今回はオリュンポス12神の一角、アルテミスについて解説していきます。
アルテミス(Artemis)は、ギリシャ神話において最も重要な神の一人であり、多くの異なる側面を持つ多才な女神です。
彼女はゼウスとレトーの娘であり、アルテミスの双子の兄弟はアルテミスと同じくオリュンポス12神である音楽、詩、予言、光の神アポロンです。
以下にアルテミスについての詳細な解説をお届けします。
さあ、一緒にアルテミスのあれこれを見てみよう!
アルテミスを簡単に解説
- ローマ神話名:ディアナ
- 英語読み:ダイアナ
- 役割: 狩猟と貞潔の女神
- 特徴: 野生動物の保護者。女性の出産を助ける。
- 象徴: 月、鹿、弓
- 物語: オーリオンを殺したエピソードが有名。
- オリュンポス12神での権威:7位
- 関連深い神:ゼウス(父),レト(母),アポロン(兄弟),オリオン,カリスト,アクタイオン
アルテミスはギリシャ神話に登場する女神で、狩猟、自然、純潔、および出産を司ります。
彼女はゼウスとレトーとの間に生まれた娘であり、アポロンの双子の姉妹です。
アルテミスはデロス島で誕生し、自然と野生動物の守護者として尊ばれました。
彼女のシンボルは弓と矢、そして牝鹿です。
狩猟の女神として知られるアルテミスは、弓の名手であり、野生の動物を守る一方で、狩りの主宰者でもあります。
また、彼女は処女神として知られ、純潔を重んじ、女性の健康と出産を保護する役割を持っています。
これはデロス島で生まれた直後に、双子の弟アポロンが生まれるのを手伝った際に出産の壮絶さを目の当たりにしたからであると言われています。
彼女の聖域である森や山で狩りをした者に対しては、激しい怒りを示し、これが原因で多くの神話で報復が行われました。
アルテミスは女性の独立性と強さの象徴であり、特に幼女、少女、そして母親を守護する存在としても認識されています。
彼女の祭りは、女性のライフステージ(少女から成人へ、または出産)を祝うものが多く、その崇拝は自然と女性の生活サイクルと深く関連しています。アルテミスの神話は、自然と女性の力強さを讃えるもので、古代ギリシャの文化において重要な役割を果たしています。
彼は男性の理想像を体現する存在であり、若者を守る神としても見られています。
ここから詳細な解説に入るよ~
アルテミスの神話
ここからはアルテミスの有名な神話を紹介します。
アクタイオン
アクタイオンはギリシャ神話の登場人物で、彼の物語はアルテミスとの運命的な出会いによって悲劇的な結末を迎えます。
アクタイオンはテーバイの王カドモスとハルモニアの孫として生まれ、卓越した狩人として名高い人物でした。自然と野生動物に対する深い理解を持っていた彼は、しかし運命によってアルテミスと恐るべき形で交錯することになります。
ある日、アクタイオンが狩りに行っていると、偶然にもアルテミスが彼女の侍女たちと共に森で沐浴しているところに出くわします。
アルテミスは狩猟、自然、そして純潔の象徴であり、彼女の裸体を見ることは禁じられていました。
アクタイオンがその光景を目にした瞬間、アルテミスは激怒し、彼に対する厳しい罰を決断します。
アルテミスはアクタイオンを牡鹿に変える魔法をかけました。
彼は自分の新しい姿を理解する間もなく、自分の狩猟犬たちに追われ始めます。
犬たちは彼を獣と認識し、追跡を始め、彼を引き裂いてしまいました。
アクタイオンは、自分が飼っていた犬たちによって命を落としました。
飼い犬に…
カリスト
カリストはその名を体現するかのような美しい乙女でしたが、身を飾ることや恋愛には全く関心がなく、アルテミスの侍女として純潔を誓い、狩りに没頭する日々を送っていました。
しかし、その美しさがゼウスの目に留まりました。
よく知られた話によると、ゼウスはアルテミスの姿に変装して、カリストーに近づき、彼女の警戒心をかいくぐって思いを遂げました。
カリストーは男性と交わったことをアルテミスに知られることを恐れ、この秘密を長らく胸に秘めていました。
数ヶ月経ったある日、狩りの後でアルテミスとその仲間たちと一緒に沐浴をする機会があり、カリストーも強制的に参加させられました。
彼女はすでにゼウスの子を身ごもっており、衣服を脱ぐとそれが明らかになってしまいました。
その結果、純潔を重んじるアルテミスの怒りを買い、あるいはゼウスの妻ヘラの嫉妬によって、恐ろしい呪いを受けることになりました。
カリストは哀願しましたが、彼女の白い腕は黒い毛皮に覆われ、手は曲がり鉤爪が伸びて獣の前肢になり、ゼウスが特に愛したその口元は大きな獣の顎に変わり、言葉ではなく恐ろしい唸り声しか発せなくなりました。
彼女はかつて美しかった面影を全く残さず、熊の姿へと変えられたのです。
ニオベ
ニオベはアルテミスとアポロンの母レトーを侮辱し、自分の方が子供が多いと自慢しました。
これに怒ったアポロンとアルテミスは、それぞれニオベの息子たちと娘たちを弓で射殺しました。
アルテミスがこの神話で示すのは、家族の尊厳を守る力を象徴しています。この神話は、傲慢さに対する報復と家族の愛の不可侵性を強調しています。
オリオン
狩猟者オリオンはアルテミスの友人であり、時には彼女と狩りを共にしました。
しかし、ある伝説では、アルテミス自身がオリオンを誤って射殺してしまったとされています。
別のバージョンでは、エオス(夜明けの女神)がオリオンを愛したため、嫉妬したアルテミスが彼を殺したとも言われます。
この神話は、アルテミスの狩猟能力と彼女の感情の複雑さ、そして神々の間の微妙な関係性を示しています。
祭りと崇拝
アルテミスへの祭りは、特に女性のライフステージを祝うためのものが多かったです。
以下に2種類紹介します!
アルテミス・ブラウロニア祭
この祭りでは、少女が成人への移行を祝い、アルテミスに貢物を捧げました。
祭りの間、少女たちはアルテミスの神聖な動物である熊の仮装をすることもありました。
これは、少女たちがアルテミスの保護下にあることを象徴しています。
アルテミス・エフェシア祭
エフェソスで行われたこの祭りは、出産と母性を讃えるもので、多くの女性がアルテミスに祈りを捧げました。
この祭りは、アルテミスが持つ出産の守護者としての側面を強調しています。
アルテミス・エフェシアの像は、多数の乳房を持つ形で表現され、豊穣と母性の象徴とされました。
彼女の崇拝は、自然と女性性の力強さを強調し、古代ギリシャ文化において重要な位置を占めました。アルテミスの祭りや儀式は、自然への敬意、女性の役割、そしてコミュニティの結束を強化する手段でもありました。
現代への影響
現代でも、アルテミスのイメージは文学、芸術、映画などで使用され、自然への敬意、女性の強さ、独立性を象徴する存在として広く認識されています。
また、彼女の名前はNASAの月面探査プログラム「アルテミス計画」に使われ、科学と探検の精神を体現しています。
この計画は、月面への人間の再訪問を目指し、アルテミスが自然と探検の象徴であることを現代に引き継いでいます。
アルテミスのアトリビュート
アルテミスの主なアトリビュートは以下の通りです。
これらのアトリビュートは、アルテミスが狩猟、自然、純潔、そして出産を司る女神としての役割を視覚的に表現しています。
- 弓と矢:アルテミスは弓の名手であり、狩猟の女神としての象徴。彼女はこれを使って狩りを行い、野生動物を保護します。
- 牝鹿:自然と野生動物の守護者としての彼女の象徴。牝鹿はアルテミスが伴うことが多い動物であり、自然の自由と美しさを表しています。
- 月:月を司る女神の一面を持つアルテミスは、しばしば月のシンボルを持ちます。これは彼女が月の女神セレネの双子の姉妹でもあることに関連しています。
- 狩猟犬:アルテミスはしばしば狩猟犬と共に描かれます。これは彼女の狩猟能力と野生動物との結びつきを示しています。
- カエデの木:時折、アルテミスの神聖な木としてカエデが挙げられます。これは彼女が自然の女神であることを象徴します。
- クマ:アルテミスとクマの関連は、カリストーが熊に変えられた神話に由来します。クマは特に彼女の娘の象徴とされる場合もあります。
実際に上記アトリビュートがどう描かれているのかを見てみましょう。
ジャンピエトリーノの『女狩人アルテミス』には弓と矢、牝鹿が描かれています。
ギヨーム・セイニャクの『女狩人アルテミス』には弓と矢と月のシンボルが描かれています。
アトリビュートって面白いね!
他にもこの記事で紹介しているアポロンの絵画にも、アトリビュートを確認できるので上に戻って探してみてください!
おすすめ書籍
下記記事でギリシャ神話を学ぶ上でおすすめの書籍を紹介します。
リンク飛ぶのめんどくさい人向けにここでも紹介!
どちらもわかりやすくて初心者から上級者までおすすめの本です。