ヨハネス・フェルメールといえば、『真珠の耳飾りの少女』など静かな室内で佇む女性像を多く描いた画家として知られていますが、『地理学者』はその中でも珍しく、男性の知的なひらめきの瞬間を描いた作品です。
立ち上がった姿勢、机に広げられた地図、差し込む自然光――
そこには、何かを“見つけた”人物の空気が流れています。
本記事では、この作品の構図や象徴、道具の意味、そして『天文学者』との比較を通して、
フェルメールが知をどう描こうとしたのかをわかりやすく解説します。

地図の上に、発見の“わっ!”て気持ちがのってるみたいで、すごく好きな絵かも!
作品基本情報

タイトル:地理学者(The Geographer)
制作年:1668年~1669年頃
サイズ:52 × 45.5 cm
技法:油彩/キャンバス
所蔵先:シュテーデル美術館(ドイツ・フランクフルト)

“天文学者”が空を見てるなら、この人は地面と地図を見てるって感じかな!
・地図や書物に囲まれ、知識を探究する男性の姿を描いた作品。
・窓からの光を受けて、ひらめきの瞬間をとらえたような構図。
・「天文学者」と対になる、知への情熱を称えたフェルメールの名作。

本当に『天文学者』に似ているね!
作品概要|知的探究と発見の瞬間

『地理学者』は、書斎のような空間で測量や研究に没頭する男性の姿を描いた作品です。
似た構図と雰囲気を持つ《天文学者》とは対になる存在とされ、知を探求する人間像が表現されています。
人物は立ち上がった姿勢で、何かに気づいたように窓の外を見ている構図が特徴的です。
静かな室内にあって、知的なひらめきの瞬間が描かれています。

フェルメールの絵って静かなのが多いけど、この人は“今わかった!”って顔してるよね!
見どころ①|立ち上がった姿勢が語るひらめき

本作の人物は、机から立ち上がり、やや身を乗り出すような姿勢を取っています。
これは、フェルメール作品の中でも珍しく動きのある瞬間です。
視線はわずかに外へ向いており、頭の中に何かが浮かんだその刹那を捉えているようにも見えます。
じっと考えるだけでなく、“発見”という行動のきらめきが視覚化されています。

考えて考えて…ついに“ひらめいた!”って感じ、すごく伝わってくる〜!
見どころ②|光と小道具が知の空間を形づくる
左上の窓から差す光が、人物と机の上の資料をやわらかく照らしています。
机には地図、紙、分度器、コンパス、本などが並び、測量や研究に使われていたことがわかります。

人物の背後、棚の上には地球儀がひとつ置かれており、
この空間全体が世界の形や位置を測ろうとする知的関心を象徴しています。

また、壁には海図や東アジア方面の地図資料と見られるものが貼られており、
当時のオランダの海外貿易や地理学への強い関心が背景にあることも読み取れます。


あの地球儀、棚の上にちょこんと置いてあるのがかわいいよね。でも中身は本気!
見どころ③|『天文学者』との対比で広がるテーマ
《地理学者》は、フェルメールが同時期に描いた《天文学者》と多くの共通点を持ちます。


- 同じような部屋と光の演出
- 同じモデルとされる男性像
- 道具や構図の類似性
そのため、この2点はしばしば「知を探る2つの視点」として対比されます:
- 《地理学者》→ 空間や地図=世界を測る人
- 《天文学者》→ 星や宇宙=空を読む人
フェルメールはこのふたつを通じて、人間の理知と観察の力を描こうとしたのかもしれません。

知るって“見る”ことなんだなって思うよ。
宇宙も、地面も、じっと見て考えるってかっこいい!
モデルは誰?仮説はあるが確定はしていない
この作品と《天文学者》のモデルについて、17世紀オランダの科学者アントニ・ファン・レーウェンフックではないかという説があります。

彼はフェルメールと同じデルフト出身で、フェルメールの死後に遺産整理を任されたことが記録に残っています。
ただし、モデルとして描かれた証拠はなく、あくまで可能性のひとつです。
フェルメールが「理知的な人物像の理想」を描いたとも考えられています。

“だれを描いたか”じゃなくて、“なにを描こうとしたか”を考えるのが楽しい絵だね!
まとめ|世界を測る手の中にある発見
『地理学者』は、世界を理解しようとする人間のまなざしと行動の一瞬を描いた作品です。
フェルメールにしては珍しく、立ち上がった姿勢と緊張感のある構図が特徴的で、
その静けさのなかに知のひらめきが宿っています。
私たちが何かを知ろうとしたとき、ほんの少し視線を上げ、ページをめくり、考える――
そのささやかな動きのすべてに意味があるのだと、この絵は静かに語りかけてくれます。

知るって、かっこいいよね。
“もっと知りたい”って気持ち、大事にしたくなるな〜!
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