スポンサーリンク

ゴッホの『糸杉(メトロポリタン)』を解説!渦巻く筆致で“生命力”を立ち上げた一枚

アフィリエイト広告を利用しています。
ポスト印象派
スポンサーリンク

サン=レミの療養院での生活が始まってまもなく、ゴッホは外で描く許可を得ると、南仏の風に逆らうように伸びる糸杉に狙いを定めました。
厚く盛り上がる絵の具、うねる線、そして青空に浮かぶ細い月。画面全体が呼吸するように波打ち、一本の木が自然と人間のエネルギーをつなぐ柱へと変わっていきます。絵の前に立つと、乾いた松脂と草の匂い、遠くのアルピーユの稜線までが、音を伴って迫ってくるかのようです。

【生涯を知りたい方はこちらがおすすめ】

ゴッホの人生を年表で徹底解説!作品と出来事からたどる波乱の生涯

ぬい
ぬい

糸杉って、炎みたいに見えるね

せやろ。風も光も、ぜんぶまとめて筆にのせたったんや

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

《糸杉》

まずは簡単に作品の情報を紹介します。

作品詳細

タイトル:糸杉(Cypresses)

制作年:1889年(初夏ごろ)

制作地:サン=レミ・ド・プロヴァンス(サン=ポール・ド・モーゾール療養院周辺)

技法・材質:油彩/カンヴァス

所蔵:メトロポリタン美術館(ニューヨーク)

ぬい
ぬい

都会の美術館にあるの?

ニューヨークや。実物の厚塗り、目ぇ覚めるで

レゴッホ
レゴッホ

<同年代に描かれた作品まとめ>
ゴッホのサン=レミ時代の作品まとめ!療養院の窓辺から生まれた物語

スポンサーリンク

サン=レミで見つけた“心の等身大”

室内静養から一転、庭や畑に出ることが許されると、ゴッホの視界に最初に入ってきたのが糸杉でした。教会の墓地に立つことも多いこの樹は、南仏では日常の風景の一部ですが、彼にとっては特別な存在です。
空へ吸い上げられるような樹形に、彼は自分の鼓動を重ねました。誰も本気で主役として取り上げてこなかった題材を、全身でぶつかるように描き切る――そんな挑戦心も、この作品を突き動かしています。

ぬい
ぬい

なんで糸杉にそんなに惹かれたの?

上へ上へ行こうとする形が、弱った心でも前に進ませてくれるんや

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

渦を巻くタッチと、空へ伸びるシルエット

樹冠は一筆ごとに方向を変える渦線で組み上げられ、幹は重たい緑と紫がぶつかり合いながら量感をつくります。地面の灌木は黄とオレンジが脈打ち、背景には青の山並みがやや斜めに走り、画面のテンションを高めています。
右上の細い三日月は、暴れるリズムに静かな休符を与える小さな記号。空と木、地と人、そのすべてを一本の旋律でまとめ上げるための“音符”として置かれています。

ぬい
ぬい

月、ちっちゃいのに効いてるね

スパイスや。少量で画面の呼吸が整うんやで

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

同時期の連作との響き合い

ゴッホ《糸杉》(1889)解説――南仏の風と線がつくる“炎の木”
ゴッホの『星月夜』解説!うねる夜空とそびえたつ糸杉の謎に迫る

この年のゴッホは、糸杉を主題に何点も描いています。夜空の渦と組み合う大作や、畑越しに見る立木の図、紙にペンとインクで素描したものまで幅広い。どれにも共通しているのは、形を写すのではなく、風・時間・光の“力”を可視化しようとする姿勢です。
本作はその代表格で、厚塗りの物質感と、視線を空へ連れていく構図の強さが際立っています。

ぬい
ぬい

シリーズで見ると、進化がわかるね

せや。試し描きも本気の勝負も、ぜんぶ積み重ねなんや

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

所蔵館での見どころメモ

現在はメトロポリタン美術館で公開される機会があり、近づくと筆の動きが立体として感じられます。距離をとれば、糸杉が空を押し広げるような量感が際立ち、視点を上げ下げするたびに作品の“音量”が変わるのも楽しめます。現地では同時期の風景画と並ぶこともあり、南仏特有の色温度の違いが比較できます。

ぬい
ぬい

筆跡、写真じゃ伝わりきらないや

だからこそ、生で見る価値があるんや

レゴッホ
レゴッホ
スポンサーリンク

おすすめ書籍

「ゴッホについて本で学びたいけど、どんな本が自分に合っているのかわからない」そんなお悩みを持つあなたへ贈る、ゴッホ入門編の本をご紹介します!Top5は別記事で紹介しています。

【関連記事】

ゴッホの本ランキング!初心者におすすめのわかりやすい5選!

まとめ:ゴッホの心を空へ導いた“祈りの木”

《糸杉》は、サン=レミの療養院で苦しみながらも、
それでも「生きたい」と願うゴッホの心そのものを描いた作品です。

彼にとって糸杉は、絶望を飲み込みながらも
天へ向かって伸び続ける“生命の象徴”。
燃え上がるような筆致は、自然と一体化した精神の震えをそのまま映しています。

夜空に浮かぶ三日月が静かに見守る中、
緑の塔のように立つ木は、悲しみを超えた希望のかたちです。
この絵には、絵筆を握る力すら残り少なかった画家の、
それでも描かずにはいられなかった「生の証」が詰まっています。

ぬい
ぬい

ゴッホって、木に自分を重ねてたのかもね

そうや。折れても伸びる。俺も、糸杉みたいに生きたかったんや

レゴッホ
レゴッホ

【関連記事】
【ゴッホの人生ガイド】エッテン・ハーグ・ドレンテを経てヌエネンへ
【ゴッホの人生】パリ時代完全解説!印象派との出会いと色彩革命
ゴッホのオーヴェル時代を完全解説!最期の70日と死の真相に迫る
ゴッホの人生を年表で徹底解説!作品と出来事からたどる波乱の生涯

スポンサーリンク
タイトルとURLをコピーしました