ボッティチェリの名を知らぬ者はいないかもしれませんが、彼の作品の中でもあまり知られていない『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』について解説します。
この作品は、ボッティチェリが描いた美の極致を追求した絵画であり、その世界観には多くの魅力が詰まっています。
一体どのような物語を描いているのか、その美しさの秘密に迫ってみましょう。
このサイトのどこかのページに「ピンク色のぬい」がいるよ!
見つけたら良いことあるかも♪
前提:デカメロンとは
デカメロンとは、14世紀にイタリアの作家ジョヴァンニ・ボッカチオによって書かれた物語集です。
物語の舞台はペストに襲われたフィレンツェで、10人の若者が都市を脱出し、田舎で10日間を過ごすという設定です。
物語は10日間に分かれており、1日につき1人ずつが物語を語るという形式で進行します。
デカメロンは、様々なジャンルの物語が収録されており、恋愛、冒険、風刺などさまざまな要素が詰まっています。
ナスタジオ・デリ・オネスティ
その中でも『ナスタジオ・デリ・オネスティ』という物語は、デカメロンの中でも特に魅力的な一編です。
物語の主人公はナスタジオという若者で、彼は美しい姿と優れた才能を持っています。
しかし、彼は自分の才能を認めてもらえず、悩み苦しんでいます。
そんな中、彼は偶然にも魔法の指輪を手に入れます。
その指輪を使って、彼はさまざまな冒険に挑み、自分の才能を証明することに成功する物語です。
ボッティチェリの『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』
ここからはいよいよボッティチェリの『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』を鑑賞しながら『ナスタジオ・デリ・オネスティ』のストーリーも解説していきます。
ボッティチェリは『デカメロン』の『ナスタジオ・デリ・オネスティ』を元に4枚の絵画を描きました。
このお話は当時とても有名だったので、絵を見た瞬間に何の話が描かれているのかがわかったみたいです。
第一場面
左から右に物語が展開していきます。
ラヴェンナの貴族ナスタジオ・デリ・オネスティが主人公です。
赤いパンツ履いている人だね!
彼は、パオロ・トラヴェルサーリの娘に恋しているものの、彼女に拒絶されています。
落ち込んだ彼に、友人たちが「街を出るのはどうか」とアドバイスしています。
街を離れた彼は、森を散歩しているうちに、騎士に追われ、犬に襲われている半裸の女性に出会います。
ナスタジオは女性を助けるため、木の枝を拾って犬を追い払おうとしています。
左端に描かれているテント前の会議が振られた後の友人に慰められている場面です。
中央左側に描かれているのが、森を散歩しているナスタジオで、中央右側に描かれているのが女性を襲っている犬を追い払うために木の枝を持っている場面です。
一枚の絵に同一人物が複数体描かれているのか!
騎士と犬に襲われているとてもかわいそうな女性です。
ああかわいそう。せめて服を着ていてくれ。
どうかご無事で。。。
第二場面
無事ではありませんでした。。。
そんな。。ひどい。。。
第二場面は、悲しみに呑み込まれた騎士の姿が、残酷な行為を繰り返す悲劇的な物語です。
女性の心臓を引き裂き、犬に食べさせる残虐な行為は、深い絶望と憎しみが生み出した狂気の所産が描かれています。
この騎士は、愛する女性に拒絶され、自らの命を絶ちました。
好きな女性に拒絶されたの、主人公と同じだ!
しかし、死後も彼女への恨みは消えることなく、永遠に彼女を追い続け、殺し続けるという悲劇的なループに陥っているのです。
第二場面では、愛と憎しみ、生と死が入り交じる、人間の深い内面に潜む闇を描いています。
永遠に彼女を追い続け、殺し続けるという悲劇的な無限ループに陥っているの場面です。
めちゃヤバい話だね
境遇が似ているナスタジオも同じ道を辿らないといいけど。。
第三場面
第三場面では何やらめちゃくちゃな宴会の様子が描かれています。
自分と同じ境遇の騎士が女性を無限に襲う光景を見たナスタジオは友人や家族、大切な彼女を集めて、この場所で宴会を開くことを思いつきます。
第一場面と同じテント!
そこに突然、第一、第二場面で登場した騎士と犬に追われる女性が登場し、みんなが混乱します。
その中で一人だけ冷静なナスタジオは、自分の思い人(白い服)に視線を向けながら、「僕の想いに応えないと、君もこうなるよ?」と迫ります。
それは脅迫!
ナスタジオが意中の女性を脅迫している場面。
脅迫なんて最低!
ひどい目に合えばいいんだ!!
第四場面
第四場面では、結婚式の様子が描かれています。
その結婚反対!
左のテーブルに座る白い服の女性が新婦であり、向かいに立つ男性がナスタジオ氏のようですね。
新郎は熱心に新婦に話しかけているものの、新婦の表情は少し硬い印象を受けます。
当たり前だろ!好きじゃないんだから!
しかし、勝利の象徴である中央の凱旋門が描かれています、二人の愛の勝利を表しているのかもしれません。
いや、ナスタジオだけが勝者だよ
全体として、新しい人生の始まりを感じさせる素敵な一枚だと思います。
ぬいはそうは思いません!!!
制作背景
さて、全四場面を解説しましたが皆さんはこの作品にどのような印象を持ちましたか?
絵は素晴らしいけど、ストーリーに怒り心頭!
さっきから、ぬいはずっと怒っていますが、現代日本を生きる皆さんの中にはぬいと同じような感想を持った方も少なくないのではないでしょうか?
実はこれ、結婚の記念に依頼された絵だと言われています。
噓でしょ!このストーリーが!?
ルネサンス期のイタリアと現代日本では感覚が違うのは当然ですが、なかなか結婚の記念の絵には思えませんよね。
新婚夫婦の寝室に飾るには、やや過激な印象を受けます。
恐らく依頼者の意図は、永遠の苦しみを事前に阻止しようとするものだったのかもしれません。
しかし、そのアプローチには疑問を感じざるを得ません。
お薦めの本
美術を学ぶ上でおすすめの本を紹介します。
まとめ
『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』は、ボッティチェリが描いた美の極致を追求した作品です。その美しさには、女性の美や自然の要素、神話的なシンボルが見事に描かれており、ボッティチェリの美の理念を象徴しています。
この作品を通じて、我々は美の奥深さや芸術の力を再認識することができます。
ぜひ、『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』を鑑賞して、その魅力に触れてみてください。
[関連記事]
コメント
[…] ボッティチェリの『ナスタジオ・デリ・オネスティの物語』を解説!ボッティチェリの名を知らぬ者はいないかもしれませんが、彼の作品の中でもあまり知られていない『ナスタジオ・ […]