こんにちは、美術愛好者の皆さん。
今回は、サイゼリヤの絵としても知られているのフラ・アンジェリコの『受胎告知』(Annunciation)を解説していきます。
本記事のコンセプト上、最初にじっくり鑑賞からしていますが、すぐ解説をご覧になりたい方は目次で気になる個所をクリックすれば直ぐに飛べるので、ご活用ください。
このサイトのどこか1記事に、ピンク色のぬいがいるよ!
探してみてね!!
鑑賞
下の解説を見る前に皆さんもぬいと一緒に作品をじっくりと鑑賞してみてください。
割とシンプルな絵って印象だよ。
天使来てるよぉぉぉぉぉぉ!
なんでそんなに冷静なの?お友達なの???
なにやらメッセージを見つけてしまいましたよ✨
ゼンゼンナンテカイテアルカワカランケド。
フラ・アンジェリコの『受胎告知』簡潔に解説
思う存分鑑賞は出来ましたでしょうか?
『受胎告知』は、修道僧であるフラ・アンジェリコによってイタリアのフィレンツェにあるサン・マルコ修道院の壁に描かれた作品です。
僧侶が作者なのか、僧侶が描く宗教画は信仰心の塊って感じがするね。
当時の他の画家が写実性を追求する中、フラ・アンジェリコは信仰心を美しく描くことに心を砕いた。
とは言っても最先端技術を使わない画家というわけではないので、この『受胎告知』には、建物の奥行きを表すために当時の最先端技術である「遠近法」が使われています。
僧侶なのに当時の最先端技術の「遠近法」使ってんの凄いね。
現在この絵画は、サン・マルコ美術館のコレクションで見ることができます。
作品は約1430年に制作され、メディチ家のために制作されました。
この絵画は、聖母マリアが天使ガブリエルからイエス・キリストの受胎を告げられる瞬間を描いています。
おけおけ。なんとなく作品についてのイメージはできた!
さあ!詳しい解説に出発だ!!!
作品詳細
作者 :フラ・アンジェリコ
製作年:1440-1445年
種類 :フレスコ
寸法 :230 cm × 297 cm (91 in × 117 in)
所蔵 :サン・マルコ美術館(フィレンツェ)
当たり前のように製作年1440-1445年って書いてあるけど
1つのことに5年集中できるの凄くない?
受胎告知とは
『受胎告知』は、キリスト教の聖書におけるルカによる福音書1章の26-38節に基づく出来事を指します。
これは天使ガブリエルが聖母マリアに現れ、マリアが神の子を受胎することを告げる瞬間です。
物語によれば、ガブリエルは神の使者として現れ、神の祝福と共にマリアに言葉を伝えます。
聖書の一節によれば、ガブリエルは「神の霊があなたに臨みます。全能者の力が影でおおうでしょう。だから、生れ出る子は聖なるもので、神の子と呼ばれるでしょう」と告げました。
マリアは驚きつつも、信仰をもってこの神聖な使命を受け入れ、イエス・キリストの母となることに同意します。
いや、マリア様受け入れ早っ!!!!
この瞬間が『受胎告知』として芸術に描かれる際、芸術家たちは神聖な雰囲気やマリアの謙虚さを表現し、キリストの受胎を象徴的に描き出しています。
このテーマはルネサンス期において特に人気を博し、多くの有名な芸術家たちによってさまざまな作品に取り入れられました
フラ・アンジェリコ自身もサイゼリヤでよく見る、この作品のほかにもいくつか『受胎告知』がテーマの作品を作成しています。
そのうち「受胎告知」がまとまった記事の制作も考えてます!!
フラ・アンジェリコの別の『受胎告知』
フラ・アンジェリコ自身もサイゼリヤでよく見る、本作のほかにもいくつか『受胎告知』がテーマの作品を作成しています。
この記事では簡単に、画像のみ貼っておきます。
解説でも言ってたけど確かに一番新しいやつは奥行きを感じる。
でもぬいは一番古いやつが、一番好きかもしれない。。。
登場人物
サン・マルコ美術館に所蔵されている、フラ・アンジェリコの『受胎告知』の登場人物について紹介します。
聖母マリア
概要
聖母マリアはキリスト教の聖なる女性で、イエス・キリストの母として知られています。
清らかな心と信仰深さで称賛され、聖書において神聖な役割を果たしました。
芸術や信仰において永遠の慈愛と慈悲の象徴とされ、多くの宗派で敬愛の対象とされています。
キリスト教徒じゃない僕でもマリア様は知っていたよ!
アトリビュート
聖母マリアのアトリビュートにはいくつかの特定の象徴的な要素が含まれています。
例えば、彼女の純潔を象徴する薔薇、清らかさと貞節を表す百合、天の慈悲や尊厳を示す青いマント、マリアの愛とキリストの受難の血を表す赤い衣装を身に着けて描かれることが多いです。
本作の聖母マリアは青いマントを身に着けていますね。
本作での聖母マリア
本作のマリアは、少し前かがみな姿勢で胸の下で両手をクロスしています。
これは、「謙譲の聖母」と呼ばれるポーズで、後述の「謙譲の聖母」で詳しく解説しますが、このポーズをとっていることで、受胎を納得して全てを受け入れたということを表しています。
また、アトリビュートを盛りすぎないことで受胎後のマリアとの差別化、つまり純粋無垢な印象を作り上げていると考えることもできます。
大天使ガブリエル
概要
大天使ガブリエルは神聖な使者として、キリスト教やイスラム教の伝統において特別な存在です。
彼は聖書において聖母マリアに受胎告知を伝えたり、イスラム教において預言者ムハンマドにクルアーンを啓示したりといった重要な役割を果たしました。
その神聖なメッセンジャーとしての役割から、ガブリエルは異なる信仰の中で広く尊敬を受け、信者たちにとっての重要な存在となっています。
その姿勢は、慎み深く優雅であり、彼の使命への忠誠心と神聖な存在としての尊厳が描かれています。
キリスト教徒だけじゃなくて、イスラム教でもめっちゃ大切な役割を担ってるんだね。
アトリビュート
大天使ガブリエルのアトリビュートは白いユリが挙げられます。
白いユリは「純潔」や「神聖な受胎」の象徴であり、聖母マリアが処女懐妊したことを示しています。
でも、このガブリエルは何も持ってなくない?
何事にも例外はあります。
テーマが「受胎告知」でマリアの前に天使が描かれていたら、それはもう大天使ガブリエルと捉えて問題ないでしょう。
なるほど、ある意味で「受胎を受け入れるマリア」もガブリエルのアトリビュートってことか。
本作での大天使ガブリエル
結婚をまじかに控えたマリアに、神の子の懐妊を伝えている様子が描かれています。
謙譲の聖母
謙譲の聖母は、キリスト教の宗教美術において、聖母マリアが神聖な瞬間や出来事に対して謙虚で謙遜な態度で描かれた姿勢を指します。
主にルネサンス期において、芸術家たちがこのテーマを重要視しました。
胸の前で手をクロスさせているポーズは聖母マリアの謙虚さや謙遜な態度を表すポーズで、ルネサンス期の芸術達はそれを描きまくったってことね。
謙譲の聖母の描写では、聖母はしばしば目を下げ、手や体勢が謙虚で控えめなものとされます。
これは聖母が神の祝福を受け、神聖な存在であることに対して謙虚であることを示すものです。
また、頭を垂れていることが多く、その謙虚な態度が信仰心と優雅さとともに表現されます。
フラ・アンジェリコの『受胎告知』をはじめ、ルネサンス期の芸術においては、このテーマが美的にも宗教的にも高く評価されました。
謙譲の聖母は信仰の深さと謙虚さを同時に表現し、観る者に神聖な雰囲気を伝える役割を果たしています。
ラテン語のメッセージ
鑑賞の時、ぬいが見つけて気になっていたこの謎のメッセージについて解説します。
「VIRGINIS INTACTE CVM VENERIS ANTE FIGVRAM PRETEREVNDO CAVE NE SILEATVR AVE」
とラテン語で書かれています。
日本語でおk。
これを和訳すると「この前を通り汚れなき聖女の姿を仰ぐ時は、アヴェ・マリアと唱えよ」でした。
この絵の前を通るときは、マリア様に祈祷しろってことか!
『受胎告知』は、修道僧であるフラ・アンジェリコによってイタリアのフィレンツェにあるサン・マルコ修道院の壁に描かれた作品であることを考えると、絵の前を通る修道僧に向けてのメッセージということになりますね。
フラ・アンジェリコ(Fra Angelico)
『受胎告知』の作品であるフラ・アンジェリコの解説も簡単にさせていただきます。
生没年:1400年頃~1455年
出身:フィレンツェ近郊のヴィッキオ村
代表作:『聖母戴冠』ルーブル美術館(パリ)
『十字架降下』サン・マルコ美術館(フィレンツェ)
『受胎告知』サン・マルコ美術館(フィレンツェ)
同世代の画家:マザッチョ(1401~1428年)
ヤン・ファン・エイク(1390頃~1441年)
フラ・アンジェリコ(Fra Angelico)は、15世紀のイタリアのルネサンス期に活躍したドミニコ修道士であり、画家としても知られています。
本名はギョヴァンニ・ディ・フィリッポ(Giovanni di Fiesole)で、フラ・アンジェリコ(「天使のような修道士」の意味)は、あだ名であり修道院での生活に由来します。
彼の作品は神聖で優雅な雰囲気と美しい色彩が特徴で、宗教的な主題を描くことが多かったようです。代表作には『受胎告知』や『十字架降下』があり、彼は宗教画の分野でルネサンス期における重要な芸術家と見なされています。
フラ・アンジェリコの作品は神聖な雰囲気と美しい色彩で知られており、『受胎告知』もその優れた例です。
サイゼリヤの絵
本作はサイゼリヤの絵としても知られてた方も多いのではないでしょうか?
他のサイゼリヤで鑑賞可能な作品に記事についてまとめてある記事もありますので、興味のある方は是非見てみてください。
おすすめ書籍
この記事の参考にもさせて頂いている本を紹介します。
理由がわかればもっと面白い!西洋絵画の教科書
作品から入りたい人にも知識から入りたい人どちらにもお勧めできる一冊です。
というのも、本書の冒頭で自分に合った西洋絵画の楽しみ方に合うように章を読む順番の例を示してくれているので自分に合った順番で学ぶ事が出来ます。
西洋絵画の流れが簡単にまとまっているページや各時代の代表的な作家の紹介もわかりやすくおすすめです。各章の直前は漫画形式になっており入り込みやすいうえ、章の間のコラムもマニアックなものが多く個人的に非の打ち所がない一冊です。
世界でいちばん素敵な西洋美術の教室
文字よりも絵が多い本を望んでいる人にお勧めの一冊です。
というのも、この本は本当に文字に対して絵の割合が非常に多く様々な絵が掲載されています。
しかし、決して文字の情報も少ないわけではなく知りたい情報はすべて乗っていると言っても過言ではありません。著者さんが 淡々と面白いことを言う方のようで、Q&Aの雰囲気が個人的に最高なので、皆さんにもぜひ知ってもらいたいです。
面白すぎてあっという間に読み終えてしまうが、何度でも読めてしまうとてもおすすめの本です。
まとめ
今回は、フラ・アンジェリコの『受胎告知』を解説しました。
他の絵画に興味がある方は別の記事もご覧ください。
このサイトのどこか1記事に、ピンク色のぬいがいるよ!
探してみてね!!
それでは、また別の記事でお会いしましょう。
アディオス。
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