こんにちは、美術愛好者の皆さん。
今回は、サイゼリヤの絵としても知られている『アテナイの学堂』の作者、魅力、構図、モデル、場所のについて解説していきます。
本記事のコンセプト上、最初にじっくり鑑賞からしていますが、すぐ解説をご覧になりたい方は目次の解説の個所をクリックすれば直ぐに飛べるので、ご活用ください。
このサイトのどこか1記事に、ピンク色のぬいがいるよ!
探してみてね!!
鑑賞
下の解説を見る前に皆さんもぬいと一緒に作品をじっくりと鑑賞してみてください。
隅々まで見てやるぞー!
第一印象は、”きれいな場所に人が沢山いる”かな。
奥行きが凄くない!?
なんか美しくて感動しちゃうよ。
この人が一番偉いってことはなんとなくわかる。
上指さしてるし。髭長いし。
この人だけ、ギリシア神話に出てきそうな格好してるね( ´∀` )
地球のようなものを持っている。。。
さては、天文学者だな!
人一倍勉強している。
ぬいはこの人を応援します。
ラファエロの『アテネの学堂』解説
皆さん、思う存分鑑賞は出来ましたでしょうか?
『アテネの学堂』(The School of Athens)は、ラファエロによって制作されたルネサンス期のフレスコ画で、バチカン宮殿の壁画であるスタンツァ・デッラ・セニャアトゥーラにある一部です。
この記事では、その美しさと意義に焦点を当て、ルネサンス期の芸術と哲学の融合を探ります。
以下に、この作品に関するさらなる詳細を挙げます。
早く知りたい!
教えてーーーー!
詳細情報
作者 :ラファエロ・サンティ
製作年:1509-1510年
種類 :フレスコ
寸法 :500 cm × 700 cm (200 in × 280 in)
所蔵 :バチカン宮殿(バチカン市国)
何を描いたのか
ラファエロの『アテネの学堂』では、アテネの学堂に古代ギリシャの哲学者や学者たちが一堂に会している様子を壮大に描いています。
人物表現と遠近法を用いた構図からルネサンス絵画の頂点と呼ばれることもある名作です。
時空を超えて歴史上の天才たちが集結している絵ってことか!
ロマンがありますなぁ。
依頼主はユリウス2世で、描かれた場所はバチカン宮殿の「署名の間」です。
署名の間とは当時ユリウス2世の学習部屋でした。
人類の智と徳の一切を描いた壁画を私の学習部屋に描いてほしい。
このラファエロにお任せを!
なるほど、それで天才大集合の絵が出来たってわけね。
具体的にどんな偉人がラファエロに召集されているのさ?
ラファエロの『アテネの学堂』の登場人物
この絵に描かれている人々は有名な古代ギリシアや古代ローマの哲学者が多数描かれています。
「登場人物の全員が実在した誰かしらである」という説もありますが、現状は絵の中に描かれている人物が誰か、全てを正確に解明できていません。
しかし、所有物から人物を特定できている人物もいます。
今回は様々な説がある中で信憑性の高い人物に絞って簡潔に紹介します。
①プラトン(古代ギリシアの哲学者)
②アリストテレス(古代ギリシアの哲学者)
③ソクラテス(古代ギリシアの哲学者)
④プロティノス(古代ローマの哲学者)
⑤ヒュパティア(古代ローマの数学、天文学者)
⑥ピタゴラス(古代ギリシアの数学者)
⑦ヘラクレイトス(古代ギリシアの哲学者)
⑧ディオゲネス(古代ギリシアの哲学者)
⑨ユークリッド(古代エジプトの数学者)
⑩ゾロアスター(ゾロアスター教の教祖、天文学者)
⑪プトレマイオス(古代ローマの学者)
⑫アペレス(古代ギリシアの天才画家)
⑬アポロン(ギリシア神話の太陽の神)
⑭アテナ (ギリシア神話の知恵の女神)
詳しく知りたい方は、登場人物に特化した関連記事をご覧ください!
ここでは紹介していない人物も紹介しています!
ラファエロの『アテネの学堂』の特徴
次に『アテネの学堂』の特徴を解説していきます。
過去と現在をつなぐ顔面
ラファエロは『アテネの学堂』で様々な古代の知識人を描いていますが、中には作品が描かれた当時に生きていた人の顔をモデルとして描かれた知識人も多数います。
ぬいの推理が正しければ、古代の知識人の顔のモデルに選ばれる人ってことは、相当エリートに間違いないですねぇ。
2人の巨匠への敬意が表現されている
ルネサンスの画家たちは、尊敬する人物やパトロンなどを作中の人物として描きました。
ラファエロも例外ではなく、代表作である『アテネの学堂』の中で、レオナルド・ダ・ヴィンチをプラトン、ミケランジェロをヘラクレイトスのモデルとして2人の巨匠を登場させています。
ほーーらね♪
『アテネの学堂』のプラトンとレオナルド・ダ・ヴィンチの自画像比較
『アテネの学堂』のヘラクレイトスとミケランジェロの肖像画比較
想像以上に似てるーーー!
ラファエロ絵うまーーーーー!
あたりまえでしょうよ。現代まで名が語り継がれている大作家ですよ?
古代ギリシアの大哲学者に同世代を生きるルネサンス期を代表する2人の巨匠の姿を重ねてしまうことから、ラファエロがどれほどこの2人を尊敬していたかがわかりますね。
自己顕示しつつ忖度も忘れない
当時生きていた人をモデルに描かれている偉人は、プラトンとヘラクレイトス以外にも沢山居ます。
なかでも、この二人のモデルは個人的にお気に入りなのでご紹介します。
わくわく
我こそが天才画家だと言わんばかりの表現
一人目は、古代ギリシャの天才画家アペレスのモデルとなった人物です。
なんと、『アテネの学堂』の作者であるミケランジェロ自信をモデルにしているのです。
どちらも自画像なだけあって、これが一番似ているね。
天才画家のモデルを自分にしてしまうなんて、「いやいや自分こそが現代の天才画家だ!」と主張しているように感じられて、私自身とても好きです。
レオナルド・ダ・ヴィンチ?ミケランジェロ・ブオナローティ?
いやいや自分こそが現代の天才画家だ!
真相は彼自身しかわからないけど
そういうメッセージも込められていそうだよね!
パトロンへの忖度も忘れない
もう一つが、古代ローマの数学、天文学者ヒュパティアのモデルが注文者であるユリウス2世の甥にあたるフランチェスコ・マリーア1世・デッラ・ローヴェレであるという説です。
発注者の甥っ子というだけでなく、フランチェスコ・マリーア1世・デッラ・ローヴェレは、いずれラファエロの故郷のウルビーノ公国を統治する立場になる人だったのでパトロンへの忖度でモデルに採用したという説があります。
言われてみれば似てる!
どっちの絵もラファエロが描いてるんだね!
ヒュパティアのモデルにはラファエロの愛人であったマルゲリータをモデルにしたのではないかという説もあります。
プラトンとアリストテレスの象徴性
『アテネの学堂』は、ラファエロの優れた技法や芸術的な表現力が際立つ作品です。
絵画の中央を占めるのは、プラトンとアリストテレスの巨大な肖像で、これは彼らの思想的な対立を象徴しています。
「アテネの学堂」では、プラトンとアリストテレスが対話する様子が描かれています。
これは彼らの思想的な対立を象徴しています。
プラトンはアカデメイア派を創設し、イデアや理念に基づく抽象的な哲学を提唱しました。
彼のポーズは上方を指し示し、神聖なイデアへの探求を象徴しています。
一方、アリストテレスはリュケイオン派を設立し、経験と観察に基づく実証的なアプローチを追求しました。彼のポーズは地に向かっており、物質的な現実への深い興味を示しています。
ラファエロはこの対話的なシーンを通じて、哲学の対立を調和的に表現しています。
両者の間には理念と現実、抽象と具体が結びつき、統合されているような雰囲気が漂っています。
彼の巧妙な構図と表現力豊かな技法により、『アテネの学堂』は哲学の対話と調和の美を描き出しているのです。
いいか、「美」や「正義」などの抽象的な概念は、イデアに存在しているんじゃ。
上じゃよ。上!
いや、師匠。
現実にあると思いますよ。ここっす。ここ!
建物も素晴らしい
ラファエロの『アテネの学堂』は、描かれている人々だけでなく、建物も素晴らしいですよね。
特に美しいアーチと構造が際立っています。
この建物ですが、実在したものではなく架空の建物が描かれています。
一説によるとサンピエトロ大聖堂の設計図から着想を得たと言われています。
絵画の中央に配置された円形の広間は、古代ギリシャの円形建築を思わせ、その中央のアーチが印象的な対称性を生み出しています。
『アテネの学堂』の美しいアーチは、建築の優雅さと調和を表現しているようです。
アーチの上に広がるドームは、空間に開かれた感覚をもたらし、観る者に知的な静けさを感じさせます。
この作品では、アーチがまさに芸術と知識の象徴となっており、建築の美学と機能性が見事に融合しています。 また、構造的な側面においても、アーチが重力を分散し、安定感を提供していることが感じられます。
この絵画は、美と構造の見事な調和によって、観る者に深い感動と共感を呼び起こします。
遠近法
『アテネの学堂』では、ルネサンス期に大きく発展した遠近法が見事に利用されています。
絵画の奥行きを感じさせ、視覚的な深みを生み出すために様々な遠近法が組み合わさっています。
線遠近法
画面中央に配置された円形の広間では、円環のアーチや柱の線が収束していく様子が見て取れます。これが視点を中央に誘導し、奥行きを感じさせます。
大小遠近法
円形の広間の中央に位置する人物や柱は、画面上部に比べて大きく描かれており、これが近くに感じさせます。
重ね遠近法
広間にある柱や彫刻が重なり、奥の部分が手前のものに一部隠れていることで、奥行きが生まれています。
これらの要素が組み合わさり、円形広間の中央が画面の焦点となり、周囲が奥行きを感じさせる効果を持たせています。ラファエロは遠近法を使って視覚的な誘導を織り交ぜ、観る者に作品の中に没入感を提供しています。
凄いなぁ、絵がうまいだけじゃなくてそんなところまで研究してるんだ。。。
サイゼリヤの絵
本作はサイゼリヤの絵としても知られてた方も多いのではないでしょうか?
他のサイゼリヤで鑑賞可能な作品に記事についてまとめてある記事もありますので、興味のある方は是非見てみてください。
おすすめ書籍
この記事の参考にもさせて頂いている本を紹介します。
理由がわかればもっと面白い!西洋絵画の教科書
作品から入りたい人にも知識から入りたい人どちらにもお勧めできる一冊です。
というのも、本書の冒頭で自分に合った西洋絵画の楽しみ方に合うように章を読む順番の例を示してくれているので自分に合った順番で学ぶ事が出来ます。
西洋絵画の流れが簡単にまとまっているページや各時代の代表的な作家の紹介もわかりやすくおすすめです。各章の直前は漫画形式になっており入り込みやすいうえ、章の間のコラムもマニアックなものが多く個人的に非の打ち所がない一冊です。
世界でいちばん素敵な西洋美術の教室
文字よりも絵が多い本を望んでいる人にお勧めの一冊です。
というのも、この本は本当に文字に対して絵の割合が非常に多く様々な絵が掲載されています。
しかし、決して文字の情報も少ないわけではなく知りたい情報はすべて乗っていると言っても過言ではありません。著者さんが 淡々と面白いことを言う方のようで、Q&Aの雰囲気が個人的に最高なので、皆さんにもぜひ知ってもらいたいです。
面白すぎてあっという間に読み終えてしまうが、何度でも読めてしまうとてもおすすめの本です。
まとめ
今回は、ラファエロの『アテナイの学堂』を解説しました。
他の絵画に興味がある方は別の記事もご覧ください。
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探してみてね!!
それでは、また別の記事でお会いしましょう。
アディオス。
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