フランダースの犬といえば、多くの人が愛する名作アニメですが、その主人公・ネロが見たかった絵とは一体何なのでしょうか?
実は、それは巨匠ピーテル・パウル・ルーベンスの作品でした。
本記事では、フランダースの犬で主人公のネロが見たがっていたルーベンスの作品『キリスト昇架』と『キリスト降架』について解説します。
フランダースの犬大好き♪
フランダースの犬の主人公・ネロが見たかった絵って?
ネロが見たかった絵として挙げられるのは、ルーベンスの代表作である『キリスト昇架』と『キリスト降架』です。
これらの作品は、ルーベンスの最も優れた技術と芸術性を示すものとして知られていて、アントウェルペンの聖母大聖堂に展示されている作品です。
これらの作品を通して、当時イタリアを中心に広まっていたバロック様式の絵画が、ネーデルラントにも浸透することとなったのです。
実在する絵なんだね!
早く解説して!
『キリスト昇架』
『キリスト昇架』は、キリストが十字架にかけられる瞬間を描いた作品です。
3枚のパネルから成る作品の中央にはイエスが十字架に架けられた姿が描かれ、左には嘆き悲しむ聖母やマグダのラマリアなどが、右にはイエスとともに磔刑に処される2人の罪人が表されています。
強烈な明暗と劇的な構図は、バロック期の特徴を強く反映しています。
この作品は、キリストの犠牲と救いのメッセージを強く感じさせるものとなっています。
ネロは結構怖い絵を見たかったんだね。
『キリスト昇架』は三連祭壇画の為、閉じる事が可能です。
閉じた裏側にも絵が描かれています。
左側の髭もじゃのお爺さん人物は、ビール醸造やバーテンダーの守護聖人である聖アマンドを表しています。一方、隣に描かれているのは聖ワルプルガです。
右側の絵に描かれた美しい女性は花嫁のヴェールと指輪の象徴でもある聖カタリナです。
彼女は首を剣で切断されて殉教したため、剣と殉教の象徴であるシュロの葉を持っています。
聖人の絵って、その人物の特徴や死に方が描かれることが多いよね。
聖人たちは異端と見なされ、処刑されることも多かったからかな。
隣にいる男性は、金細工や鍛冶屋の守護聖人である聖エリギウスを表しています。
『キリスト降架』
一方、『キリスト降架』は、キリストが十字架から降ろされる瞬間を描いた作品です。
ルーベンスは、キリストの身体の柔らかさや優雅さを表現し、周囲の人々の悲しみや哀れみも感じさせます。
ルーベンスは1611年に『キリスト昇架』を完成させた後、間もなく『キリスト降架』の制作に着手しました。
この作品も3枚のパネルで構成されており、中央には十字架から降ろされたイエスの倒れた姿、左には聖母マリアが寄り添い、右にはまだ幼いイエスを抱くシメオンが描かれています。
悲しくなってくる。。。
『キリスト降架』も三連祭壇画の為、閉じる事が可能です。
閉じた裏側にも絵が描かれています。
左側の絵は、背負われている子供がキリストであるとされています。
その内容は、小さな男の子に「川を渡りたい」と頼まれたクリストフォロスが、子供を背負って渡ろうとするものの、予想外に重かったことから、実は神であるイエス様を運んでいたことに気付く、という寓話的な物語です。
一方、右側の絵は、隠遁者の姿を描いたものとなっています。
神様って重いんだ。
どちらにも影響を与えたラオコーン
『キリスト昇架』と『キリスト降架』のキリストは『ラオコーン』の筋肉質で美しい参考にして描かれたと言われています。
『ラオコーン』の彫刻は、生から死への移行を象徴的に表現しています。
左から、「まだ生きている人」、「生死の境にいる人」、「ほとんど息絶えている人」と、段階的な死の過程が表されているのです。
一方、キリスト受難の場面においても、同様の肉体表現の違いが見られます。
十字架上で生命力に満ちた姿で描かれた『キリスト昇架』と、息を引き取った状態で描かれた『キリスト降架』の表現には、生命の消失を感じさせる対照的な印象があります。
なるほど。
このように、『キリスト昇架』と『キリスト降架』は、ルーベンスの芸術の真髄を示す作品として高く評価されています。
ネロがこれらの絵に強い興味を持っていたのは、その美しさと力強さ、そしてキリストの救いのメッセージに触れたかったからかもしれません。
まとめ
フランダースの犬の主人公・ネロが見たかった絵は、巨匠ルーベンスの作品『キリスト昇架』と『キリスト降架』でした。
これらの作品は、ルーベンスの最も優れた技術と芸術性を示すものであり、キリストの救いのメッセージを力強く表現しています。
ネロがこれらの絵に興味を持ったのも納得です。
ルーベンスの作品を通じて、私たちもキリストの尊厳と救いへの希望を感じることができるでしょう。
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