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ミケランジェロの《最後の審判》を解説!どこにある?見れる場所は?

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イタリア・ルネサンス
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バチカン・システィーナ礼拝堂の祭壇壁いっぱいに広がるミケランジェロの《最後の審判》は、「世界の終わり」の瞬間を描いた作品です。
天から降り注ぐまばゆい光の中で、キリストが人類を裁き、善き者は天へ、悪しき者は地獄へと引きずりおろされていきます。

一面を埋め尽くす裸の人体は300人以上とも言われ、巨大な肉体のうねりが渦を巻くように画面全体を動かしています。彫刻家でもあったミケランジェロが、自分の得意分野をすべてぶつけた集大成といえる作品です。

この記事では、《最後の審判》の基本データから構図の意味、登場人物、制作の裏側や検閲・修復の歴史までを丁寧に解説していきます。

ぬい
ぬい

いきなり情報量がすごそうだな。

大丈夫、大事なところを順番に見るだけだから、肩の力抜いて読んでこ。

レゴッホ
レゴッホ
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《最後の審判》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

・作者:ミケランジェロ・ブオナローティ
・制作年:1536〜1541年ごろ
・技法:フレスコ(湿った漆喰に直接描く壁画技法)
・サイズ:約縦13.7m × 横12m前後(礼拝堂祭壇壁ほぼ全面)
・主題:キリストの再臨と、全人類に対する最後の審判(終末の裁き)
・場所:バチカン市国 システィーナ礼拝堂 祭壇壁

ぬい
ぬい

高さ13メートルって、マンション何階分くらい?

ざっくり4〜5階建てくらい。あのサイズを一人で描いたって考えると、ただ事じゃないよな。

レゴッホ
レゴッホ

<作者についての詳細はこちら>

ミケランジェロを解説!代表作は何がある?性格は?彫刻家なの?
・ミケランジェロの生涯を簡単に解説!ルネサンスの巨匠の素顔とは

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キリストが中心にいる理由:構図から読む《最後の審判》の世界観

《最後の審判》を理解するとき、一番のポイントは「中心にいるキリストから外側へと波紋のように物語が広がっている」という構図です。

画面の真ん中あたり、光の輪に包まれて座っている男性がキリストです。筋肉質でたくましい身体つきで、右腕を大きく振り上げています。
その動きが合図となって、周りの人物が一斉に動き出しているように見えるのが特徴です。

キリストのすぐ隣には、青い衣をまとって身をかがめる聖母マリアがいます。ふだんの柔らかいマリア像と違い、この作品ではおびえたような、緊張した表情に見えます。キリストの裁きが、それほど容赦ないものであることを示しているとも解釈されています。

そこから外側へと、殉教者の聖人たち、復活した人々、天使、悪魔が渦を巻くように広がっていきます。キリストを起点にした、この「うずまき構図」が、画面全体のダイナミックな動きを生み出しています。

ぬい
ぬい

真ん中のキリストがスイッチみたいな役割なんだね。

そうそう。“裁きボタン”押した瞬間に、世界が一斉に動き出した感じ、ってイメージするとわかりやすい。

レゴッホ
レゴッホ
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上部の天界:聖人たちが取り囲む“裁きの法廷”

画面上部は、雲の上に座る聖人たちのゾーンです。キリストの周りには、殉教者として知られる聖人がずらりと取り囲んでいます。

たとえば、キリストの右側には大きな鍵を持った聖ペトロが描かれています。彼は天国の鍵を預かった使徒で、「誰を天国に入れるか」という決定に関わる象徴的な存在です。

キリストの足元付近には、剥ぎ取られた自分の皮を持った聖バルトロマイがいます。伝承によると、彼は生きたまま皮をはがされて殉教したとされ、その皮がトレードマークになりました。持っている皮の顔を、ミケランジェロ自身の自画像とする説も有名です。

その他にも、天使たちがラッパを吹き鳴らし、世界の終わりを告げています。彼らの動きもまた、キリストのジェスチャーに呼応しているかのようです。

ぬい
ぬい

聖人たち、けっこう物騒な持ち物多いね……。

拷問の道具とか殉教のシンボルだからね。優雅っていうより、“証拠品持参の証人席”みたいな雰囲気。

レゴッホ
レゴッホ
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画面左下:墓からよみがえる人々と、天使に引き上げられる救済の場面

視線を左下に移すと、地面から人々がよみがえり、天使たちに引っ張り上げられている場面が描かれています。
骨だけの状態から肉体を取り戻し、ゆっくり立ち上がるようすが連続的に表現されており、「復活」のプロセスが一枚の壁画の中で展開されています。

上へ引き上げられる者たちは、あくまで「裁きの結果として救われた人々」です。天使たちはロープのような布をつかみ、必死に引っ張り上げています。人間の側も、手を伸ばし、自力で天へ向かおうともがいています。
このあたりに、ミケランジェロの人間観――神の恵みと人間の努力がせめぎ合う緊張感――がよく表れているとよく言われます。

ぬい
ぬい

下から上に向かう流れって、見てるだけでちょっとホッとする。

だよな。地獄パートが強烈だからこそ、このエリアが救いのスペースに見えるんだよ。

レゴッホ
レゴッホ
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画面右下:地獄へ落ちる者たちと、ギリシャ神話の“案内人”

反対に右下は、地獄へ落ちていく人々のゾーンです。
悪魔に髪をつかまれ、ロープで縛られ、抵抗しながら引きずられていく人々の姿は、かなりショッキングに描かれています。

ここで目を引くのが、ボートに乗って人々を棍棒で打ち据える老人の姿です。これはギリシャ神話に登場する冥界の渡し守カロンで、神話の世界からキリスト教の最後の審判の場面に“ゲスト出演”している形になっています。

さらに岸辺には、ロバの耳と蛇の尻尾をもつミノスがいます。地獄の裁判官として描かれたこの人物は、作品批判をくり返した教皇の側近ビアージョ・ダ・チェーゼナをからかった「似顔絵」だと伝えられています。

宗教画でありながら、神話や当時の人物が紛れ込んでいるあたりに、ミケランジェロのユーモアと毒舌ぶりがよく表れています。

ぬい
ぬい

自分を批判してきた人を、地獄の裁判官にしちゃうのか……。

ミケランジェロ、めちゃくちゃ根に持つタイプだよね。芸術家の仕返しはキャンバスの上で、ってやつ。

レゴッホ
レゴッホ
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裸の群像と“パンツをはかされた”壁画:検閲の歴史

《最後の審判》が完成した当時から、もっとも物議をかもしたのが「大量の裸体表現」でした。
男性も天使もほとんどが裸で描かれており、教会内部の礼拝堂にしてはあまりに大胆だ、という批判が起こります。

とくに16世紀半ば、カトリック教会が改革に踏み切ったトリエント公会議の流れの中で、宗教画の“節度”が強く求められるようになると、この壁画は格好の標的になりました。
教皇ピウス4世の命令で、ミケランジェロの死後、弟子の画家ダニエレ・ダ・ヴォルテッラが裸体の上に布や腰巻きを描き加える作業を行い、「ズボン描き(イル・ブラゲットーネ)」というあだ名まで付けられます。

現在でも一部の布は残っていますが、20世紀末の大規模な修復によって、過去の塗り直しや汚れが取り除かれ、ミケランジェロ本来の鮮やかな色彩がかなり復元されました。

ぬい
ぬい

“パンツをはかされた壁画”って、エピソードが強すぎる。

しかも、修復でそのパンツが一部脱がされたっていう二段オチ付き。数百年越しのファッションチェックだな。

レゴッホ
レゴッホ
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なぜ彫刻家ミケランジェロが、再び壁画を描くことになったのか

ミケランジェロはもともと彫刻家として名をあげた人で、本人も「自分は彫刻家だ」と言い張っていました。

『システィーナ礼拝堂天井画』を解説!ミケランジェロの工夫の宝庫!

それにもかかわらず、システィーナ礼拝堂の天井画に続いて、祭壇壁という超大作の壁画を引き受けることになります。

きっかけは、メディチ家出身の教皇クレメンス7世からの依頼でした。彼の死後、後を継いだパウルス3世が計画を引き継ぎ、ミケランジェロに強い期待をかけます。

彼はすでに60代に差し掛かっており、身体的にもきつい仕事でした。さらに、政治的な緊張と宗教改革の波が押し寄せる不安な時代で、少しでも表現を誤れば批判の的になりかねません。
それでもミケランジェロは、自分の芸術観と信仰心をかけて、この巨大な「人類の運命図」を描き上げます。
当時彼のまわりの人々が語った証言では、完成後でさえ自分の仕事に満足せず、何度も手を加えたがったと言われています。

ぬい
ぬい

60代でこの体力仕事はえぐい。

しかも上からも下からも口出しされる状況だからな。“ブラック現場のレジェンド案件”みたいな感じだと思う。

レゴッホ
レゴッホ
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《最後の審判》が与えた衝撃と、その後の評価

この作品は完成当初から賛否両論でした。
圧倒的な技術と迫力に称賛の声が上がる一方で、「礼拝堂にふさわしくない」「秩序がない」「裸体が不道徳だ」といった批判も同じくらい激しかったのです。

しかし長い時間をかけて評価は変化していきます。
人体表現の極致とも言える力強い肉体、複雑な構図をまとめあげる構成力、天井画とは違う独特の色彩――どれをとっても、ルネサンスからマニエリスムへ向かう転換点を象徴する作品として、美術史の中で決定的な位置を占めるようになりました。

近年の修復によって色彩がよみがえったことで、かつて「暗くて重たい」と言われたイメージから、意外なほど鮮やかでドラマチックな壁画として再評価が進んでいます。

ぬい
ぬい

賛否両論だった作品が“美術史のド真ん中”になるのって、ちょっと勇気出る。

だよな。批判されても本気でやり切れば、時間が味方してくれることもあるっていう、いい例だと思う。

レゴッホ
レゴッホ
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おすすめ書籍

このサイトの参考にもさせて頂いている本を紹介します。

まとめ:人間の不安と希望をむき出しにした、究極の“人類ドラマ”

ミケランジェロの《最後の審判》は、単なる恐怖の地獄絵図でも、教科書に載る「偉大な宗教画」でもありません。
中心のキリストを囲むように、人々が天へ上がり、地獄へ落ち、もがき、祈り、あきらめ、希望を捨てきれずに手を伸ばす――その一人ひとりの姿に、私たちは自分自身の不安や願いを重ねてしまいます。

彫刻家として鍛えあげた人体表現、教会からのプレッシャー、時代の不安定さ、そのすべてを引き受けて描かれたこの壁画は、今もなお「人間とは何か」という問いを突きつけてきます。
システィーナ礼拝堂で実物を見上げると、そのスケールとエネルギーに圧倒され、しばらく言葉を失うと言われるのも納得です。

ぬい
ぬい

ここまで読んだら、実物を見に行きたくなるな。

だろ? でも行く前にこの記事もう一回読み返しておくと、現地で“あ、ここがあの地獄パート!”って二度楽しいから、ちゃんとブクマしておいてね。

レゴッホ
レゴッホ
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