリビュートを確認できるので上に戻って探してみてください!
おすすめ書籍
下記記事でギリシャ神話を学ぶ上でおすすめの書籍を紹介します。
リンク飛ぶのめんどくさい人向けにここでも紹介!
どちらもわかりやすくて初心者から上級者までおすすめの本です。